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魔法世界の妖憑き  作者: Lilac
第三章『全知の物語編』

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神精樹の古書館 ―2―

 道中、特に何かあったわけでもなく、モニカは心地よい風を感じながらのびのびと空の旅を楽しんだ。上空から賑やかな街を眺めてメインストリートを抜けていくと、進行方向にうっすらと巨大な樹が見えてくる。舗装され、改造されたバウディムスとは違い、樹木そのものの状態でそびえ立っている。神精樹の巨大さを最大限活用しているバウディアムスに対して、神精樹の古書館は真ん中を切り抜かれて造られており、外見からだけでは様子が分からなくなっている。

 それから数分。遂に神精樹の古書館の目の前までたどり着いた。アステシアと共にモニカたちは古書館の入り口らしき場所に降り立つ。受付では白い服を着た女性がうつらうつらと微睡んでいる。アステシアは遠慮などは一切せず、安らかに呼吸をしている女性を叩き起した。



「ぇう……お、起きてます、起きてますよ魔女さん……」


「私は魔女ではありません。本日ここで課外授業を依頼していたルナ・アステシアです」



 寝ぼけていたのか、女性はアステシアを誰かと見間違えたようで、慌てふためいている。



「ほぇ!? し、失礼しました! いつもこの時間に知り合いがいらっしゃるので……はい、確認しました。それでは中へお入りください」



 女性の案内に従い、モニカたちは古書館へと足を踏み入れる。懐かしく感じる樹の匂いが鼻腔をくすぐる。そして次の瞬間、モニカたちが見たのは見渡す限りの書物だった。



「すっご〜い! なにこれ!」


「うるさいぞ」


「本がいっぱいですね……」


「神精樹の()()()と言っているだろう」



 2つの神精樹がノーチェスに誕生し、先に造られたのは古書館だった。



「この古書館には、世界全土に存在するありとあらゆる書物が保存されている」



 アステシアが小声で何かを呟くと、どこからともなく一冊の本が飛んでくる。青い表紙に『占星術』と書かれた本がアステシアの手に導かれるようにやってきた。



「欲しい本があれば本の方からやってくる。手探しでもいいが、こちらの方が効率的だ」


「すご……どういう原理なのこれ……」


「う〜ん、最初はこんな機能はなかったのですが……魔女さんが来るようになってからですかね?」


「その魔女さんっての、めちゃくちゃ気になるんですけど……」


「魔女さんはですね……」



 さっそくソフィアは司書らしい女性と仲良くなったらしく、『魔女』について楽しく話している。モニカ、パーシー、旭を除いたもの達とは既に統率は取れておらず、各自自由に行動しているようだった。



「……まぁ、目的を忘れていなければいい。お前たちも行け。私は時間までここで待っている」


「はーい。モニカ、行こ」


「うん!」



 娯楽作品の本から図鑑、教科書や御伽噺の本まで。本当に古今東西、はるか昔の本も所蔵されているようだった。元々本好き、改めて本の虫のモニカは目を輝かせて古書館を歩き回った。



「つーか、本題は八つの得意魔法調べだろ」


「ついてくんな!」



 モニカと違ってパーシーは敵意むき出しで旭に威嚇する。まるで子猫を守る親猫のようにモニカを背にして旭を睨みつける。



「んだよ。別にいいだろ」


「よくない! モニカから聞いたんだからね、あんたがヤバいやつだって!」


「あ〜、あれのせいか……」



 旭は何かを思い出したらしく、しおらしくなってしまった。だが、旭も引き下がるつもりは無いらしく、パーシーに弁明した。



「別に言い訳するつもりはねぇけど、俺はあれ以外の方法を知らない。追い剥ぎに躊躇なんて要らないだろ」


「そうじゃなくて、問題はあんたがモニカを怖がらせたってところ。私も殺しは否定しないよ。でも、なんでモニカを脅したのか分からない」



 人気のない通路の真ん中で、パーシーと旭が対峙する。ぴくりと旭が指先を動かすと、瞬時に反応したパーシーが旭を制する。建物が壊れない程度の重力が旭の右手を襲う。



「モニカに手を出すのはわたしが許さない。特にあんたは」



 建物に気を使っているのか、重力は旭を完全に止めることは出来ず、旭の力の方が僅かに勝っている。強まった重力に抗い、旭の腕がゆっくりと持ち上がり、パーシーの重力に打ち勝つ。



「くっ!」


「いい加減にしろ。これ以上はどうなっても知らねぇぞ」


「……分かった」



 重力を解き、パーシーはそれ以上何も言わずモニカを追って走っていってしまった。

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