表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/44

報告




 奈央の顔は、にやける顔をおさえつつ仕事に向かっていた。

 金曜日の合同飲みのあと、ひと悶着ありましたが、見事、今、後ろの席で仕事をしている、佐々木新司と両想いになることが出来ました!!まさにオフィスラブってやつよね!?と奈央のテンションはあがりっぱなしであった。


 両想いになったあとは、飲み会に戻ることなく、佐々木が、奈央を家まで送った。そして、家の前でバイバイ。土日も、連絡をとったりするといったこともなかった。

 なので、奈央はまだ恋人っていう感覚はわかないのだが、でも、佐々木の、好きだという言葉や、抱き合った感覚は忘れることが出来ずに、ドキドキしてしまっていた。


 でも、こんな私用で仕事に影響を出すわけにはいかない!!その思いで、奈央は、いつも以上に仕事を頑張った。


 お昼休憩のチャイムが鳴った。今日は、仕事に集中しようと時計も見ていなかった奈央は、少し驚いた。

 でも、お昼だー!!と、いつものようにパンを取り出していたら、いつものように里奈がやってきた。里奈の顔を見て、里奈は佐々木狙いであったことを思い出した。

 好きだというのを聞いておきながら、私が佐々木と付き合っちゃった!!と奈央は焦った。

「なによ、人の顔見た瞬間に変な顔して」

 里奈は少し、ご立腹といった雰囲気でそう言った。奈央は、里奈に付き合ったことを伝えなくてはと思った。

 しかし、ここは、まさに働いているフロアなわけだし、後ろにも佐々木がいるため、ここで言うわけにはいかない。

「今日は、天気良いし、外にたべに行こう!!」

「そんなに良くないわよ」

 里奈は窓の外を確認してから冷静に言った。しかし、ここで負けるわけにいかない奈央は引き下がらなかった。

「外で食べればきっといつもの10以上美味しく感じるよ!!ねっ外で食べよう!」

 そう言うと、里奈は、奈央の顔を覗きこんだ。すると、

「まあ、良いわよ」

 と言って、お弁当箱を持ちあげた。


 奈央は、歩きながら人気のない場所をさがした。しかし、お昼時なので、何人もの人が行きかっている。そう言えば、前に一人で外で食べた場所があったなと思い出した

「とっても、静かで良い場所があるんだ!!きっと里奈も気にいるよ!!そこにいこう!!」

 こう言って、里奈を誘った。里奈は、

「どこでも良いわよ」

と言って着いてきてくれた。


 奈央は着くと、辺り見まわし、人がいないのを確認してから話始めた。

「えっと、あのね、佐々木と付き合うことになりました」

「あっそ」

 里奈の反応はあっさりしたものだった。

「それいうために、わざわざ、こんなとこまで連れ出したわけね」

「いや、一応、好きだって聞いてたから…伝えないとかなって思って…」

「あんた達が両思いなんてこと、少し話したらわかったわよ。むしろ、今さら付き合ったの!?って感じ」

「うそ!?そんなんだった?」

「めちゃくちゃそんなんだった」

 奈央は全く身に覚えがなく、なんだか恥ずかしくなってきた。しかし、気になっていたことを聞かなくてはと思い直した。

「あのさ、怒んないの?佐々木のこと好きだったんでしょう?」

「別に、私が勝負に負けたってだけで、怒る理由はないでしょう」

「佐々木のことは、もういいの?」

「あんた達見てたら別れそうにないし、諦める」

 里奈は、はっきりとそう言った。奈央は、里奈が気にしていないことがわかると、気持ちが一気に軽くなった。

 嬉しくなってやっとパンを食べよとしたとき、里奈が話しかけてきた。


「てか、あんた折橋君も振ったでしょ」

「なんでそんなのわかるの!?」

 そんな話誰にもしてないのに、なぜ里奈がわかったんだ!?と奈央は焦った。

「やっぱりね。」

 ---あっ今の反応じゃ本当ですって言ったようなもんじゃん!!なんてごまそう…

 奈央が頭を抱えていると、さらに里奈は続けた。

「じゃあ、ふられた同士ってことで、次は折橋君でも狙おうかな。でも、あんたがタイプなんて変な趣味の男は難しいかな。」

 その言葉を聞き奈央は、

「失礼ね!!」

と、返したら。里奈が笑い始めた。それにつられて、奈央も笑った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ