表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

10 超光速と止まった宇宙

「君には、そう難しい話では無いよ。視点が違うから見つからなかっただけで、答えに至る材料は、君の知識にもある。」

[視点が違う?]


「まず、重力による時間の遅延は理解しているよね?」

[アインシュタインの相対性理論ですよね?ブラックホールの近くや亜光速では内部時間が遅延すると言う奴。]


「その通りだ。では次に『速さ』の求め方。承知の通り、それは距離を時間で割ったもの。『光速は常に一定で秒速30万㎞』だから、時間の遅延した空間では、遅延していない空間より、同じ光が遅く進む。ここまでは理解出来るかな?」

[変な話だけど、矛盾は無いですね。そうでないと、確かに、高重力下では、光が光速を越えなければならなくなり、本末転倒してしまう。つまり『光は同じ重力下では常に一定』と言う解釈が正しいと?]

「その通りだ。」


「ここまでで、『時間や光は、高重力下では遅延する』と言うのは理解出来るよね?」

[確かに。]


「では、この宇宙空間で、一番の高質量を持つのは、何だろう?」

[ブラックホール?]

「ブラックホールは銀河系より重い?」

[あぁ、そう言う意味なら、銀河系、いや銀河団、宇宙構造体って奴になるのかな?]

「ブラックホールほど高密度でないにしろ、その膨大な質量が、宇宙空間に及ぼす重力は、膨大だと気がつかないか?」

[確かに、総量は凄いけど、現実問題として、地球の重力は1Gだ。その話だと地球でもブラックホール並みの重力が掛かっている事になるが、俺達、地球人は潰れてはいない。]


「忘却の無くなった今の君なら、思い出せるだろう。『無重力』と『無重量』の違いは?」

[『無重力』は重力がゼロの状態。『無重量』は自由落下中の物体みたいに、実際には重力が掛かっているが、無重力と同様の状態になる現象。・・・・?]

「そう。1Gに感じるからと言って、1Gではない。事実、無重力に感じる木星軌道の宇宙空間や、ここ冥王星軌道でも、惑星の質量と運動エネルギーを抑え込めるだけの太陽の重力が働いているから、これらの惑星は太陽の周りを回らされているのだ。この宇宙空間に『無重力』は存在しない。君達の測定している重力は『相対重力』であって『絶対重力』ではない。そして、時間の遅延は、絶対重力に対して起こる。」

[・・・・・・そんな話を、アインシュタインの番組で見た記憶がある。『宇宙は重力場で満たされている』みたいな。]


確かに、変には思っていた。

時間の遅延はブラックホールの様な高質量の近くでしか起きないと言われていたのに、現実では地上とGPS衛星の時間は、毎秒、百億分の4.45秒の誤差が測定されている。


更に驚愕したのは、ISSについて調べた時だった。

ISS国際宇宙ステーションは地上から約400km上空を秒速約7.7kmで飛行している。


GPS衛星よりは地球重力の影響を受けるとは言え、速度は光速の1%にも満たない。

そんなISSでは、6ヶ月で地上より0.007秒の時間遅延が起きていると言うのだ。


理論上では、高速移動で内部時間の遅延が起きるのは、光速の9割り以上とも言われているのに、理論が現実と合わない。


しかし、地球を含む銀河系全体が、自らの重力で時間の遅延を起こしているのであれば、合点がゆく。

既に我々が受けている重力は、時間遅延が起きる範囲内におよんでいるのだろう。

だから、少しの加速だけで、内部時間の遅延すら起きる。


[つまり、普通に動いていると思っている我々は、真なる無重力、宇宙全体から見れば・・・]

「宇宙全体から見れば、現在の我々は、ほぼ停止している。」


実感は無いが、理解は出来る。

この考えが有れば、ダークマターやダークエネルギーの思想は必要ない。


ダークマターとは、地球から観測できる渦状星雲の渦が、形を乱さない事から考えられた。


計算上、渦状星雲では外側より中心部の方が回転速度が速くなる為に、中心部に近い部分の渦が、外苑部よりも多くなり、渦の形が壊れるはずだ。

しかし、実際には形が崩れている物が発見できないので、銀河の中心部付近には、回転を遅延させる見えない高質量がある筈だとして考えられた物だ。


しかし、渦状星雲の中心付近の質量が、質量による時間遅延の影響を受けていれば、中心付近の回転時間は中心に近いほど鈍化され、渦状星雲は形を著しく崩す事は無くなる。

基本的に、宇宙は何処でも同じ時間の流れであると言うのが、ブラックホールで破綻しているのに、なぜ、この考えが浮かばなかったのか?


[で、銀河系での時間の遅延は、解りましたが、これが、超光速と、どの様に繋がるのですか?]


忘れてはいない。『超光速』が、本来の課題だ。


「寮に戻る時に、君自身も、重力制御を使ったね?では、宇宙船と周囲の重力相殺を地球重力レベルではなく、宇宙空間に掛かっている重力レベルにしたとき、相殺エリア内の時間の進み方は、回りと比べてどうなる?」

[エリア内部の時間は、速くなる。]

「ほぼ停止している周囲に対して、宇宙船が音速で移動して、同時に相殺エリアも移動し続けたら、外部から見てどうなる?」

[エリア内は音速だけど、ほぼ止まっている周囲から見れば・・・・確かに超光速になる・・・]


そう。光速の定義は重力場に左右されるのだから、相対的な超光速は存在するのだ。

時間が普遍的だと信じ込むから至れない超光速の世界。


「もっとも、そのままだと、宇宙船の乗員の内部時間も冥王星まで数年経過するから、今回は宇宙船内部に局所的な高重力をかけて、遅延させたんだけどね。」

[それが、船内で感じとれた高重力だったんですね?]


多くの事が理解できた。

見解を変えるだけで、宇宙は面白く変化する。


「あまり、地球の近くだと、地球外生命体にも関知されるし、干渉したくなるだろう?地球の衛星軌道に観測器を置いてあるから、しばらくは、ここから観察しようじゃないか。君の肉体の非常時には、周囲に配置した人口知能自動機械オートマタが、助けてくれる。」

[はい。判りました。]


地球と冥王星軌道の間は、重力による時間遅延の影響を受けない素粒子を使った通信設備を未来人達が用意している。

時間遅延している我々の宇宙空間では、30個向こうの銀河と通信しても、ほぼリアルタイムで情報交換出来る。

何か有っても、地球まで数分で駆け付けるし、加えて須藤要の記憶は、リアルタイムでプローブから転送されているので、仮に死んでも、クローンに記憶をコピーして情報操作すれば済む。


[なんか、自分自身も達観している様な気がします。]

「まぁ、この肉体になれば、精神も変様するだろう。」



◆◆◆◆◆◆◆



これから、どんな体験をして、どの様に変わってゆくのだろう?

この物語に続編が有れば(笑)


続編を書くかは未定。


4月からは新作ファンタジーを書く予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ