部下を拾いました。 part2
買い物を済ませて、自分の家に後輩を招き入れる。幸い自分が借りている部屋は広かったので、1人くらいなんてことはない。3つある部屋の使っていない部屋に案内する。
「ここなら好きに使っていいから。少し埃っぽいかもしれないけど元カノが使ってたベッドもあるし、クローゼットもある。何か必要なものがあれば言ってくれ。あと、冷蔵庫の中にあるものも好きに飲み食いしていいからな。」
彼女雨は部屋の周囲を見渡し言う。
「この部屋、ほんとにいいんですか?」
「いいよ今更。ほら、今から風呂沸かすからささっと入ってくれよ。明日も一応仕事あるんだから。お前が風呂入っているときに、夕食作っておくから。」
「ありがとうございます。少しの間ですけどよろしくお願いします。」
学生時代、定食屋でバイトしていた経験がある自分は料理ができないわけではない。むしろかなり上手な方だ。スーパーでお惣菜ばかり買っているのは単純に自分のためだけに料理をする気がないだけだ。彼女が買い物をしている間に買い足しておいた豚肉で生姜焼きを作る。1年以上使っていなかった炊飯器を起動させて2人分のご飯をたく。余った食材を突っ込んで味噌汁も作った。30分後に、後輩が上がってきて、一緒に食卓につく。
「遠慮しなくていいからな。ご飯もまだあるし、好きなだけ食べてくれ。」
「ありがとうございます。いただきます。」
食事をする前に追い出されたと言っていたのでお腹は空いているのだろう。自分が作ったものをおいしそうに食べてくれる。時折おいしいと感想もくれるので作ったかいがあった。同時に鼻を啜る音もしていたので泣いているのだろう。そこに触れるのはナンセンスだと思ったので無視した。食後、自分から皿洗いをすると言ってくれたので、お言葉に甘えて皿洗いを任せ自分は風呂に入った。風呂の中で冷静に考えると、男女2人が一つ屋根の下。女の子の方は失恋で傷心中。何か起こりそうな雰囲気ではあったがまずないだろう。でも、おいしそうに自分が作ったご飯を食べてくれたのは嬉しかった。実に1年ぶりくらいかな。そんなこと考えながら、風呂から上がった。
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