~第十章~
あれからどれだけ時間が経過しただろう。
俺と杉弓は自己紹介をした後、軽く世間話をして、お互いの持っている情報を交換した。
互いの能力強化も話した。
どうやら杉弓は風力。風を操る力らしい。後で紹介してくれるとのことだ。
俺も四肢強化のことは説明した。
2人ともあまり情報が無かったが、杉弓にはあの男のことを説明した。
そのおかげで杉弓もなんで俺の名前を知っていたのか理解できたらしい。
そして俺は杉弓からとてもありがたい情報を聞いた。
この列車の目的地までは知らないらしいが、トレイン・マークから聞いた事によると、少なくともよっぽどのことが無い限り人間同士で殺しあうようなことは無いらしい。
ということは、目的地にいるであろう敵は少なくとも人間ではないということ。
ますますファンタジーな世界に入っていった。
魔物や怪獣などと戦うとでも言うのだろうか。
そして、もうひとつの情報・・・
この武器には特殊能力があるらしい。
それを今から杉弓に見せてもらうところだ。
「まずは俺自身の力だ」
そういって杉弓は刀を持っていない右手の平を胸元辺りで天井へと向けた。
すると、車内にもかかわらず頬をかすめる風を感じた。
その風は徐々に強くなっていき、次第に眼で認識できるほど濃くなっていく。
そして杉弓の手のひらの上に収束し始めた。
そして、手のひらの上に小さな竜巻が出来上がった。
「これが風力」
そう言って手のひらの上に出来上がった竜巻を握りつぶす。
収束していた風は一気に霧散して、さきほどの倍以上の風の勢いが頬をかすめていった。
「そして・・・」
不意に腰にt携えていた刀を鞘から引き抜く。
「これが刀の力だ」
そういうと刀を下段の構えに直し、隣の座席に正対するとそのまま一気に右下から左上へ降り抜く。
標的になった座席が綺麗に4つに両断されていた。
「『一刀三迅』これが刀の力。一振りで三太刀分の斬撃を加えることが出来る」
そういい終えると納刀して再び座っていた座席に着いた。
「・・・すげえな」
完璧とまでは行かないが自分の力を理解していて、尚且つ使いこなせている。
俺は素直に驚いていた。
「さ、次は上総の番だぜ」
「あぁ」
そういって立ち上がる。
内心すこし緊張しているのは杉弓には内緒だ。
「・・・ってか俺、武器の特殊能力なんか知らないぞ?」
「なんだ知らんのか・・・武器をはめてみろ。そうすれば『教えてくれる』」
教えてくれる?
この単語が気になったがとりあえず杉弓の言う通り武器を両手にはめた。
「!?」
「どうだ?教えてくれただろ?」
「・・・あぁ」
それは、あっという間だった。
杉弓の言葉を聴いて武器をはめた途端、頭の中にその名前から、使い方まで一気に流れ込んできた。
文字通り『教えてくれた』
「俺の武器の力は・・・」
そういって正拳の体勢をとる。
そして腰の円運動で一気に拳を前へ突き出した。
ズガガガガガッ!
触れてもいないのに目の前の座席が塵のように、煙を巻き上げながら吹き飛ぶ。
「『弾裂空』だ」
「ほぉ」
弾裂空は拳を前に突き出し、そこに充満する空気を拳の勢いで発射する。いわば空気の弾を打ち出す力。
それは力が強ければ強いほど衝撃は強大になりまるで、空気を引き裂く弾丸を撃つかのごとくだ。
四肢強化で得た力と相性が良すぎる。
「まぁあとは四肢強化なんだけどここじゃ狭いし、そう壊してばっかりいたらトレイン・マークに怒られそうだから目的地に到着してから紹介するよ」
そういって俺は武器を外し、席へ着いた。
お互いの力を紹介しあった2人に心中はまったく同じことを考えていた。
仲良くなって良かった、と。




