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~第三十章~


「生き返ったぜ~」


川の畔に無防備に座り込んでそう言葉を発する。


「確かに、これは助かったな」


杉弓は水浴びをしたのか髪の毛が濡れて雫を垂らしていた。


「ここでしばらく休みましょう」


どこで取ったのか知らない竹筒を水筒のようにして俺達に渡してくれた篠崎。


本当にしっかりしてるぜ。


まるで母さんを見ているかのような感じがした。


ふと対面の川岸に目をやる。


「・・・ん?」


視界の中になにかうごめくものを捕らえた。


そちらに目を移すと俺達に場所から右方に少し進んだところに、人影のようなものがあった。


「おい、二人とも・・・あそこ・・・」


声を細くして、その人影に気づかれないように杉弓と篠崎に声を掛け指差す。


「人・・・か?」


「ですかね、一緒に列車に乗った人達でしょうか?」


その声に反応して二人は静かに俺の場所まで移動してきた。


目が慣れてきて次第にその人影が鮮明になっていく。


どうやら、少年のようだ。


衣服を着ているのだがかなりさびれていて汚れが目立つ。


少年は、ゆっくりと川の畔に現れると警戒しているのか辺りを見回している。


こちらには気づいていないようだ。


不意に少年がやってきた方向の草陰に姿を消す。


「あ・・・戻った」


「戻りましたね」


「戻ったな」


三人の言葉が重なり、少し大きくなった声量を口に手のひらを当てて慌てて抑えた。


そして再び少年が草陰から頭だけを出して、辺りを見渡す。


「・・・可愛い」


そのしぐさに篠崎の口から本音が零れだした。


少年頭を引っ込めると、後ろ向きで再び表したその姿に俺達は目を疑った。


「なんだ・・・あいつ!?」


俺達は揃って目を大きくする。


少年の臀部からは犬のような尻尾が生え、頭部にも同じような耳、そして引きずるようにして一人の女性を運んでいた。


その女性にも少年と同じく尻尾と耳が生えていた。


「あいつら、この世界のやつらか」


そういう杉弓。


俺も同感だった。


少なくとも俺達の世界にあのような姿をした人間はいない。


明らかにこの世界のものだろう。


「あの女の人・・・凄い怪我してる」


篠崎の言葉に反応して女性に目をやるとその体中は傷だらけで出血がひどかった。


少年がやっとの思いで川辺に到着する。


上着のポケットから一枚の汚れたタオルを取り出して水に浸し、力強く絞ると川辺に倒れこんでいる女性に近寄っていった。


どうやら看病しているようだ。


その姿を見つからないように息を潜めながら俺達は眺めていた。



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