メガネの曇り part7
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これの他に長編として『白い紫陽花』という小説も書いているのでそちらもよろしくお願いします。長編は毎週土曜日の午後に更新しています。
キッチンからはいい匂いがしていた。なずなの料理も5年ぶり。最初のころは悪戦苦闘しながら作ってくれていた。よく指も切ってしまっていたし、火傷も絶えなかった。そのきれいな手が傷つくのが嫌だった自分は途中から手伝うようになり、2人でキッチンに立っていた。基本的に器用貧乏でなんでもある程度こなせる自分はいつの間にかなずなよりも料理の腕が上がっていた。それが悔しかったのか、
なずなはそこから1人で料理の練習をしていたのを思いだす。あれから5年。とても楽しみだ。
「亮介。できたから並べるの手伝って。」
なずなに呼ばれ、キッチンに向かう。
「どうかな?」
心配そうに自分の顔を覗く。
「とても美味しそうだよ。」
自分の言葉になずなの顔がパァーっと明るくなった。
「へへへ。」
照れるように顔を背けた。なずなが作ったのは白身魚の南蛮漬けだった。向こうの学校に行っているときに日本料理店でアルバイトをしていてそこでかなり料理が上手くなったのだという。自分はどちらかというと洋食よりも和食派なので嬉しい。
「なずなはお前がいなくてもお前が好きだった和食ばかり作ってて、俺の好きな洋食はあまり作ってくれなくなったんだよ。」
父さんが降りて来た。
「なら、今度はおれが洋食作ってやるからそれで我慢してくれ。」
なずなとは逆に自分がアルバイトしていたのは洋食店だった。洋食店に働くことになったのはなずながどちらかと言えば洋食派でいつか自分が作ったものを食べて欲しかったから。この家では洋食派2人、和食派1人。和食派の劣勢で昔3人で暮らしている時は圧倒的に洋食メニューが多かった。
「そう言えばいつの間に仲直りしたの?」
「まあさっき色々と話したからな。」
「そうなんだ。」
「そんなんこといいからさ。早く食べようよ。腹減ったしさ。」
出来立ての料理を仲良く3人で囲んで食事をした。
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