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東西球宴


夢の球宴というのがある。東と西の、それぞれのリーグでもっとも人気のある選手達が出場し、3試合を行なう。

監督推薦や選手推薦などはなく、完全に観客達の人気投票のみ。こうなった理由としてはさほど東リーグが変わらないからである。人気投票のみなため、比較的広く選手達を取り上げられている。



「野球の人気向上のためだよ、友田」

「かったりぃ~~。いいよな~、地花と本城、木野内さんなどの他は選ばれてなくてよ」

「本人達いたらキレてるぞ」

「年上に敬語も使わないとはさすが友田」


シールバックから選出された選手達8名。

新藤、河合、友田、尾波、川北、安藤、久慈、井梁



「何がダルイだ!友田!東西の真剣勝負だろ!」

「本気になってやることじゃないんだな~」

「怪我だけはするなよ。ペナントレースの途中だからな」

「客を楽しませるプレイをするだけさ」



十文字カインから選出された選手達6名。

杉上、曽我部、新潟、魚住、上滋、トニー



「新田さんがいないのがな」

「敵と手を組むのは嫌だぜ」

「無駄に肩なんか消耗したくねぇーよ」



AIDAから選出された選手達5名。

石田、白石、根岸、村田、弓削、(新田は怪我)



「野球人気のためなんだ。楽しくやろーぜ!」

「イエッサーーー!」

「なんだかなー、僕達だけかな?結構ノリが良いのはさ」


徳島インディーズから選出された選手達8名。

荒野、菊田、泉、大鳥、名神、北田、大隣、バナザード



「帰って廃人プレイしていい?AMAZONで買ったゲームが溜まっている」

「何言ってんだ!小田!MVP獲って、賞金500万円を得るために活躍するだろ!普通、そー考えるだろ!?」

「家靖さんがMVPを獲ったとしても、奥様方に金が溶かされますよね。跡形もなく」

「声援が多いのは嫌いじゃないけどさ」



時代センゴクから選出された選手達8名。

小田、徳川、庭、橋場、牧、寺岡、屑川、犬飼




西リーグの最高戦力達と呼ばれても違わぬ実力者達が集結していた。

選手達のやる気はそれぞれであるが、これほどの面子が揃えば西リーグのファン達が駆けつけるのは当然であった。

常に満員かつ、大盛り上がりを見せる東西球宴。

その第一試合は大抵本気同士の戦力がぶつかり合うという、法則があるらしい。

前半戦時点でのベストナイン達がグラウンドに入るのである。




西リーグ

1番.指名打者、友田

2番.ファースト、曽我部

3番.セカンド、新藤

4番.キャッチャー、河合

5番.ライト、徳川

6番.サード、荒野

7番.ショート、小田

8番.レフト、新潟

9番.センター、杉上


1番手投手、牧 (1,2回)

2番手、石田(3,4回)

3番手、大鳥(5回)

4番手、白石(6回)

5番手、井梁(7回)

6番手、屑川(8回)

7番手、泉 (9回)



「ちょっと待てーーー!なんで俺が9番!?」


スタメンと段取りについては裏の事情でかなり前から決まっている。

それでも納得がいかない選手達もいる。基本的に実力主義なわけだが、不真面目な友田が1番で、自分が9番という屈辱を感じた杉上。


「これがお前の実力だ」

「なんだとーー!?俺が1番やった方が良いに決まってるだろ!友田が9番に行け!」

「ふざけんな。俺はこの1試合でしか遊ばないっての。それ以降は彼女とデートをする」

「おまっ!?ホントに野球選手か!?テメェは才能しかねぇーのに!プライベート重視かよ!せめて練習しろ!!」

「うっせーな、凡人。だから、お前が一番外野手で嫌いなんだよ」


つーか、大抵友田が悪いけど。ライバル同士がこうして揉め合う。良い競争が生まれるのは事実だ。



「新田さんがいれば、お前なんかキャッチャーとしても4番としても選ばれてねぇーよ」

「なんだと?言葉に気をつけろよ。石田。次、ボコボコにされてよーだな」

「河合さんは捕手として選ばれるべき人じゃないだろ。打者で選ばれてる。橋場さん、一緒にキャッチボールしましょー」

「牧!テメェも覚えてろよ!」

「名神、一緒にやろうな。(河合には聞こえないように言っている)」



こんな状況。



「あーあ、5番か。まぁいい。美味しいところは全部俺がもらうぜ。お膳立てをちゃんとしてくれよ、新藤と河合」

「おいおい派手さがMVPになりやすいんだぜ、徳川さん。全打席本塁打にすれば楽々MVPだろ?6番は試合に関係ねぇーから気楽だぜ」

「7番か。帰って良いじゃないか、ホントにさ。やる気でねーー。ま、どこでもやる気ないけどよ」

「8番もやってらんない。これだから球宴は……」


我が圧倒的に強すぎる選手達。チームワークの欠けらもねぇ。

それもしょうがないかもしれない。楽しく会話しているとしたら、真っ当なキャプテンと選手会長。



「はははは、悪いな。曽我部。お前ほどの選手が2番に置かれるなんて」

「仕方がない。各球団の4番打者が並べば必然的にこうなるだろう。実績通りだ」



新藤と曽我部。

2人だけはとても和やかな雰囲気だった。いつもチームを実力だけじゃなく、その人望で引っ張っているのもある。ぶっちゃけ、球宴をよく楽しんでいる二人。

チームの強さはその実力だけでなく、雰囲気も重要である。



そして、対する東リーグのベストメンバー。っていうか、……


1番.ライト、鈴一

2番.センター、伏世

3番.サード、流合ながるごう

4番.レフト、五十五

5番.ファースト、松嵩

6番.キャッチャー、野田

7番.指名打者、キングランド

8番.セカンド、白原

9番.ショート、ホモリン



1番手投手、田中昌 (1,2回)

2番手、ベアストーン  (3,4)

3番手、辰真  (5)

4番手、神仏かみぼとけ (6)

5番手、皐月 (7)

6番手、富士海 (8)

7番手、上草 (9)




「全員、オールビーの選手じゃねぇかああぁぁっ!!」



東リーグの覇者。"RTB・オールビー"。絶大な人気はもちろん、その実力は屈しであり、東西球宴では3年連続全員出場という快挙を記録。

一軍の上に立つ存在。すでにメジャー級。10年間、優勝を経験している選手が未だに5人もおり、監督自身も10年間連続優勝経験がある。

必然的に、西リーグの代表対オールビーという組み合わせが発生するのは当然だった。



「毎年、毎年。お前とここで投げ合うのか?ちょっとは成長したのか?」

「なんだと?あんたは2年早く生まれただけだろ?」


センゴクの牧。西リーグの最高右腕である。そんな彼のライバルは東リーグにいる、同じく最高右腕と呼ばれる存在。



「今年は来るんだろ?あんたが負けてちゃ、勝負もできない」

「言うじゃねぇかー。ラッキーボーイ。俺がいたらお前の記録なんか余裕で阻止している」



高校時代でも戦う事がなかった。3年前ほどから、どちらが東西最強の投手か論争が起こっており、戦いができるのはこの東西球宴だけであった。

牧真一 VS 田中昌。

東リーグ最高右腕、田中昌の今シーズンの勝率は100%。すでに15勝も挙げている大エースであった。



「若いというのは良いですな。野田。もう10年以上も前か?あーしたの」

「そろそろ球宴を降りたいもんだ。あいつの全力投球を捕るのは痛い」



田中昌のような若い選手がいれば、すでに40歳を超えている超高齢の選手達もいる。そんな彼等が未だにスタメンを張れるという驚愕な事実。

10連覇を経験している選手、野田、キングランド、神仏、伏世、辰真。

実績も実力も確かである。



「爺共が多すぎるんじゃねぇーの?」

「若いのが活躍せんからな~。お前等西リーグも雑魚なんだよ」

「骨折でもしてベンチで涼んでろよ」

「40点差につけてから休むことにするよ、若い西リーグ達の選手達」


彼等が引退すれば文字通りの伝説となるだろう。

若造が早々彼等に口を出すことができない。彼等に反論するには、彼等を超えるだけの選手になるしかない。西リーグにはそこまでの選手はいない。

この歳になればすでに脇役であることも知っている。


「まったく、毎年こうなってしまうのはちょっと問題だよな?」

「そーっす!鈴一さん!メジャーに行きましょうよ!でも、鈴一さんはこのチームから出ないでください!球団ごとメジャーに行きましょう!」



そして、現オールビーの全盛期軍団。

世代交代を完全に成功させ、その強さはオールビー史上最強。まさに日本代表。メジャーと争える以上の呼び声があり、多くの選手がメジャーから声が掛けられている。



鈴一。五十五、流合。松嵩。白原。ベアストーン。ホモリン。皐月。富士海。上草。



東西合わせ、さらに史上をも含め。

実績と成績、プレイを含めて。文字通りの天才であり世界を代表する野球選手。打、走、守、投。全ての能力が最高クラス。

ライト、鈴一は最高の野球選手。


打者として歴代最高成績を収めた東リーグ最強打者。

不動の三冠王。最強の右打者。

サード、流合。彼の打撃を超える存在は今後100年は現れないともされる。


そして、流合と対になる最強の左打者。鈴一を超える打棒。パワーは流合を超え、怪物という称号を掲げて勝負強さは日本人最高。もっとも敬遠を喰らっている大打者。

レフト、五十五。オールビーの四番を2年間勤める。

ただ一チームでありながら最強の名に相応しく。投手も野手も完璧。王者に相応しい面子である。



「球宴だ。おおいにファンを湧かせようではないか」



オールビー監督。澤大渇さわだいかつ

10連覇を成し遂げた監督。無論、球宴では東リーグ側の総監督を務めている。




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