アザレアにくちづけをー1ー
お久しぶりです。
久しぶりの更新が、イヴェール×エアルでもアルセ×静奈でもなくて申し訳ないです。
イ ヴ ェ ー ル の 両 親 の お 話 です。
イヴェールの両親で妄想が滾ってしまい、書いてしましました。
楽しんで頂けると嬉しいです!
純白のドレスに身を包み、息子の隣で心からの笑みを浮かべる義娘の姿にルーチェは目尻を拭って微笑んだ。
ようやくだ。ようやくここまできた。
誰に似たのか本命に奥手な息子のおかげで随分ヤキモキさせられた。控えめで妙な方向に暴走しようとするエアルにもハラハラしたが。おかげで、一緒に暮らしていたというのに息子に遠慮して存分に義娘を可愛がれなかった。
だが、それもおしまいだ。
これからは母娘として一緒に買い物にも行くし、久しぶりに観劇に行くのもいい。
アルセの母と静奈も誘って4人で出かけるのもいいだろう。
どうせイヴェールも旦那様同様、愛しい妻を社交界に出す気などないのだろう。
当主の座を引き継いでしばらくは難しいかもしれないが、自分がそうだったようにエアルも気づいたら社交の仕事はなくなっているはずだ。
イヴェールはエアルを自分の側から極力離す気などないのだろうが、そうは問屋が卸さない。エアルにだって息抜きが必要だ。なにより、私が可愛い義娘たちを愛でたい。
旦那様にも息子にも文句など言わせない。だって、私は我慢した。
ルーチェは輝かしい未来に心を躍らせていた。
「お義母様、これからもよろしくお願いいたします」
照れたようにはにかむエアルに、若い娘たちの間での流行を早急にリサーチして計画を練らねばならぬと決意した。
ルーチェは浮かれていた。この幸福がずっと続くものだと信じて疑わなかった。
だから旦那様――――ヴェラノの放った言葉の意味が理解できなかった。
今も理解できていない。
「は?」
「屋敷はもう用意してある。今日移るぞ」
「……は?」
ヴェラノはどこまでも容赦がなかった。
浮かれまくっているルーチェを知っていてルーチェの楽しみを奪いに来る。
「言っておくが決定事項だ。異論は認めない」
何でもないようにさらりと告げられた言葉にルーチェは吠えた。
「離婚だ!!!離婚してやる!!!」
ギョッとした息子夫婦と龍哉の顔が視界の端に入ったが、睨みつけた男の顔が変わることはない。
「そうなればエアルさんとの接点がなくなるが良いのか?」
「良い訳ないだろう!」
「ルーチェ、もう十分だろう?」
夏の夜空の瞳がどろりとした熱を孕んだのを見てルーチェは言葉を失った。
言いたいことは山ほどあるというのに唇からは空気が漏れるだけで、意味のある言葉はひとつも出なかった。
「私はもう十分待った。いい加減全て明け渡せ」
いつの間にかすぐそばに来ていたヴェラノが耳元で囁く。
目を見開いてヴェラノの顔を見つめるが、そこの冗談や嘘は見えなくて頬がひきつる。
「そういう訳だ。イヴェール、あとは任せたぞ」
「承知しました。
……この年で弟妹ができるのは抵抗があるんだが」
「私がそんなにルーチェに負担をかけるようなマネをするとでも?」
頭の上で繰り広げられる不穏な会話に噛みつく余力もなく、腰にしっかりまわされた腕に導かれるまま足を動かす。
どうしてこうなった。私はただ、可愛い娘と。
「ルーチェ。お前は誰のものだ?」
誰もいない廊下でピタリと足を止めたヴェラノに視線を合わせるように顎を掬われる。
ルーチェの唇から零れたのは深く大きな溜息だった。
中途半端に終わってます。力尽きました。
というか続きを書くか悩んでて、ここでぶった切りました。
書くかどうかもまだ決めてないので、また完結設定にしておきます。




