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部下を拾いました。 part4

彼女のスーツは家の乾燥機を使ってなんとか乾かした。メイク道具は昨日の買い物の時に100均で揃えたらしい。今時の100均は化粧品まで売っているのかと少し感心した。会社で見る彼女はそんなに濃いメイクはしていなかったので、ものの数分で支度を整えていた。出勤する時間も場所も一緒。自然に2人で会社に向かう事になった。自分の家から会社までは2駅ほど。大学時代に大学の近くにアパートを借りたら溜まり場になった経験があったため、近すぎず遠すぎず。だが、10分ほど満員電車に揺られなければならないのは少し辛い。いつも通り満員電車に身を任せている。ただ少しだけ違うのは後輩が一緒に乗っていること。満員電車なので少し距離が近い。すると、別に新たに人が入ってきたわけでもないのに、彼女が体を寄せて自分の顔を悲しそうな目で見てきた。その顔で察した自分は、彼女の背後にそっと手を回し、不審なところにある手を強く掴んだ。

「男が目の前にいるのにこんな満員電車で痴漢ですか?」

その手の持ち主は中年の男性だった。自分に手を掴まれた事に驚いたその人は必死に自分の手を振りほどこうとするがそんなの自分には関係ない。学生時代決して運動神経はいい方ではなかったが幼少期から嫌々柔道教室似通っていたことがあり、握力には自信がある。満員電車内で腕を振りほどこうとしているため目立ち周りの人から注目を受ける。その視線に気づいたのか男性は振りほどこうとすることをやめ、大人しくなった。後輩は自分の売り路で隠れている。少し目は涙目のようで、自分のスーツを震える手で掴んで離さない。よっぽど怖かったのだろう。昨日に今日だ。正直同情するほどこの子今、運がないなと思った。

「大丈夫だよ。次の駅が近いから駅員の人に事情を説明してもらう事になるけど必要なら自分がついていくし、会社には俺から説明しておくから。」

電車が駅に着くと、すぐに駅員室に男性と後輩を連れて行った。もはや言い逃れができないと思ったのだろうか。男性は正直に話し始めた。痴漢は冤罪が怖いが、今では手についている繊維質、指紋からある程度冤罪を防ぐことができるらしいが、今回の場合は直接自分が手をつかんでここまで離さなかったので間違いなくこの人はやっていた。それにこの子が人を騙すようなことしないとどこかで思っていたからかもしれない。


読んでいただきありがとうございます。

今日は長編の更新もあるのでこの時間に更新しました。

よければ長編の方も読んでいただくとありがたいです。


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