メガネの曇り part 11
昨日はすいませんでした偏頭痛が酷く更新ができませんでした。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
これの他に長編として『白い紫陽花』という小説も書いているのでそちらもよろしくお願いします。長編は毎週土曜日の午後に更新しています。
「何で入って来た?俺の部屋で待っていてくれって言っただろ。」
自分が急に吐いた強い言葉に少し驚いた様子のなずなだったが、それに喰いつくように言い返して来た。
「だって、私が直接話さないとしっかりと過去から抜け出せないと思ったんだもん。亮介の後ろで隠れて守ってもらってばかりじゃいつまで経っても亮介と肩を並べて歩けない。」
見たことのない見幕で自分に訴えかけてくるなずなに、自分は口を竦んでしまった。なずなが入って来たことに気づいた女はなずなに駆け寄り、しがみついた。
「なずな。わかるわよね。お母さん困ってるから助けてほしいの。短い時間で大きなお金が入る仕事があるんだけど・・・。」
部屋中にすこし鈍く、響く音がした。女は急なことに驚いていた。もちろん、父さんも自分も驚いた。なずなが手をあげたことに。
「いい加減に出て行ってよ。関わらないで。私の家族は亮介とお父さんだけ。あなたなんか知らないし、私はあなたのものでもない。私はこれからもずっと亮介と一緒にいるの。私たちの邪魔しないで。」
なずなから発せられた言葉に女は呆然としていた。なずなの声は割れ、怒鳴るより叫んでいるように感じた。なずなは瞬きを忘れ、目は血走り、涙が流れていた。自分はなずなに近づき、女から目を外すように抱きしめる。自分が抱きしめてもしばらくなずなは息が荒かった。少しずつ落ち着いて、自分の腰に手を回し、泣き崩れた顔を自分に近づけ、口づけをした。その口づけはすこししょっぱかった。
「と言うことなんで帰ってくれませんか?あなたの居場所はここにはありません。私もこの2人のことをあなたに邪魔されるのは耐えられないものがあります。お金も払う気はありませんし、お金を貸すこともしません。私はこの2人に今までひどいことをして来ました。だからこそ、2人が歩みたい道を全力で応援する義務があります。一種の罪滅ぼしです。その邪魔をするなら、私はあなたを許さない。しっかりと法のもとで戦いましょう。私はその覚悟がある。」
自分たちのことを見て父さんが言った。女はそれを聞いて大人しく家を出て行った。それでもまだ、なずなは自分の唇を離してくれない。
「いい加減離れてくれ。息子たちのキスシーンを目の前で見せつけられるのは親として恥ずかしい。」
父さんの一言でなずなは自分から離れた。
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