「呪夢」
いつの頃だかー思い出してごーらんー
あんなことーこんなことー
あったー
「でしょ? 円ちゃん」
「はっ!」
・・・・・・また見た・・・・・・
「円さん? 大丈夫ですか?」
「・・・最近眠れなくて。」
「便秘ですか?」
「違うよ、そうだけど・・・・・・ちょっと嫌な夢見るんだよね。」
「へえー、どんな夢ですか?」
幼稚園の頃の夢。
私の目の前で、一人の女の子が虐められてるの。
その子はクリスマスツリーに巻くようなモールを身体にまかれてるの。
巻かれた部分が赤く湿疹みたいなのが出てて、すごい苦しそうに泣いてるの。
でも夢の中の私は見ているだけ。
いや、笑ってみてるの。その子が泣いているのを。取り囲む子供たちと一緒に。
そしたら、突然。その子が立ち上がって、近くに落ちてた鉄のシャベルを掴んで子供たちを刺していくの。
何度も、何度も。
子供たちがみんな死んで、私一人になると。
その女の子は歌い出すの。
あれ、幼稚園の卒園式に歌うやつ。
歌いながら、シャベルを振りかざして。
全身を湿疹で真っ赤にしながら、笑って、笑いながら。
私の喉元を掻き切った・・・
「・・・教えてください。
この夢から何を占えますか?」
「・・・・・・嫉妬かしらね。」
「それで先輩は死んだんですか?」
「どういうこと?」
「夢を見たっていう先輩が3日前に自宅で死んだんです・・・寝ながら、突然の心臓発作で。」
「・・・・・・関係ないと思うけどね。」
「じゃあ、何で私も見るんですか! この夢を!
私も死ぬんですか!? 私も! 先輩と同じように!」
「呪いの類だね。」
「そうですよね・・・」
「御子神さん貴女も見たと?」
「・・・はい。竹内さんの夢の話を聞いてから。
同じ内容の・・・シャベルを持った女の子の。」
「・・・非常に興味深い話だね・・・つまり、その流れでいくと僕も、その夢を見て最初の、畠野さん、次は相談者の、竹内さん、そして君、僕。
みんな夢の女の子に殺されるか・・・」
「どうにか、なりませんか? 天草先生・・・」
「・・・」
どうにもならなかった。
御子神さんも先の二人と同様に自宅で心臓発作を起こし亡くなった。
呪いだ、とても強い呪い。
聞いた者の夢に出て憑き殺す呪い。
僕もそのうち夢の女の子に憑き殺されるだろう。
だから、僕は黙った。
誰にもこの話をせずに、ただこのようにして日記にしたためるだけにして。
解決法はわからなかった。
畠野さんと縁あるものの霊の仕業か、それとも悪霊の類か。
この日記が、夢の内容が。
解決策が出るまで表に出ないことを祈るばかりだ。
おやすみ、さようなら。
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