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異世界転移は女神様の啓示と共に

突如謎の空間に引き込まれた宮下瑠璃、18歳。

そこで魔物の餌にするという理不尽な声が聞こえてきたが、別の声がそれを遮るように言うと光の中に吸い込まれていった。

そして目の前がはれると大きな狼が一匹いたのであった──




 私宮下(みやした)瑠璃(るり)、18歳。

 現在謎の空間に引きずり込まれて悲鳴を上げています。

「きゃあああああああ⁇⁇‼」

 周囲はカラフルでどこかに引き寄せられている、何処へ行くの⁈


──あら、この子イレギュラーな上人間の癖に人間以外も容認してるなんておかしいわ──


「⁈」


──適当な森に転移させて魔物の餌になってもらいましょう──


「えええええええ‼」


 何処の誰だか分からないが酷すぎる‼


──ヒュマナ! 貴方なんて事をしようとしているの⁈──

──げぇ、フェンリナ⁈──

──他の神々もカンカンよ、そしてその子は私が保護します‼──



 その言葉に目の前が光り、その光の中に吸い込まれていく。



 ぼふん!



「わわ⁈」

「お前か、我らが崇拝する女神フェンリナ様が言っていた人間は?」

 目の前にはでかい狼。

「ふぇ、フェンリナ様? た、確かにそんな名前の声が私が保護しますと叫んでた気がします」

 狼は立ち上がった。

「我はフェンリル、スフェール。フェンリナ様のお言葉より、貴様の従魔となろう」

「従魔?」

「お前をテイマーにすると行っておるのだ、ほれ、手を我の額に当てよ」

「は、はい」

 言われるがまま、手を当てるすると光、光は消えていった。

「これで従魔契約は終わりだ、さて行くぞ」

「行くって何処に?」

「フェンリナ様達の啓示で我とお前が現れるのを待っている街がある、そこで身なりを整え、情報を集めよう」

「でも、徒歩じゃ……」

「乗っかれ」

「は、はい」

 大きな狼の上に乗っかる。

 狼は走り出した。

「あ、あのお名前は⁈」

「聞いていなかったのか、スフェールだ。でお前はルリか」

「は、はい」

「ルリ、其方の寿命が尽きるまで、我が守ろう」

 なんかプロポーズじみたこと言われて恥ずかしいけど、ぐっとこらえます。



 こうして、私とスフェールの異世界旅が始まったのです。





 夕方頃、街が見えてきました。

「あそこだな」

 スフェールは迷う事無く、駆けて行きます。


 門番の方々が驚いて槍を向けますが、直ぐさま槍の穂先を上に向けました。


 街の奥から三名の方がが来ました。

「ようこそ、いらっしゃいました。メンディスへ。私は冒険者ギルドのマスターレーンです」

「私は商人ギルドのマスターのラックです」

「私はここの街の教会の長をやっておりますディカと申します。一応街の長も兼任しております」

「フェンリナ様のご神託、聞き届けただろうな?」

「はい、フェンリルに乗って現れるテイマー……いえ、異世界人を保護しなさいと」

「分かっているなら話が早い、とりあえずギルド登録と、服を寄越せ」

「分かりました」

「ルリ、下りていいぞ」

「う、うん」

 私はスフェールから下りると、スフェールが光り輝いた。

 光が消えると、ズボンを履いている獣人が一人。


「えっとスフェール、さん?」

「そうだ、町中では獣人の方が歩きやすかろう」

「それはそう、ですけど……」


 周囲の人がぽかんと口を開けている。


「ふぇ、フェンリル様は、獣人のような姿になれるのですか?」

「ああ、そうだ」

 ギルドマスターのレーンさんが口を開いた。

「いいから案内をしろ」

「は、はいぃ!」

 私はスフェールさんに腕を捕まれて引きずられるようにして街の中へと入っていった。


「これでいいです」

「いいのか、一般人が着るようなものだぞ」

 水色の幅広のシャツに、紺のズボン、黒い革靴。

 私が着ていた服と靴とただで交換して貰った。

 鞄はこっちでもありそうな鞄だったので、そのまま。

 白い肩掛けの鞄。


「では、ギルド登録をしますか」

「そうですね、両方のギルドに登録お願いできますか?」


 そのときは何となく思っただけの行動が、後々良い方向へ結ぶとは思わなかった。


「はい、ギルド登録完了です」

 両方のギルドに登録し終わると、スフェールさんが言った。

「では明日外へ行くぞ」

「行くって何処に?」

「金を稼がねば生活できまい、今日明日はギルドの計らいで宿屋にただで止めてもらえるがそれ以降は稼がねばならない」

 そうだ、生きて行くにはお金を稼がなきゃ。

 教会から少しだけお金を貰ったけど。

 金貨一枚。

 普通に生活する分には足りるけど、スフェールさんと生活するには足りなさすぎる。


 どうやって稼ぐんだろう、そう思いながら私は寝心地の良いベッドに横になった。





 目を開けると白い空間にいた。

「え、ここ何?」

「ここは意識の狭間……」

 下半身が四足歩行の獣──狼っぽくなっている女性が現れた。

 どこか神秘的で綺麗だった。

 白銀の髪の毛も、碧色の目も澄んだ白い肌も、髪飾りの青い花も美しくて綺麗だった。

「私はフェンリナ、フェンリル族と人間を守護する女神です」

「は、初めまして、フェンリナ様。私はルリです」

「ルリ、ですか。良き名前です」

 フェンリナ様は穏やかに微笑んで私の頭を撫でてくれた。

「まず、貴方が此処に来た理由ですが、人間のみを守護する女神ヒュマナを信仰する国ヒュムニア王国が人間以外を奴隷にする為に勇者召喚を行ったのです」

「そ、そんな国が……」

「はい、そして貴方も召喚されたんですが……ヒュマナは人間以外も愛する貴方の精神を嫌って貴方を亡き者にしようと転移先を変更しようとしました」

 ヒュマナ……やな女神様だなぁ。

「それを見た私が介入し、スフェールの居るところへと転移させたのです、彼に啓示を与えて」

「じゃあ、フェンリナ様のおかげで助かったんですね、有り難うございます」

「いえ、本来なら召喚自体を防がなければならなかったのに、それができずに私達はふがいないです」

「ところで、そのヒュマナという女神は?」

「創造神様に事の全てを報告し、罰の内容を決めている最中です。ヒュマナは百年前にも同じことをして皆に咎められたのに、また同じことを……」

「……」

 同じ事繰り返す神様っているんだな。

「ええ、そうです。同じ事を繰り返すのです、ヒュマナは」

 おおっとこれは心の声が聞こえてる?

「はい、心の声は聞こえます、貴方の声が」

 マジかー。

「すみません」

「いえいえ、こちらこそすみません……ところでヒュムニア王国は?」

「王族と貴族は勇者召喚成功に喜んでおりますが、民や冒険者達は戦争をしようとする国から出るものと、出たいけど出れない者に分かれています」

「そんな所まで……」

「ですが、貴方は其処まで今は考えないでください。スフェールと共に、この世界で暮らしていくにはどうするか模索してください、そのための加護も貴方に与えましょう」

「有り難うございます」

「ああ、それと──」

「はい?」

「貴方が持っている鞄、アレは特別な鞄です、ほしい物があるのなら手をつっこんでみるといいでしょう、お金が少しばかり減りますが」


 ?


 あの鞄?

 どういう意味だろう?


「そろそろ目覚めの時刻です、それではまた。貴方の道行きに幸福があらんことを」

「あ、ちょっと待ってください!」


 そこで私の意識は目覚めた。


「朝……」

「そうだぞ、食堂へ行って飯を食ってこい」

「はい」

 獣人モードのスフェールさんがそう言ったので私は頷いた。

 そうだ、ここから生活していくんだ──







久々の連載物です。

ゆっくりと連載を考えています。

宜しければ読んでくださると嬉しいです。

まだタイトル回収はしてませんがいずれします。

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