部下を拾いました。 part3
風呂から上がると彼女はソファーの上で丸くなり寝ていた。自分がいると本気で泣くことができなかったのだろうか。ソファーには涙の跡が残っていた。自分が風呂に入ってる間に命一杯泣いて疲れて寝てしまったのだろう。まだ顔を伝っていた涙を手で優しく拭った。
「おい。こんなところで寝てると風邪引くぞ。」
余程疲れていたのか、軽く揺すっても反応はない。風邪をひかれても困るので仕方なくお姫様抱っこで寝室まで運んだ。ベッドに寝かせると彼女は少し笑ったような表情を見せた。どんな夢を見ているのか気になったが、夢の中だけでも楽しく過ごしていることを願った。
翌朝。
「おはようございます。」
彼女が起きてきた。どうやら朝は苦手そうだ。眠たそうに目を擦っている。その目は昨日の影響で真っ赤に充血していた。
「おはよう。ご飯はできてるから、先に顔洗ってきな。」
自分は特別朝が得意というわけではないが苦手でもない。ちゃんと決まった時間に起きれるし、起きてすぐ行動も可能だ。朝食を作るのは好きで実はしっかり作る。もっぱら朝はご飯派ではなくパン派だ。だから炊飯器を1年以上使っていなかった。
「ふふ。先輩なんかお母さんみたい。」
うちにきて初めて彼女が笑顔を見せた。一晩寝て、少しは気持ちの整理ができたのだろうか。
「そんなこと言ってないで早く支度しなさい。メイクとかもあるでしょ。」
自分はその言葉に乗っかり、母親みたいな言動をしてみた。
「はぁーい。」
そうすると彼女は笑いながら洗面所に向かった。
少し短いですが今日はここまでです。
読んでいただきありがとうございます。
明日は長編の方も更新するのでよろしければそちらも読んでくださると嬉しいです。