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ヴィオラとレナードがこの町に来てから、半年と少し経った頃。


「殿下、流石にそろそろお戻り頂きませんと……」


レナードの背後(うしろ)に立っている従者は深刻な面持ちで話しているが、レナードはしれっとした様子で本を手にし眺めていて、聞いているのか聞いていないのか、返事をしない。


「殿下!陛下が今月には必ずお戻りになられる様に!との事ですので、お願い致します‼︎」


実は、み月程前には既に戻る様にと伝達を受けていたのだが、レナードはそれをずっと拒否し続けている。


派遣された従者は、こうやって毎日のようにレナードを説得し続けているが中々レナードは、首を縦に振らない。その理由は簡単だ。


父であり国王であるマティアスが、ヴィオラを王太子妃には認める事は出来ないと公言した為だ。理由は多々ある様だが、1番の理由は足が不自由な事にあるとも話したらしい。



その話を聞いたレナードは、その事に酷く腹を立てヘソを曲げた。そして城へ戻る事を断固拒否しここに留まり続けた。


「殿下‼︎」


「煩い。そんなに大声をあげずとも、聞こえている」


「でしたら、返事くらいなさって下さい‼︎」


「……わかったよ。戻ればいいんだろう」


レナードは、うんざりとした表情を浮かべながら、そう返した。


「い、今なんと⁈」


「だから、戻るよ。それでいいんだろう」


レナードの返答に従者は目に涙を浮かべながら、嬉々とした。レナードを説得する事、み月……長かった。このままレナードを連れ戻す事が出来なければ、最悪自身の首が飛ぶところだった……と安堵し胸を撫で下ろした。


「で、では、直ぐにでも支度を!」


従者はレナードの気が変わらない内にと、大慌てで部屋を飛び出し、帰路の支度を始めた。










「という訳で、暫しお別れなんだ……ヴィオラ」


レナードは一足先に城へ戻るとヴィオラに告げた。


「そう、なんですか……」


見るからに落胆するヴィオラをレナードは抱き締める。


「そんな顔しないで、ヴィオラ。僕は先に戻るけど、色々片付けたら君を必ず迎えに来る。それまで君はここで、ゆっくりするといいよ」


「レナード、様……」


「ヴィオラ、愛してる。僕が迎えに来るまで、いい子で待ってるんだよ」




そうしてレナードは、城へと戻って行った。ヴィオラは、暫くの間酷く寂しがり、食事も喉が通らず、睡眠も余りとれない日々が続いた。


ヴィオラはひたすら窓の外を眺めた。もう暫く外へ出ていない。


ふとレナードと一緒に散歩していた時の事が頭を過ぎる。

レナードがいなければ自分は、外へ出るどころか、この部屋から一歩たりとも出る事が出来ない。


こうやって1人になると、自分の無力さを改めて痛感する。また、私の世界はこの部屋と窓から見える景色だけだ。


「また……?」


以前も同じような事を思った事がある……?靄がかった記憶の中を、ヴィオラは必死に思い出そうとするが……ダメだ。全く思い出せない。


「どうしてっ……」


思い出せないの⁈深いため息を吐き、自身の情けなさにヴィオラが、シーツをキツく握り締めた時だった。扉が開いた……ノックが無い。デラなら必ずノックをして声を掛けてから入って来る。なら、一体誰……?


「レナード様⁈」





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