メガネの曇り part6
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これの他に長編として『白い紫陽花』という小説も書いているのでそちらもよろしくお願いします。長編は毎週土曜日の午後に更新しています。
そこからの時間が経つのは早く、色々なことを話した。5年分の思い出、小さかった頃の話。思い出話に花を咲かせた。荷物も2人で協力したため、早く片付け終わった。気づけばすでに夕飯の時間で父さんが自分の部屋になずなを呼びに来た。
「色々と話せたみたいだな。なずな、話しているところ悪いけど夕食の準備をしてくれないか?」
「はい。わかりました。」
「なら、俺も手伝うよ。飲食店でのバイトの経験もあるし。」
「亮介はここに残ってくれ。話があるから。」
父さんに呼び止められて、仕方なく部屋に残った。なずなは部屋を後にして、父さんと2人きりになる。
「話ってなんだよ。」
自分が少し威圧的に質問する。すると父さんは床に座り、頭を下げた。
「すまなかった。これがずっと言えなかった。」
突然のことに少し驚いた。
「俺はあいつがなずなに暴力を振るっていたことに気づかずになずなを渡すことを拒否したお前を頭ごなしに怒鳴りつけた。そのことを聞いたのはなずなが帰って来たときだった。何も見えていなかっ、た知らなかった父親を許してほしい。この通りだ。」
父さんは頭を地面に擦り付けるように頭を下げた。手にはかなり力が入っていて、血管が浮き出ていた。
「もういいよ。今も、なずなと一緒にいれているから。それに知らなかったなら仕方ない。父さんはあの時あの女ばかり見てたから、なずなのことも、俺のことも見えてなかっただろうし。母さんが亡くなって一番傷ついていたのは父さんだと思うから。何か心の依代が欲しかったんでしょ。今ならわかるから。もう謝んなくていいよ。」
父さんは顔をあげた。
「本当にいいのか?」
「いいさ。俺たちが喧嘩していることを母さんはよくは思ってないだろうから。」
「そうか。ありがとう。いつの間にか大人になってるんだな。」
「そうでもないよ。まだまだ未熟者でさっきだって。」
先ほどのことを言いかけたがいて地位ことなのか正直迷った。
「さっきってなんだ?なずなとなんかあったのか?」
「まあれは後々ということで。」
タイミングよくなずなの声が聞こえて来た。
「ほら、飯できたって。腹減ってるから早く。」
質問から逃げるよう自分は部屋を出た。
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