表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生貴族少年 アレク・ベルマン  作者: はくちゃん
1/8

001 女神との契約

 気が付くと何も無い真っ白な空間にいた。ここは死後の世界なのか。最後に覚えているのは事故に巻き込まれて鉄柱が自分の胸を貫いていた光景だ。


「その通りここは死後の世界よ」


 自分の最後を思い出していると女の人が現れてそう言った。やはりあの傷では助からなかったようだ。


「こんにちは私は地球の死神兼、異世界の女神をしている存在よ。人のみで神の名前は理解できないから名前は言わないわ。死神でも女神でも好きに呼びなさい」


 では見た目は美人なので女神さまで。でも死神兼女神とは?


「女神が本業で死神は副業よ。死神として働くと気にった魂は私の管理する世界に生まれ変わらせる事が出来るのよ。あなたは自分の死を冷静に受け止め尚且つその魂は若く力が有り余っている。今私が必要としている人材にうってつけなのよ。だからこうしてスカウトに来たの」


 それは光栄と言って言いのだろうか。


「あなたには2つの選択肢が有るわ。1つは死神としての私に導かれて地球のあの世に行くこと。あなたは特に悪い事をしてはいないから天国に行けるわね。もう1つは女神としての私に導かれて魔法有りの異世界に転生する事。これを選ぶ代わりにある事をしてもらうわ。そして私の世界で死んだのなら他の世界の神が死神として魂を回収しない限りずっと私の世界で転生し続けることになるわ。そして今の地球は魂があふれているから地球の死神に回収されて生まれ変わる事は無いと思ってちょうだい」


 つまりこのまま成仏するか異世界で生まれ変わるかか。選ぶ前に異世界の情報と何をすればいいのか教えてほしいのだけれども。


「もちろん説明するわ。まずして欲しい事は強くなって神々の代理戦争に出場する事。代理戦争と行っても殺しあう必要はないわ。それにこの戦争で死んでも生き返らせることは可能だから安心して。それにもし死んでも平静を保てるあなたなら余程惨たらしく殺されなければ精神に異常をきたす事は無いでしょう」


 なるほど死んでも平然としていたから選ばれたのか。でもどうして戦争を?


「新しく作る世界の主神を決めるためよ。今の私は1つの大陸を任されているだけだけど主神になれば多くの神を部下にできるしやれることが多くなるわ。最も今の私は1つの世界を管理するのは実力が足りないと思っている。それでも代理戦争に出るのは勝たせたくない存在がいるからよ」


 勝たせたくない存在?


「ここから先は代理戦争に出ることになったら話してあげるわ。スカウトに応じてくれた魂はあなただけでは無いのだし、転生者には人数制限が有るからあなたが選ばれるとは限らないから」


 もちろん選ばれるために努力はしてもらうと女神さまは付け加えた。


「次に生まれ変わる世界の話ね」


 そう言うと女神を手を振りかざして1つの大陸の映像を浮かび上がらせた。その大陸は翼を広げた鳳の様な形をしていた。


「これが私が管理をしている大陸、『鳳凰大陸』よ。東と西の翼と胴体大きく分けて3つの地方に分かれているわ」


 確かに西の翼と胴体の間には山脈が連なり、東と胴体の間には大きな内海が存在している。


「3つの地方は地理的に離れているせいか文化や歴史が全然違うの。まず一番オススメの東翼地方。ここは地球人と同じ人種の人間の王国とそれ以外の人族の亜人連合の2つの国が存在していて野生のモンスターが多く生息しているわ。一般的なハイファンタジーの世界ね。あと戦国から江戸時代くらいの日本に近い文化を持つ地域もあるわ。基本的に町の中は安全、外に出れば危険がいっぱい。安全な拠点と力を付ける修業場両方が簡単に手に入るわ。私がスカウトした大勢がこの東翼地方を選んだわ」


 つまり典型的な神様転生か。大勢が選んだと言う事は他の転生者とかち合う可能性が高いと。


「次に胴体、頭、尾羽に両足の部分の中胴地方。ここはあまりオススメではないわ。今は1つの統一王国が存在しているけれども内情はガタガタ。あなたが大きくなる頃には王国は崩壊して群雄割拠が始まるわ。一国一城を目指して成り上がりやすいけれども命を落とす可能性が高いわ。それでも野心のある子が何人か転生していったわ」


 群雄割拠と闘争の日々か。興味はないな。


「最後に西翼。ここは2つの大国と小王国群の3つに分かれているわね。2つの国は対立しているけれども『大きな』戦争はここしばらくは起きていないわ。それに私の見た所あなたが大きくなる頃までは起きそうにはないわね。貧富の差は有るしモンスターも出るけど国がしっかりしているから他の2つと比べて平和と言って言いわね。逆に言うと戦いの機会がないから強くなりにくいし成り上がるのも大変よ。中胴とは逆に意味でオススメではないわ。今の所ここを選んだ人はいないわ」


 もし転生するなら西翼一択で。平和だから強くなれない訳ではない。それに私は平和な暮らしがいい。


「変わっているわね。まあ、西翼にも転生者を送り込みたかったから別にいいけれど。つまり西翼に転生させれるのなら転生してもいいというのが答えね」


 ああ、その通りだ。正直に言うと魔法に憧れている。けれどもドンパチしながら一生を過ごす趣味は無い。


「面白いわね。そう言う人間は初めてよ。いいわ、サービスして現在の西翼の中で才能と身分が有るいい家の子に転生させてあげる。あと女神の加護として何か力をあげるわ」


 ひとつ確認しておくけど、女神の加護は代理戦争でも使えるのか?


「使えないわね。使わせると終末戦争級の被害が出るから禁止されたのよ」


 なら要らない。加護が使えないのなら加護無しでの戦闘能力をあげる必要がある。


「いいわ、加護無しにしておくわ。これで契約成立ね。それじゃあ行ってきなさい」


 こうして私は女神と契約を交わして第2の人生を始めるのだった。しかし平和に暮らすはずが中胴や東翼の厄介ごとに巻き込まれる事になるとはこの時私も女神も予想していなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ