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ヴィオラはレナードの膝の上に乗せられ、2人でソファーに座っていた。歩けるようになってもレナードは、やたらとヴィオラを抱っこしたがるので、正直複雑だ。


「レナード様……」


「どうしたの?」


レナードはヴィオラの頸に顔を埋めていた。少しくつぐったい……それに、恥ずかしいが、いつもの事なので慣れてしまった。慣れとは怖い……。


「ロミルダ様は、一体何の病だったんですか……」


「う〜ん。原因不明みたいだよ。でも、まあ元々持病があったみたいだからね」


レナードの言葉にヴィオラは眉を寄せた。


持病……とてもそんな風には見えなかった気が……あんなに、元気そうだったのに。ヴィオラの頬を力一杯叩く程に。あれから、数日腫れが引かなかった……。


「ヴィオラ、そんな事より」


ロミルダの死を、そんな事で片付けてしまうレナードに、ヴィオラは少し怖さを感じる。


「どうやって歩けるようになったの?」


城に来て、ふた月以上は経つが、今更それを聞くのか……とヴィオラは苦笑した。再会したあの一瞬は驚いていたのが伝わってきたが、その後は特に何を言うわけでもなく過ごしてきた故、レナードは余り気にしていないのだと思っていた。又は興味がないのかと。


「ある方に、助けて頂いたんです」


その言葉に明らかにレナードの表情は変わった。だが、レナードに背を向けた状態のヴィオラには分からない。


「本当に、良くして頂きました。挫折してしまいそうな時も、支えてくれたんです。歩けた時も、まるで自分の事の様に喜んでくれました」


「……ふ〜ん」


弾む様なヴィオラの声色に、レナードは奥歯をギリッと音が鳴る程に、噛み締めた。


「それは、随分と親切な人だね。……で、その親切な人は今どうしてるの?」


「その方は……何処へ行ってしまいました」


「名前は?」


レナードの言葉にヴィオラは首を横に振った。もう、忘れなくては、そう思いあの人の名は口にしたくなかった。


「忘れました」








レナードは苛々しながら廊下を歩いていた。


「随分と苛々してるな。ここの所上機嫌だっただろう」


横を歩くアランは、横目でレナードを見遣る。ロミルダが原因不明の病でなくなり、国王もヴィオラをレナードの婚約者として正式に認めた。まあ、色々と問題はある……何しろヴィオラは、王太子殺害を企てたとされ処刑されたモルガン侯爵の娘だからだ。普通に考えたら、婚約者にするなど、あり得ない。国王も随分と悩んだそうだ。

だが、レナードの執拗な嫌がらせに、とうとう折れたらしい……。国王の苦悩する姿が見える様だ……。



何はともあれ、その事で、レナードはずっと機嫌が良かった。なのに今日は打って変わり、かなり機嫌が悪い様子だ。また、何かあったのか……。


「……ヴィオラに、悪い虫がついている」


「悪い虫?」


レナードは、あの後も執拗にヴィオラから聞き出した『親切な人』の話を、アランに話した。結局、名前や詳細は分からないままだが。


その話に、アランは微妙な顔をした。


「それは、悪い虫とは言わないんじゃないか……」


「は?アラン、君耳腐ってるんじゃないの?どう考えても、そいつは下心しかないだろう!」


「いや、そんな事はないと思うがな。その証に、その人物は何処へ行ってしまったのだろう?本当に、下心があるならヴィオラ嬢について、王都まで来ている筈だと思うが」


レナードは、アランの言葉に黙り込んだ。


「兎に角、レナード。これ以上はやめておけ。幾ら王太子のお前でも、危うい……」


そこまで言ってアランは、口を閉じた。どこで誰が聞いているかも分からないと。


「煩い。僕に意見するな」


レナードはアランをその場に残して行ってしまった。残されたアランは、大きなため息を吐く。














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