ビターチョコレートシンドローム part 2
できるだけ毎日投稿しています。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
これの他に長編として『白い紫陽花』という小説も書いているのでそちらもよろしくお願いします。長編は毎週土曜日の午後に更新しています。
珍しく興奮したのか、勢いよく立ち上がった。
「進って言います。よろしく・・・。」
自分の口が回らなくなっていくことがわかった。世界がねじ曲がり、上が下、下が上になり目の前が真っ暗になった。
どのくらい意識がなかったのだろうか。気づいた時に友達の騒ぐ声が聞こえた。隣からは良い匂いがする。日焼け止めの匂いだろうか。香水の嫌な匂いではなく落ち着く匂い。少しずつ目を開ける。目にはタオルがかかっていてこのクソ暑い浜の中、冷たかった。タオルを少しずつずらし、外の様子を確認する。空はまだ青くて、太陽が容赦無く照らしていた。
「大丈夫ですか?」
自分が起きたことに気づいたのか、おそらく隣で自分のことを見てくれていたであろう人の声が聞こえた。女性の声だった。あの子なら良いな。
「はい。大丈夫です。」
自分はタオルを目から完全に外し、その人の顔を見るために、起き上がろうとする。すると、たまたまその時、その子が自分の顔を覗き込んでいたみたいで、勢いよく頭と頭がぶつかった。
「イッテェ。」
ぶつかった衝撃で自分の頭は再び地面に戻り、その子は頭を戻し、当たった部分をさすっていた。
「ごめん。そこに顔があるの気づかなかった。」
「いいえ。大丈夫です。私石頭なんで。」
再び身体を起こし、その子の顔を確認する。あの子だった。目を奪われた子。自分は恥ずかしくなって顔を伏せた。
「頭大丈夫ですか?よく見せてください。」
顔が近い。自分の顔を覗き込むように確認をしている。
「顔近いです。」
自分は我慢できなくなり、つい口に出してしまった。
「すいません。」
そう言って彼女は顔を離した。本当に心配してくれてたみたいで、顔を近づける行動は未意識だったみたいだ。
「熱中症だったみたいなので、はいこれ。スポーツドリンクですけどしっかり水分とってください。」
彼女から手渡しで飲み物をもらう。そういえば、なぜここに連れてこられたかを考えていて、悶々としており水分を取ることを忘れていた。
「ごめんね。せっかく海に来てるのに。こんな看病任せちゃって。ありがと。もう起きたから遊びに行って良いんだよ?」
「良いんです。私強制的に連れてこられたので。あまり外で遊ぶのは好きじゃありませんから。」
「そうなんだ。俺と同じだね。」
「おっ、起きたか。貧弱少年。」
稲垣が遊んでいるのを切り上げて飲み物を飲みに来た。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
明日は長編の方も更新します。そちらも楽しみにしていてください。
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