~第四十八章~
どうすればいい。こいつのこのすばやい動き。二対にナイフ。
打開策を考えながら、襲ってくる二対のナイフを捌く。
「ほらほらほらほらほらぁ!!」
陣内の声が頭に響く。
不快な声が俺の考えを纏まらせてくれなかった。
「ぐ!」
一瞬足元がふらつく。
「そこぉ!!」
その一瞬の隙を見逃さなかった陣内がナイフを振りかざす。
「ぐ、うあぁぁ!!」
右手のナイフが眼前をかすめ右頬に切り傷を作った。
後方に飛びのき間合いを取る。
「また傷が一つ増えましたね」
にやけるその顔を殴り飛ばしてやりたかった。
くそ、この眼鏡野郎が・・・
眼鏡?
そうだ!
一つの打開策が頭に浮かんだ。
しかしそれはあまりにも不確かであまりにも危険な策だった。
「へ、こっからさ」
「その自信はどこから来るんですかね!!」
陣内が地面を蹴り駆け出す。
俺も陣内の行動を見てカウンターで前へ掛ける。
陣内よりも数倍速い速度で。
「はや・・・」
陣内の眼前で斜め前の空中へ飛び上がり頭上を越える。
すれ違いざまに陣内のあごを掴み、弾き飛ばす。
何回転もバック転をするように陣内が回転する。
「ぐあぁぁ!!」
そのまま前方へ吹き飛びながら地面へ叩きつけられた。
「くうぅう、このガキィ!」
成功だ。
顔を抑えながらゆっくりと立ち上がる。
が、陣内はすぐさま辺りの異変に気づいて慌てだす。
「眼鏡!!眼鏡が!?」
すれ違いざま陣内の掛けていた眼鏡を奪い取ってやった。
どうやら陣内は極度の近眼で眼鏡がないとほぼ何も見えないに等しいらしい。
俺の姿が見えていないようで辺りをふらふらと歩き回るだけだった。
「これのことかぁ?」
眼鏡を掲げ陣内に声を掛ける。
声に気づいたのか俺の方を向いた。
「か、かえせぇ!!」
慌てふためくように声を上げる。
俺の勝ちだ。
「今返してやるよ」
地面の砂を巻き上げ駆け出す。
「え?」
そのまま左手を前に翳すようにして陣内の顔面に眼鏡を押し付ける。
それと同時に胸部をブレード・フィンの刃で貫いた。
「え?あ、え?」
白銀の刃を引き抜くとそこから大量の血が噴水のように噴出した。
「いやだ・・・死にたくない」
胸部を押さえながら後方へ後ずさりしていく。
両手で押さえているも、その行為も空しく血液は滝のように流れ出していた。
「いやだ・・・いやだ・・・」
ついに下がることを止めて、両膝を地面へつく。
「嫌だあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そのまま悲痛の叫び声をあげて地面へと倒れこみ絶命した。
「・・・俺は」
不意に感情が静まり冷静になる。
陣内に目をやると体の周りに真っ赤な血だまりが出来ていた。
「じん、ない?」
冷静になった耳にもう一人の男の声が聞こえてきた。




