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転生貴族少年 アレク・ベルマン  作者: はくちゃん
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007 幼子を食べ物で釣る

 ポップポイントから現れた魔物が兵士を襲ったことに見学者たちはパニックになり我先にと逃げだした。父上も僕を抱えてこの場から離れようとした。そして僕はどうしていたのかと言うと、女神さまと話をしていた。


(つまり、ポップポイントの管理番号を間違えて出現させる場所を間違えたと)

『そうよ、本当なら東翼に出現させるつもりが一か所間違えてしまったのよ』


 東翼で金持ち貴族の家に生まれた転生者が鉄道を引こうとしているので妨害するのが目的だったという。


『東翼で線路なんて引いたら貧乏人が鉄製のレールを換金目的で盗んでしまうわ。レールが無くなったら脱線して大惨事になってしまうもの』


 なんかこういろいろとツッコミたい。レールを盗むんなら路線が開通する前に盗まれるだろうとか、転生者が主導なら直接話しかければいいとか。


『別大陸で有名になったからちょっと取り扱ってみたいっていう気持ちもあったけど』


 そっちが本音でしょうに。


『とにかく私の大陸で生まれた魔物は食事を必要としないから金属を食べようとするのは本能ね。今兵士を襲っているのも全身の鎧が目的よ。溶かされる心配はないわ。…窒息するかもしれないけど』


 そこまで聞かされたのなら見殺しにはできない。幸い顔周りに金属を身に着けていないからまとわりつかれても窒息しはしないだろう。


 そうは判断すると僕は体をよじって父上の腕から抜け出した。


「アレク!」

「ちょっと行ってきます」


 そう言うと僕は魔法陣を出現させて足場にして混乱する人々の頭上をピョンピョンとかけて行った。魔法陣を足場にした空中移動、練習しておいて正解だった。そのままスライムの前に降り立つと僕は服のボタンを引きちぎった。僕の服のボタンは純金製だからだ。


「ほら、こっちにおいしい金が有るよ。こっちにおいで」


 僕がそう言うとスライムは僕の言葉に反応した。しかし様子を見て動こうとはしなかった。


『ああ見えて知能は高いわよ。きっと用心しているのよ』


 女神さまがそう言ったので僕は引きちぎったボタンをスライムに投げた。スライムはボタンをチャッチするとおいしそうに(?)ボタンを食べた。


「ほら、まだあるよ。こっちにおいで」


 その様子を見ると僕は2個目のボタンを引き知事ってスライムに声をかけた。


『まるでお菓子で幼子を釣る誘拐犯の様ね。このまま呼び寄せてからテイムしてペットにするんつもりでしょ。まさに『罠』ね』


 誰のせいでこんな事をしているのか分かっているのだろうか。だんだん敬う気持ちが無くなってきた。そんな事を考えているとスライムは兵士から離れて僕の元に近づいてきた。兵士は…、よかった息をしている。


「この子どうしようか?」


 テイムしようと思えば出来るけれどもえ女神さまの言う通りにするのは何か嫌だ。


『仕方がないわね、ポップポイントを活性化させるわ。出現したうずに乗せなさい。本来出現させるはずの場所に送るわよ』


 女神さまが第2案を提案してきたのでそれに乗る事にした。僕は3個目のボタンを使ってスライムをポップポイントの渦の中に誘導した。


「じゃあ、元気でね」


 僕がそう言うと、スライムはその言葉を理解したのが元気に振るえた。そしてスライムは渦の中に消えて行った。その様子を見て安心していると父上が僕の後ろに立っていた。


「アレク…」

「父上」

「このバカ者が!心配させるな!」


 そう言って僕は父上から拳骨をくらうと父上に抱きしめられた。


「ごめんなさい」


 安全な事は僕しか分かっていなかったので父上にはかなり心配させてしまった。


「うむ、反省したのならいい。それとよくやったな。見事に騒ぎを収めて見せた」


 いきなり褒められたのでちょっと照れてしまった。そう言えば自発的な行動で褒められたのはこれが初めてかもしれない。


「所でアレク。お前は凰賢神さまの声が聞こえるのか?」

「誰?」


 そんな凄そうな名前の人は知らないのだけれども。するとゴロゴロと転がる音が聞こえたので見てみる、と女神さまが悶えながら転がっていた。 

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