~第二十五章~
「篠崎・・・にげろぉ!!」
声を振り絞って言葉を投げかける。
「あ・・・あ、あ・・・あ、」
しかし、体を振るわせるだけでその場から動く気配がない。
不意に化け物が大またで徐々に近づいていくのが目に入った。
「し、のざきぃ!・・・俺の声を、聞けぇ!」
全く反応を示さない。
「グルゥゥ」
遂に篠崎の眼前まで巨大な化け物が来てしまった。
「あ、・・・い、いや・・・」
恐怖に打ち震える体は全く篠崎の言うことを聞いてくれない。
化け物が再び、その大きな拳を天に振り上げる。
「やめろ・・・やめてくれ・・・」
体に鞭を撃って何とか立ち上がる。
どうやら骨折などはしていないようだ。
化け物は振り上げた拳に力を込める。
「お父さん・・・お母さん・・・」
そして、拳を放った。
「やめろぉぉぉぉ!!!」
ズガァァァァン!!
拳が篠崎に振りかざされた。
砂煙が轟々と立ち込めて辺りの視界を奪う。
俺は何故か体の痛みが消えていた。
次第に砂煙が晴れる。
「グロォ?」
「か、ずさ・・・くん?」
晴れた砂煙の中で篠崎と化け物の拳の間に割って入り、空気の壁を左手の前につくり拳を片手で受け止めた。
化け物がゆっくりと拳を引く。
「無事か篠崎?」
「は、はい・・・」
真っ直ぐと俺を見ている瞳は正気で、そこに涙を浮かべていた。
「下がってろ、杉弓を起こしてくれ」
そういうと篠崎はゆっくりと立ち上がり銃を拾って杉弓のもとへ駆けて行った。
「てめぇ・・・篠崎を、泣かしてんじゃねえぞ」
空気の壁を解除して左手を下ろす。
「グガガァァァ!!」
化け物が再び叫んだ。
そして拳を振り上げる。
「ただの力しかねえ下等な種族に癖に・・・」
そのまま拳を放ち、俺に一直線で向かってくる。
ズガァァン!!
だが、拳は空を切り俺の足元の土砂を空中へ巻き上げただけだった。
その場から一瞬で移動し、地面に突き刺さった巨大な腕を駆け上がる。
「いきがってんじゃねえ!!」
肩まで駆け上がり左頬へ、ストレートを打ち込んだ。
「ブルォォ!!」
攻撃の衝撃で巨体はバランスを崩し、反対方向へ倒れこむ。
大量の砂煙と土砂を巻き上げて倒れた。
「上総君・・・すごい」
「あぁ・・・味方でよかった」
篠崎の呼びかけで目を覚ました杉弓達は驚きを隠せずに居た。
「グラァ!グラァ!グラァァッ!!」
化け物の表情が明らかに憤怒に満ちているのが分かった。
牙の無数に生えた口を大きく開く。
その目の前に、光に収束が確認できた。
円状に徐々に巨大化しているそれは交わしたら篠崎たちに被害が及ぶことは明らかだった。
俺は右手を後方へ下げるようにして構え、その前で弾裂空を収束させる。
「あいつ!あれを迎え撃つ気なのか!?」
「上総君は私達に被害が及ぶんじゃないかって考えてあの行動を取ってるんです。上総君は周りのことを第一に考える人だから・・・」
「お前達ってそんなに絡んだことないんじゃ・・・」
「ありませんよ、上総君はうちの高校では人気者です」
化け物と俺の攻撃が肥大化していく。
「だから、上総君はそのみんなと仲良くはなれません。私もその一人です」
そして、最高潮までパワーを蓄積した。
「でも・・・」
そして、一気に放つ。
「うらぁぁぁ!!!」
「グガァァァ!!!」
弾裂空とエネルギー弾が衝突した。
「私は上総君のことが好きですから」




