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「ヴィオラ様?」


「へ、あ、デラ……」


またやってしまった。数日前の舞踏会の出来事を思い出し、ぼうっとしてしまっていた様だ。


「お茶が冷めてますよ」


「あ、本当だ……」


「煎れ直してまいります」


すっかり冷めてしまったお茶を回収し手にしてデラは部屋を出て行った。



ヴィオラはため息を吐くと、窓の外へと視線を移した。舞踏会へ参加したのは、数日前の事。生まれて初めての舞踏会は、想像以上に凄かった……色々な意味で。


始めは幸せな気分に浸っていたが、途中からレナードの友人、元婚約者や国王らの登場により、ヴィオラは付いていけなくなってしまった。もう、ヴィオラには何が何だかんだ分からない。


そして、カトリーヌが泣き喚き連れて行かれてしまった後、更に意外な展開が訪れた。





「では、一件落着した所で」


そうレナードが切り出した。


「モルガン侯爵に頼みたい事がある」


今まで全然気づかなかった。レナードがモルガン侯爵と呼ぶと、1人の男が前に出た。


「お父様……?お母様?」


男の後ろには女が見える。ヴィオラは、躊躇いながらそう呼んだ。


こんな顔だったかしら……。


何分何年も会っていない故、顔すらどこか朧気だった。


「王太子殿下……私などに頼みとは一体」


何処かバツが悪そうにするモルガン侯爵に、レナードは笑った。


「貴殿の娘を貰い受けたい」


「ま、まさか……ヴィオラ、を……ですか」


「そうだよ。もしかして、ダメとか……言わないよね。そんな事言われたら……どうしようかなぁ」


その場の誰もが思った。これは頼んでいない、ただの脅迫だと。王太子から、こんな風に言われて断れる者がいたら見てみたいとまで思う。


そんな中ヴィオラだけは、頬を染め恥ずかしそうにしていた。


「い、いえ!そんな滅相もございません!無論、殿下のご随意に……」


「話が早くて助かるよ、モルガン侯爵」


此処で話は終わったように見えたが、モルガン侯爵の背後に控えていた侯爵の妻であり、ヴィオラの母のオリヴィアが一歩前へと出た。


「殿下、でしたらヴィオラではなく、三女のアンナリーナなど如何でしょうか?アンナリーナは気立も良く、ヴィオラよりも美人ですし、何より普通に歩けます。きっと殿下もお気に召します」


「アンナリーナ?ヴィオラの妹か」


「はい、殿下」


レナードが興味を示したと思ったオリヴィアは、にこかに笑みを浮かべた。そして、蔑む様な視線をヴィオラへとおくる。


「アンナリーナは、そんなに気立が良く、美しいと?」


「それは、もう。……アンナリーナ、いらっしゃい」


名を呼ばれアンナリーナは、勝ち誇った様な表情で胸を張り歩いて来た。


その瞬間ヴィオラは、見放される……そう頭を過ぎった。


「確かに美しい、ではヴィオラではなくアンナリーナを僕の妃に迎え入れよう」


ヴィオラは瞳を伏せた。



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