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「栓抜き大好き」

「栓抜き大好き」

 

 

 たけるの部屋には大量の栓抜きが置いてある。それも骨董品の様な物ではなく、何処にでも売っているコンビニで買える取っ手がプラスチックの物が大半だ。

 

 「コレクション?」

 

 「いやいや、実用性を加味してだよ。」

 

 「こんなにたくさん?」

 

 「そう、一度使ったのは他には使わないんだ。

 それに何時でも、誰にでも買えるだろ。」

 

 さっぱりわからない。

 まあ、人間ひとつくらい変わった趣味があるくらいが愛嬌もあるものだが。

 

 「使ってるとこ見せてやろうか?」

 

 「いいよ、俺もよく使うし。」

 

 「まあ、最後まで見てられればだけど・・・」

 

 「はぁ?」

 

 見るまでもないだろう、栓抜く所なんて。

 

 俺は大量の栓抜きから興味を無くし、漫画へと手を伸ばした。

 

 「こっち向いて。」

 

 「え? ・・・っ!!」

 

 なに、なに?!

 いってえ、何か刺さった、血が出てる。

 

 健が俺に覆い被さるようにして、

 片手に・・・真っ赤な栓抜きを・・・

 

 「お、お前!!」

 

 「ほら、綺麗に取れた。」

 

 視界が半分真っ暗に、痛い、 痛い!

 目だ、目が痛い!

 

 咄嗟にドロドロと血が流れる左目を押える

 

 ない。

 俺の左目がない。

 

 「ああぁーー!! お前! お前!?」

 

 栓抜きの先

 目だ、俺の左目が刺さってる!

 

 ざけんな、なんで、わからねぇ、いてぇ。

 止まらない、コルクを抜いたボトルを逆さにしたように血がドバドバと流れる。

 

 健は、俺を見下ろしながら、もうひとつ、別の栓抜きを手にとっ・・・

 

 「コレクションだな、これは。」

 

 刺し・・・た・・・・・・?

 

 「お______ま_________綺麗___目______」

 

 健が何か言ってる。

 ノイズがかかったように聞き取れない。

 痛い・・・寒い・・・

 

 痛い・・・

 

 

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