メガネの曇り part 10
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これの他に長編として『白い紫陽花』という小説も書いているのでそちらもよろしくお願いします。長編は毎週土曜日の午後に更新しています。
「帰って来たか。」
新しくできたメガネをかけていることでその醜い顔をしっかり確認することができる。やっぱりなずなの母親だ。1目見ただけで悪寒がする。この女は自分が好きな人を傷つけ続けた人間だ。もし死んだとしても許しはしない。むしろ、自分から手をかけてやりたいくらいだ。自分はカッとなる気持ちを抑えて冷静に言う。
「なずなはあなたのもとには行かせません。なずなはもううちの家族です。あなたは違う。いい加減関わるのをやめていただきたいのですが。これ以上騒ぐと警察を呼びますけど?」
「何を言っているの?なずなは私の娘です。自分の娘を迎えに来るのがいけないことですかね?」
こちらが敬語で冷静に対応しているのを見て、向こうも声を若干抑え、いかにも冷静ですよと言った感じを出している。
「いけませんね。もうあなたには親権がありませんし、何よりなずなに暴力を振るっていた人は余計に無理です。」
「何のこと?身に覚えがないんですけど。私がなずなに暴力を振るっていた証拠でもあるのかしら。あるもんなら見せてもらいたいですね。」
当時の自分が中学生だったため証拠など残っていないと思っているのだろうが、残念ながらある。しっかりとしたものが。
「ありますよ。見せましょうか?」
女の顔の色が変わる。自分はスマホを出して、ある動画を再生する。その動画は、なずなが暴力を受けている動画だった。顔もしっかりと写っている。
「何でこんなものが。」
「当時の俺が中学生だったからって油断していたでしょ。甘いですね。こうしてしっかりと残ってます。ちなみにスマホを壊しても無駄ですからね。その動画はネット上の自分のデータベースにちゃんの保存されてます。その動画の2日後に撮ったなずなの痣の写真もあります。期日も残っているので逃げることはできませんが?」
当時中学生の自分がここまでできたのは、たまたまその時浮気の事件で裁判で立証するためには動画が一番いいと言う番組を見ていたからだ。なずなのことを好きで良く見ていた自分がなずなの変化に気づかないわけない。あの女の暴力に気づかなかったわけじゃなかった。でも、父さんはあの時話は聞いてくれない状況だった。だからいずれ使えると思って証拠を残すことに集中してしまった。2人の間に入ってなずなを守ることもできた。当時のなずなには悪いことをしてしまったと思っている。
消すことのできない証拠を見せられて女は青ざめていた。
「わかったなら出て行ってください。あなたはここにいていい人ではありません。そして2度とか変わらないでください。なずなにも、父さんにも。」
女は腰を落とし、途方にくれた顔をしていた。
「なら、お金だけでも頂戴よ。今、借金で首が回らないのよ。」
その女から出て来た言葉に呆れと同時に殺意が湧いて来た。何なんだ。いったいこの女は。そう思っていると自分の部屋にいるはずのなずなが入っきた。
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