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~第二十ニ章~

鬱蒼と生い茂るジャングルを歩き進んでようやく先ほどの杉弓が指定した場所に到着した。


「お待たせ」


そう投げかけたのは、俺より先に杉弓と篠崎が集合場所に到着していたから。


蔦の絡み合う大木の下で杉弓は寄りかかりながら腕を組み、篠崎はその大木の根元に腰掛けていた。


「無事だったか」


「よかったです」


当たり前だろと微笑みながら言葉を返すと、篠崎の足の怪我に目がいった。


「篠崎!その足大丈夫か!?」


駆け寄るようにして篠崎の足元にしゃがみこむ。


少量とはいえないほどの出血をしている足を見てつい声を荒げてしまった。


「大きな声を出すな!」


その声を聞いて杉弓が辺りを見回しながら注意をする。


「わ、わりぃ」


「私は大丈夫ですよ、上総君・・・」


そうは言うものの、その周辺を摩っただけで少し顔を歪めているのが分かった。


「痛そうにしてるじゃないかよ、ちょっと待ってろ」


そういって俺は、部活中に痛めた手首の包帯をすばやく解く。


四肢強化のおかげかどうかは分からないが、この列車の乗ってから全く痛みを感じなくなっていた。


「え?上総君!?そんな・・・悪いよ」


「怪我人がそんなこと気にするな、俺は大丈夫だから。それよりばい菌とかはいったら大変だろ?」


すべて解き終え、少し砂で汚れてしまっている包帯を叩く。


女に汚れて汚い物を渡すほど無神経じゃないからな。


そして、桐峰のブレザーを脱いでワイシャツの端を口で引き裂く。


「水かなんか持ってないか?」


そう言って篠崎と杉弓の顔を見るが二人とも横に首を振ってしまった。


「しょうがない・・・ごめん、篠崎。ちょっと沁みるぞ」


そう言葉を投げかけてワイシャツの切れ端で足首の傷口を静かに摩る。


「ん・・・」


痛みを堪えるような表情をしながら小さく声を零す。


血をふき取った後再びワイシャツの端を切り裂き、その端をガーゼ代わりにして傷口に当てて包帯を巻いていく。


「手馴れているな」


横から俺の応急処置を除いていた杉弓が声を上げる。


「空手部だからな、テーピングくらいは自分でやれなきゃしょうがないだろう」


そういって包帯を巻き終えると端と端を結びとめる。


「これでばい菌は何とかなるだろう」


「あ、ありがとう・・・」


ゆっくりと立ち上がり篠崎の顔を見ると頬を赤らめながらお礼を言った。


そして篠崎もゆっくりと立ち上がり足の調子を確かめるようにすると、問題なかったのかにっこりと微笑んで再びお礼を言った。


「さてと、応急処置も終わったところで次はどうするか」


杉弓がもたれて木から体を起こすと刀を腰に収めながらそういった。


「どうしましょう・・・」


篠崎もそれぞれの武器を背負い口を開く。


俺は少し考えて・・・


「ここはリーダーを決めよう」


そう答えた。


「「リーダー?」」


二人は全く同じタイミングで息もぴったり合わせながら不思議そうに言葉を漏らす。


「あぁ、状況が分からない今、判断を誤ったりするのは危険すぎる。だからリーダーを決めてそいつに判断を煽ろう。そいつが出した判断が正しいかどうか分からないけど、すくなくとも居ないよりかはましだ」


そう説明すると二人は黙ってしまった。


「杉弓、あんたがやってくれ。さっきの判断は単独行動をして危険にはなったがあの状況でみんなに伝える判断力と行動力は正直俺には出来そうもない。俺はあんたが適任だと思う」


本当のことだ。


確かにあの作戦は、かなり危険だったが生存率はかなり高い作戦だ。


三人いっぺんに戦ってお互いを攻撃しあってしまう危険もないし、狼どもに集団で襲われることもなかった。


「・・・」


俺たち三人、輪になって話し合いをしている。


今、敵から襲われたらかなり危険だ。


「杉弓さん、私からもお願いします」


「・・・分かった、やろう」


杉弓が決心したように俺の提案を受け入れてくれた。


「ありがとう」


そういって俺も両の手に武器をはめ込んで再びその場を出発した。



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