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04 タイムトラベル

普通の人間としては、この様な荒唐無稽な事柄には動揺や猜疑心が起きる物だが、何故か信頼性と確証が持てている。


「脳構造と記憶はコピーして検索出来る様にしたが、明確な情報を得る為には思考させるのが一番だ。少し、いろいろと話をしようか?肉体側の記憶処置にも時間がかかるし、黙って見ているのも、退屈だろう?」


黙って見ているのも、確かに辛いかもしれない。

それに、こちらにも好奇心がある。

こちらの記憶が読めている様でもあるし、時間をかければ黙っていても問題ないのだろう。

少し好奇心を満たす会話をしても損はないだろうと感じる。


[そうだね。しかし、タイムトラベルが可能になるとは、さすが未来人。]

「先程も、『一応は未来人だ』と答えた通り、確定情報ではない。」

[でも、こうして、史実通りの過去に来れたから、消せない人間を識別出来るんだよね?]

「未来方向の移動には問題が無いが、過去方向の時間移動には、若干の史実齟齬ソゴ。つまり食い違いが観測されている。」

[それは、どう言う事?]

「例えば、同じ事故を数度にわたって調査すると、物の配置やタイミングがずれていたり、内容が違うのに、デマや勘違いの報告により、同じ事故報告になっていたりする。」

「あくまでも、推論なのだが、我々が行けている『過去』とは、時間差で発生している平行宇宙パラレルワールドか、宇宙が終焉を迎えて、同じ様な歴史を繰り返している宇宙、つまりは『似た未来』なのではないかと、言う事だ。」

「勿論、過去に介入した影響による変化。『バタフライエフェクト』の影響かも知れないが。」


バタフライエフェクト:蝶の羽ばたきの様な小さな変化であろうと、因果関係が連鎖して、大きな事象の引き金になるという考え方。


[昔、考えた事がある。時間の概念には、幾つかのパターンがあって、一つは小説や絵本の様に、宇宙規模が層状に重なりあって、宇宙の創世から終焉までの膨大な量の空間が複数存在する『時間軸』宇宙論。]


「そして、もう一つが、書き換わる黒板や砂絵の様に、過去を破壊して未来が作られると言う宇宙論。ただ、これだと過去への時間移動は根本的に無理になる。」

「我々が関与する世界では、いまだに明確な答えに至っていない。実際、我々のタイムトラベルは超光速移動の亜空間航法の応用なので、この宇宙内で時間を移動している訳ではないからな。事象が確認や利用できても、その真実を知る事はできず、推論でしかないのは、いつの世も大差はない。」


[でも、それが『科学』の本当の姿でしょ?科学で何でも理解出来るとか、科学で証明できない物は無いって言うのは、浅知恵の妄想でしかないって、昔の恩師に言われたっけ。]

「盲信しない、合理的な考え方だな。」


[で、そのタイムパトロールさんが、河童をとらえたのは?サンプルですか?]

「河童は、地球の『人類』の一つだ。あれは処分した。」

[処分?殺した?]


一瞬、須藤要の肉体を見たが、生命活動に問題は無かった。


[歴史を守る貴方達が、なぜ、殺生を?]

「将来的に、君達ヒューマンの障害になるかもしれない知的生物を処分している。歴史的に起きていない『河童』との遭遇や共存、戦争や君達ヒューマンの滅亡などが起きる可能性を排除しておく事は、重要だとは思わないか?」

[他の星に移住させるとか、選択肢は無いの?]

「そして、それぞれの子孫が宇宙戦争か?確かに、その様な歴史的事例を再現して、滅んだ星、いや、我々が関与して滅ぼした文明も、幾つかあるが、今回は、その様な歴史的記録は無い。我々は、演劇をシナリオ通りに進める為の裏方に過ぎず、どの様な物語りが望ましいか、楽しいかを決める演出家ではない。」

[でも、それって、自然発生した生物とかには対応しきれませんよね?]



「君は、生物の自然発生に、疑念を持っている筈だが?」

[えっ?]


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