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「レナード様、これは、その……」


レナードはツカツカと歩いて来ると、未だテオドールの腕の中に収まっているヴィオラを引き剥がそうとする。だが……。


「僕のヴィオラから、離れてくれるかな」


テオドールは、ヴィオラの腕を掴み離さない。


「僕のヴィオラ?彼女は、君のものじゃないよ」


テオドールの言葉に、ヴィオラは驚き目を見開く。王太子相手に、流石にその物言いは不味いのでは……。

レナードを見遣ると、かなり怒った様子でテオドールを睨みつけていた。


「生憎、彼女は僕の婚約者だ。今宵これから、正式にお披露目をする」


レナードとテオドールが、言い争いを始めると、周囲は騒然とした。元々注目の的だったが、更に視線を集めている……。


「僕の婚約者に手を出すなんて、赦せる事じゃないっ‼︎」


レナードは抑えきれない怒りで、声を荒げ、その声はかなり大きく響いた。瞬間、広間は水を打った様に静まり返る。演奏は止まり、人々は雑談を止めた。




「あのさ。君、僕が誰だか知ってて話してる?僕は、この国の」


「王太子殿下、だよね?無論知っているよ」


なら何故、そんな態度を……ヴィオラは、戸惑いながら2人の会話を聞いていた。王太子であるレナードに対して、しれっとして普通に話している……。いや、寧ろ偉そうかも知れない……。兎に角、怖すぎる……これでは、不敬罪で首が飛ぶ事間違いなし。最悪だ。


だが、テオドールは自分の為に此処に来てくれた。もしも、その様な事になってしまったら……自分も腹を括ると、ヴィオラは心に誓った。


「ふ〜ん。僕の事を知っていて、その態度か……随分と軽んじられたものだ」


瞬間レナードが、右手を軽く上げると、それを合図にヴィオラとテオドールは、何処からか集まって来た兵士達に取り囲まれた。


「れ、レナード様⁈」


ヴィオラは、驚き声を上げる。


「ヴィオラ、君はこっちへおいで。その男は、不敬罪で()()させる」


その言葉にヴィオラは、ハッとなりテオドールを見遣る。だが、テオドールは全く動じて無いどころか、余裕のある笑みすら浮かべていた。


テオドール様は、私を心配させない為に、余裕があるフリをしているに違いない……。

自分の所為で、テオドールはこのままでは……極刑に処されてしまう。

ヴィオラは、手をキツく握り締め意を決した。


テオドールを守らなくては!と思い、ヴィオラはテオドールから一歩離れると、テオドールを背に庇う様にしてレナードと対峙した。


「ヴィオラ?どうしたの、そんな怖い顔をして。可愛い顔が台無しだよ?あぁ……でも、怒った顔の君も素敵だね」


いつになく、満面の笑みでそう話すレナードが、不気味で、背筋が寒く感じる。


「大丈夫だよ、ヴィオラ。僕には全部、分かっているから。その男が純粋無垢な君に、近付き誘惑した……いや、それとも、何か弱みを握られて脅されてるのかな……。じゃないと、おかしい。君がそんな男を庇おうとするなんて有り得ない。……何れにせよ、安心して?もう、大丈夫だよ。僕が、今、君を、助けるからね?」


そう言いながらレナードは、ヴィオラへと手を伸ばし腕を掴もうとした。

無意識にヴィオラは、ビクッと身体を震わせてしまう。


パンッ。


瞬間、乾いた音が広間に響いた。








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