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~第三十四章~


「そういえば・・・」


篠崎が言いにくそうに重たい口を開いた。


「ここに来る途中、あなた達ウィンガルム族といざこざがあって・・・」


申し訳なさそうに篠崎が俯いたまま言う。


「いいよ、外の奴らはみんな悪い奴らばっかりだから、俺達は自分からは絶対に他の生き物を襲わないから・・・」


すは言ってるもののやはり同胞を失ったのは辛いのだろう。


声がくぐもっていた。


「おーい、水汲んできたぞ」


静寂が流れていた場にタイニング良く?杉弓が帰ってきた。


「ん?どうした?篠崎?」


辛そうな表情に気づいたのか杉弓が心配そうに声を掛ける。


「ん、大丈夫です。それより紹介します。この子がフリントで、この二匹がダッシュとロードです!」


平常心を保ったように振る舞い杉弓に一人と二匹を紹介する。


もちろん、ダッシュとロードの説明が必要だった。


水で濡らしたタオルを女性の額に掛ける杉弓。


見とれているのかどうかは分からないがその脇でじっと座っていた。


フリントも信用してくれたのか女性の側に行ってもなんも警戒することはなくなった。


「さてと、あの馬鹿はほっといて・・・」


体をゆっくりと起こしてフリントに正対する。


「俺も一つ聞いていいか?」


「ん~?何でもいいぜ~?」


フリントがにっこりと微笑んで答える。


「率直に聞く。ウィンガルム族はみな俺達人間と同じ姿をしているのか?それともダッシュたちと同じで言葉は喋らず四足歩行か?」


「う・・・そ、それは・・・」


フリントはどもってしまった。


「ちょ!上総くん!その言い方はちょっと・・・」


「黙っててくれ」


すこし威圧をこめてその言葉を静止させる。


フリントは俯いたままだ。


「お、俺達は・・・」


ゆっくりと口を開く。


「あっ!?ちょっと、まだ動いてはならんぞ!?」


不意に後方から女性を眺めていた杉弓の声が響いてきた。


「フリント・・・それ以上は言ってはならぬ」


「姉上!!」


ゆっくりと上半身だけ起こして女性は目を覚ました。


その姿を確認するとフリントは飛び上がりながら女性の下へ飛びついて抱きついた。


上半身だけ起こした女性はとても美しかった。


獣のようなワイルドさの中にどこか気品にも満ちたその姿からは目が離せなかった。


容姿は文句の付け所などあるはずもなく細く整った輪郭。


肩ぐらいまでの長さで茶色をして少々、乱れた髪。


きりっと鋭い瞳と眉毛。


戦いをしていたのかすこし汚れや乱れが目立ち、肌が露になっている。


これなら杉弓が目を離せないのも納得だ。





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