報告
奈央の顔は、にやける顔をおさえつつ仕事に向かっていた。
金曜日の合同飲みのあと、ひと悶着ありましたが、見事、今、後ろの席で仕事をしている、佐々木新司と両想いになることが出来ました!!まさにオフィスラブってやつよね!?と奈央のテンションはあがりっぱなしであった。
両想いになったあとは、飲み会に戻ることなく、佐々木が、奈央を家まで送った。そして、家の前でバイバイ。土日も、連絡をとったりするといったこともなかった。
なので、奈央はまだ恋人っていう感覚はわかないのだが、でも、佐々木の、好きだという言葉や、抱き合った感覚は忘れることが出来ずに、ドキドキしてしまっていた。
でも、こんな私用で仕事に影響を出すわけにはいかない!!その思いで、奈央は、いつも以上に仕事を頑張った。
お昼休憩のチャイムが鳴った。今日は、仕事に集中しようと時計も見ていなかった奈央は、少し驚いた。
でも、お昼だー!!と、いつものようにパンを取り出していたら、いつものように里奈がやってきた。里奈の顔を見て、里奈は佐々木狙いであったことを思い出した。
好きだというのを聞いておきながら、私が佐々木と付き合っちゃった!!と奈央は焦った。
「なによ、人の顔見た瞬間に変な顔して」
里奈は少し、ご立腹といった雰囲気でそう言った。奈央は、里奈に付き合ったことを伝えなくてはと思った。
しかし、ここは、まさに働いているフロアなわけだし、後ろにも佐々木がいるため、ここで言うわけにはいかない。
「今日は、天気良いし、外にたべに行こう!!」
「そんなに良くないわよ」
里奈は窓の外を確認してから冷静に言った。しかし、ここで負けるわけにいかない奈央は引き下がらなかった。
「外で食べればきっといつもの10以上美味しく感じるよ!!ねっ外で食べよう!」
そう言うと、里奈は、奈央の顔を覗きこんだ。すると、
「まあ、良いわよ」
と言って、お弁当箱を持ちあげた。
奈央は、歩きながら人気のない場所をさがした。しかし、お昼時なので、何人もの人が行きかっている。そう言えば、前に一人で外で食べた場所があったなと思い出した
「とっても、静かで良い場所があるんだ!!きっと里奈も気にいるよ!!そこにいこう!!」
こう言って、里奈を誘った。里奈は、
「どこでも良いわよ」
と言って着いてきてくれた。
奈央は着くと、辺り見まわし、人がいないのを確認してから話始めた。
「えっと、あのね、佐々木と付き合うことになりました」
「あっそ」
里奈の反応はあっさりしたものだった。
「それいうために、わざわざ、こんなとこまで連れ出したわけね」
「いや、一応、好きだって聞いてたから…伝えないとかなって思って…」
「あんた達が両思いなんてこと、少し話したらわかったわよ。むしろ、今さら付き合ったの!?って感じ」
「うそ!?そんなんだった?」
「めちゃくちゃそんなんだった」
奈央は全く身に覚えがなく、なんだか恥ずかしくなってきた。しかし、気になっていたことを聞かなくてはと思い直した。
「あのさ、怒んないの?佐々木のこと好きだったんでしょう?」
「別に、私が勝負に負けたってだけで、怒る理由はないでしょう」
「佐々木のことは、もういいの?」
「あんた達見てたら別れそうにないし、諦める」
里奈は、はっきりとそう言った。奈央は、里奈が気にしていないことがわかると、気持ちが一気に軽くなった。
嬉しくなってやっとパンを食べよとしたとき、里奈が話しかけてきた。
「てか、あんた折橋君も振ったでしょ」
「なんでそんなのわかるの!?」
そんな話誰にもしてないのに、なぜ里奈がわかったんだ!?と奈央は焦った。
「やっぱりね。」
---あっ今の反応じゃ本当ですって言ったようなもんじゃん!!なんてごまそう…
奈央が頭を抱えていると、さらに里奈は続けた。
「じゃあ、ふられた同士ってことで、次は折橋君でも狙おうかな。でも、あんたがタイプなんて変な趣味の男は難しいかな。」
その言葉を聞き奈央は、
「失礼ね!!」
と、返したら。里奈が笑い始めた。それにつられて、奈央も笑った。




