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~第三十八章~


「おぉ、すげえ・・・」


先に駆けて行ってしまったフリントとシーナの後を追って集落がある場所まで向かっていった。


少し進んだその場所には洞窟がありその中に入ると所々に火の灯されたたいまつが燃え上がり辺りを明るく照らし出していた。


動物がどうやって火を炊くんだ?と、一瞬考えたが先ほど杉弓の話で


「俺の相手した奴は火を吐いてきた」


と言うことを聞いたため中にはそういう特別な能力を持った狼がいるのだろう。


お世辞にも広いとはいえない内部だが別に暮らせないというわけでもなく俺が想像していたより存外綺麗なところであった。


辺りを見回せば翼を生やした狼、ウィンガルム族が点々と見られる。


警戒しているようにも見えるが今すぐ襲い掛かってくるようなことはなさそうだ。


篠崎と杉弓もこの洞窟内の集落に驚きを隠せないでいた。


ふと、隣にいたシーナが歩き出す。


何をするのかと思ってみていると、前方にいたウィンガルム族に人間の言語で話しかける。


通じるのか?そもそも何でシーナやフリントは人間の言葉が話せるんだ?


二人は他のウィンガルム族と違って耳と尻尾が生えている以外、至極人間に近い外見をしている。


しかし、ダッシュやロードのようにほとんどが狼の外見をしているものたちしかこの場所にはいない。


ふと辺りを見回すといつの間にかダッシュとロードはいなくなっていた。


話を終えたのかシーナがこちらに戻ってくる。


「長老と話をすることが出来る。他の者達にもイオリ達は害がないということを伝えた。寝床も用意させるよう手配したぞ」


「何から何まですみませんシーナさん」


「俺達みたいな部外者でもいいのか?」


篠崎と杉弓も集まる。


「気にはするな。お前達は特別だ」


そういってシーナは再び笑顔を零す。


この笑顔を見ているだけで俺は今までの疲れが癒えてしまうような気がした。


「ち、長老って?」


なんとか自分の心を誤魔化してシーナに尋ねる。


「まぁ、この集落の長みたいなものだ」


そういってこっちだと俺達を案内して奥の暗がりに足を進めた。




少し進むと大部屋のような場所に出た。


中央に岩が重なり少し高くなった場所に草木のカーテンのようなもので遮られたところがある。


シーナがその前に片膝を着いた。


「長老、シーナ今戻りました」


がさっと奥で何か動く音が聞こえる。


「すみません、偵察の途中でニンゲンに襲われ負傷していたところをこの者たちに助けられました」


俺達も前に進んでしゃがんでいるシーナの後ろに立ち尽くす。


「・・・この匂い、ニンゲンか」


な!?


少し空気が震えているような気がした。


この草木のカーテンの奥にいる者の殺気なのか、密閉されたこの空間で空気が俺達を押しつぶそうとしているようだった。


奥から擦れたようないかにも長く生きていそうな低い声が響いてきた。


しかもその声は俺達人間の言葉だった。


「長老!!こ、この者たちは他の人間とは違います!!」


シーナが慌てるように声を荒げる。


次の瞬間、草木のカーテンが音もなく開いた。

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