花筏
さあ、やっと明けた空の下
まだ土ぬかるむこの場所に
しっかり根をはり揺らしておくれ。
さあ、風よ、その緑の上
より瑞々しい花房の煌きに
優しく吹いて揺らしておくれ。
その花はちいさく、今にも零れ落ちそうに
その葉はおおきく、下から支えるように
ただそうして風にまかせる。
さあ、筏に小華をのせて
流風にもまれてゆけよ。
辺りの葉末が黄色くなるまで。
さあ、実れよ、葉にかつがれて
流風に逆らってゆけよ。
みんなやせて細くなるまで。
その実はまあるく、今にも零れ落ちそうに
その籠はひろく、下から支えるように
ただそうして風にまかせる。