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~第二十一章~上総伊織


辺りでざわつく木々。


まるでそれぞれが会話をしているかのように、それは鳴り止まない。


突き出した片方の拳の先に伝わる軟い風。


俺の放ったさっきを周りに伝えるかのように吹きすさぶ。


「どうした?来いよ犬畜生」


「ガ、ガウ!!」


動物に人語が理解できるのかどうかは知らないが、この狼は俺の挑発に乗って地面の砂を巻き上げた。


翼を羽ばたかせ、人の身長ほどの高さを低空飛行しながら向かってくる。


俺もすかさず地面を蹴った。


「ガ!?」


目にも留まらぬ速さで地面を駆けて狼との間合いを一気に詰めた。


狼が俺を視界から取り逃がし、一瞬空中で体が強張る。


「ここだよ」


俺は低空飛行する狼の腹部の下に移動した。


「うらぁ!」


「ギャン!」


そのまま片手で地面を弾き、ロケットが撃ちあがるように狼の腹を蹴り抜く。


狼は口から多量の血を吐き、重力に逆らいながら空中へと飛び上がる。


まだまだ、だぜ


蹴り上げたままの勢いで、空中へと舞い上がり狼の上部へすばやく移動する。


「四肢強化をなめるなよ?」


そのまま足を振り上げて、俺の速さに全く反応できていない狼の後頭部に踵落しをお見舞いする。


地面へと一直線に落下して行き、凄まじい轟音とともに砂埃を巻き上げた。


「抜かりはしねぇ!」


踵落しを放って腹部を地面に向けた俺はそのまま拳を振り上げる。


そして地面に向かって一気に弾空裂を撃ち放つ。


砂埃の掻き消えないまま、再び大きな衝撃とともに砂埃が舞った。


「どうだ?」


俺は砂埃からすこしはなれた場所に着地する。


次第に砂埃が晴れると、そこには何とかして立っている傷だらけの狼の姿が目に飛び込んできた。


「案外タフなんだな」


「・・・ガウゥ!」


狼が最後の力なのか、両前足を振り上げ爪を伸ばしてくる。


「ふん」


両の拳を前に交差するように突き出す。


すると、爪はその寸前で擦れあうような音を上げて停止した。


「この拳の前に空気の壁を作って受け止めた・・・次で最後だ」


ギリギリと擦れあいながら停止している爪。


俺は交差していた拳を一気に開く!


開放の勢いで爪は両サイドに開かれた。


俺はその開かれた道を地面を蹴って突き進む。


一瞬で狼との間合いを詰めた。


爪は未だ開ききったままで、閉じることはおろか爪を戻すことすら出来ていない。


「死にな?」


そのまま拳を振りかぶり、弾空裂とともに打ち抜く。


狼の腹部に拳大に風穴を開けて、肉片、内蔵ともども狼の体から弾き出した。


胴体に風穴を開けられた狼は瞳をグルンと上部に反転させてその場に倒れこむ。


完璧に絶命した。


あれで助かるはずが無い。


「みんなは無事かな?」


その死体に見向きもせずに、元居た場所へと向かっていった。

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