~第四章~
太陽は昼間の激しく燃え滾った陽光とは打って変わって地平線にその身を落とそうとしている。
一定のリズムで黒板に書き綴られる白い文字を一生懸命に写し、体の気だるさとも戦う。
不意にその戦いに終わりを告げる鐘が鳴り響いた。
「じゃあ今日はココまで」
黒板に字を書けるだけ書いて満足そうに教師が教室を出て行った。
「ふう・・・書きすぎなんだよあいつ、やっと終わったぜ」
口からため息を漏らし、酷使した右手の関節を鳴らす。
「疲れたぜー伊織~」
「ああ、でも今日も終わりだ」
隣では机にうな垂れた憲弘が朝の元気の欠片も見せずに呟いた。
「そういや憲弘、お前昼飯のときどこ行ってたんだ?」
いつも憲弘と一緒に食べるのだが用事があるといい、今日は別の奴と食べた。
「あ、あぁ、ちょっとな・・・千春に呼ばれてよ」
「え?」
心臓が震えた。
何があった?何の用事なんだ?何を言われたんだ?
頭の中で様々な憶測が飛び交い、思考回路をショートさせる。
「まぁくだらねえことだよ、俺がよく聞く歌手のCD貸してくれだってさ」
「・・・そうか」
納得は出来なかった。そんなことなら別に呼び出さなくてもいいんじゃないか?
俺と飯食ってるときに普通に言っても何の問題も無い。
俺に聞かれてはまずいようなことなのか?
考え出したらきりが無かった。
「ホームルーム始めるぞ~、特になし。終わり~」
そんな考えをやる気の無い掛け声とともに、授業の最後を締めくくるホームルームを終わらせる声が響いた。
その声を聞いて生徒達がどっと席を立ち、いっぺんに教室から出て行く。
俺も考えていたことを振り払い、憲弘と教室を出て行った。




