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「テオドール、さま……?」


「そうだよ」


やっぱり、誰⁈

名前を聞きたい訳じゃない!名前を聞いた所で、この目前の少年が誰だか分かるはずがない。


「あ、あの、そうではなくて!貴方は誰なんですか⁈」


「だから、僕はテオドールだって」


「……」


私の、聞き方が悪いのだろうか……ヴィオラは、悩んだ。


「ねぇ、君の名前は?」


「へ、私、ですか⁈」


「君しかいないでしょう」


「ヴィオラ、です……」


思わず条件反射で答えてしまった……。


「ヴィオラ……素敵な名だね」


まるで吸い込まれそうなテオドールの瞳に、ヴィオラは目が離せなくなる。視界には段々と、テオドールしか見えなくなって。


「近っい‼︎」


物理的に近かった……。テオドールはいつの間にか、かなりの至近距離に顔を近付けていた。これでは当たり前だ。視界にテオドールしか入らないだろう。


「あぁ、ごめんね?君の瞳が余りにも綺麗だったから」


悪びれる事もなくテオドールは、恥ずかしくなりそうな台詞をしれっと言ってのけ、笑った。


テオドールが、余りにも屈託のない笑みを浮かべるのでヴィオラも思わずつられて笑ってしまう。


「あ、そうだ!」


ふいに、テオドールは何かを思い付いたように声を上げた。ヴィオラは目を丸くして、瞬きをする。


「散歩しようか」








「おろして下さい‼︎」


「ちょっ、そんな暴れないでよ。落ちちゃうよ?」


テオドールにヴィオラは横抱きにさせられる。所謂お姫様抱っこだ。


「なら早くベッドに戻して!」


「そんな興奮しないでよ。ちょっとだけ、付き合ってくれればいいからさ」


やっぱり不審者だった!人攫いだ!

これは、以前読んだ本に出て来た人攫いの常套句だ。


「大丈夫だよ、僕全然怪しくないから」


余計に怪しい。


「自分でいうなんて、怪し過ぎます!誤魔化しても無駄ですよ!」


自分で言っておいてなんだが、いう程誤魔化されている気はしない。怪し過ぎるし。



「正体を現しなさい‼︎貴方が不審者なのは分かっています!人攫いなど赦し難き悪行です!」


「私は言ってやりました!」と言わんばりの顔でドヤ顔をキメるヴィオラに、テオドールは思わず吹き出した。


「ハハッ、君面白いなぁ。それ、知ってるよ。なんだっけ、巷で有名な令嬢が云々とか言ったような」


ヴィオラはその言葉を聞いて、恥ずかしくなり顔を真っ赤にした。物語の主人公の真似をした事がバレている……。そのままヴィオラは黙り込んでしまった。


「大丈夫だよ、僕は悪人じゃない。どちらかと言うと君の大好きな()()()殿()()の方が悪人だと思うよ」


テオドールの言葉にヴィオラは訳が分からず固まった。それは一体どういう意味なのだろうか。そもそも何故テオドール(かれ)がレナードの事を知っているのか。


「貴方は、本当に誰なんですか⁈どうして、私がレナード様の事を好きだとご存知なんですか⁈」


「気になるところは、そこ?」


若干惚気混じりの、何処となくズレたヴィオラの言葉に、テオドールは苦笑いを浮かべる。


「それは……」


「それは?」


「それは、内緒だよ」


「へ……」


内緒と言われたら気になるに決まっている。ヴィオラは、少し頬を膨らませ拗ねような顔をした。


「そんなに頬を膨らませたら、可愛い顔が台無しだよ」


「ほっておいて下さい!」


これが、ヴィオラとテオドールの出会いだった。




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