恩讐の炎
暗い、暗い闇の底。地獄にも似た姿の世界で、あるものは嘆く。
「どこだ……どこへ……」
何かを探すように彷徨う。大切な、大切な二つとない宝物。
「あぁ……目を離すべきではなかった……どこへ行ってしまったのだ……」
怪しく燃える青い炎が、流れる涙のように頬を撫でる。この世界で、唯一の救いが、愛が失われた悲しみが誰に分かるはずもなく、愛に嘆くものは探し続ける。
「我が愛しの娘よ……」
ここにいないのならば、もはやあそこしかあるまいと、愛に嘆くものは歩を進める。世界の次元すら捻じ曲げる。理は破られた。
希望という輝きをなくしたものが、たどり着く恩讐の彼方。愛を叫ぶ声は誰にも届かず、痛いほど己の心を締め付ける。色彩は途絶え、透明な感情が動き出す。この衝動に意味はなく、大義はない。愛するものを守りたいという意志が暴走し始める。青い炎が色濃く変色する。魂のような、蒼き焔が夜を焦がす。
「やはりここか……許さぬ……許さぬぞ人間共! 妾の娘を奪うなど……万死に値する!」
恩讐の炎が、愛ゆえに、世界を壊す。




