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失敗だった。そうフランは思った。


中庭には、まさかの先客が……。どうしてこんなタイミングで、ここでお茶をしているのか……。


「て、テオドール様……これには、深い訳がありまして」


いや、いう程深くはないかも、寧ろ浅い……フランは、自分で言って自分で突っ込みをいれた。


「どうして、兄上とヴィオラが」


かなり、テオドールは衝撃を受けている。元々悪い顔色が更に悪くなる……。


そして、次の瞬間ヴィルヘイムがヴィオラの手を握ったのが見えた。ヴィオラは恥ずかしそうにして俯いている。


これは、まずい。フランがそう思った時……。


「僕のヴィオラに触れないでくれますか」


テオドールの自称友人のレナードが、いつの間にかヴィルヘイムとヴィオラの前に立っていた。


「レナード、様……へ⁉︎ど、どうして⁉︎きゃっ」


ヴィオラは驚き勢いよく立ち上がる。その際に慌て過ぎて、ドレスの裾を踏みよろけた。


「大丈夫?ヴィオラ」


レナードはヴィオラを抱きとめると、満面の笑みを浮かべた。そして、ひょいとヴィオラを持ち上げるとお姫様だっこをして歩いて行ってしまった。


レナードの余りに自然な振る舞いに、ヴィルヘイムもレナードたちも呆気に取られ固まり、動けない。


「ヴィ、ヴィオラ⁉︎」


ヴィルヘイムより先に我に我に返ったテオドールは、慌てて1人後を追った。









「あ、あの‼︎レナード様っ、下ろして下さいっ」


「大人しくしてないと、ダメだよ」


最後に彼をみた時は、再起不能くらいには落ち込んでいた気がするが、立ち直ったのだろうか。そもそも、どうしてレナードがこんな所にいるのか、不思議でならない。


「……レナード様、下ろして下さい。私は物ではありません。ちゃんと、もう自分の足で立って歩けるんです」


以前は言えなかった言葉だ。


「……そう。分かったよ」


上機嫌だったであろうレナードは、急に不貞腐れた顔をするとヴィオラを下ろした。ずっとヴィオラに対しては、優しかったレナードの新たな一面を垣間見た気がした。


「レナード様……」


「あの時。君には、僕は必要ないって言ったよね」


その言葉に、頭の中にあの時の言葉が蘇る。


「はい……」


あの言葉に嘘偽りはない。


「それは今も変わらないの?」


「はい、変わりません」


ヴィオラは即答した。今はもう迷いはない。


それにしても複雑な気分になる。レナードではなく、まるで違う人と話しているようだ。だが、本当の彼はこちらなのだろう……。


「ふ〜ん」


如何にも面白くないという顔をするレナード。


「まさか、テオドールが好きなの?」


まさかの呼び捨て……。

レナードも確かに王太子ではある、いや今は分からないが……。

それにしてもだ。この大国の王太子であるテオドールを呼び捨てにするのは、些かマズイのでは……。


「……はい。そのまさか、です」


「ふ〜ん」


「……ですが私、テオドール様にフラれてしまったんです。だから、せめて恩だけでもお返ししたいと思っています。ですから、レナード様に」


構ってる場合ではない、と続けようとした時。


「……っは⁉︎、なっ、は⁉︎」


その時、柱の影から奇声が聞こえた。




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