新プロジェクト
朝礼後に急にミーティングに行くように言われた。なんのミーティングだろ…?ただ、行くように言われただけで、全く内容は知らされていない。
会議室に入ると、佐々木が目に入った。魔法部もいるということは、何かの製品のことだろうという予想は出来る。
でも、いったいなんなのかはわからない。
設計部と魔法部の部署長が入ってきた。部署長レベルが来るって大ごとだ!と少し焦る。
いったい何のミーティングなんだと、一気に体が硬くなった。
設計部と魔法部の部署長同士が、少し話をしたかと思ったら、部屋が暗くなりプロジェクターで、’新プロジェクト’とでかでかと映し出された。
そして、魔法部の部署長の方が話し始めた。どうやら、掃除機の新プロジェクが始まるようだ。
簡単な説明をいうと、魔石の魔力だけではなく、自分の魔力とハイブリッドで動かせる掃除機の開発を行うということだった。
今までの掃除機は、魔石の魔力が切れたら使えなくなってしまう。というか、全ての複雑な家電は、魔石の魔力が切れたら使えなくなってしまう。
前に、奈央が魔石の魔力が切れたが、そのままクッションで飛んで会社にきたことがあった。それが出来るのは、クッションには「浮けー」や「右に曲がれー」っといった簡単な指示を思うだけだからである。
しかし、現在の掃除機は、もちろんゴミを吸い上げるためには、歯車を回したり、空気を吐き出したりする必要がある。
そのため、「吸えー」っといった簡単な指示で動かせるようなものではない。なので、掃除機を自分の魔力で、動かすことは出来ないのである。
だが、今回はそれを実現させようというプロジェクトらしい。
今までにない取り組みに、奈央は話を聞いているだけで胸が熱くなってきた。
奈央の頭の中ではどうやったら出来るのかばかり考えてしまう。そんなとき、ふと、佐々木の存在を思い出した。
佐々木もこのミーティングに参加しているということは、このプロジェクトの一員なんだろう。
佐々木とは、席は近いが、今まで一度も同じプロジェクトに配属されることはなかった。それこそ、研修以来である。湯沸かし器のときのように言い争いになるか?なんて、ことを考えた。
大まかな説明が終わると、部署長たちは出て行った。
この会議室はもう少し時間を取ってあるらしいので、設計部と魔法部一緒になって話を詰めることになった。
会議が始まり先輩たちの意見が飛び交う。下っ端の私なんかは、なかなか発言出来ないでいる。
ところが、佐々木は、ガンガンと先輩たちに意見をぶつけていく。何度却下されても食らいつくように、意見を出す。
その姿を見ていたら、私も言いたいことは言わなくちゃいけないんだ!!と発言をするようになっていった。
第一回ミーティングは終わり、次の日時を決めてから解散することになった。使用後の会議室を片づけるのは、下っ端の役目なので、奈央と佐々木が後片付けをすることになった。
私が、椅子をもとに戻しているときに、佐々木が話しかけてきた。
「さっきの流れだと、重くしてでもハイブリッドにしようって感じだったな」
「そうだねー。まあ、今回のプロジェクトはハイブリッド化が目的だからねー」
「でも、それじゃ、使用者の気持ちを無視してね?掃除機使う人は、お年寄りとか力の弱い人も多いのに…消費者はもっと使いやすい製品を求めているはずだろう」
奈央は、その発言を聞いて、確かに!っと納得してしまった。自分は、魔石と魔力のハイブリッドで動く製品なんてなんて面白いんだ!!早くつくってみたい!!としか考えていなかった。
しかし、佐々木は、消費者の気持ちを第一に考えている。
そういえば、研修のときの湯沸かし器も、消費者目線の案を考えていたな。そんなことを思い出した。
「じゃあ、もっと軽量化させるために、素材を変えるとか…」
「でも、耐久性に問題が出そうだな…」
「んーいっそ、小型化させるのは!?いっそ、ハンディタイプにしてしまったら、パーツも少ないし!!」
「それいいな!!よし、今すぐ先輩のとこに話しに行ってみよう!」
「えっ今度のミーティングのときで良いんじゃないかな?」
私がそういうと、佐々木は私の手を掴み、
「善は急げっていうだろ!!」
といって、走り出した。走る、佐々木の横顔は、ワクワクが伝わってくるほど輝いている。
それを見た奈央は、佐々木って少年みたいだっと胸があつくなった。
先輩たちに、小型化の案を話してみると面白いんじゃないかと高評価だった。今度のミーティングまでに資料まとめておいてみろよと言われた。
先輩たちとの話が終わったあと、放り出してきた会議室の後片付けに戻った。会議室に入った瞬間佐々木が笑顔で、
「お前すげーよ!!」
と、言ってハイタッチしてきた。
その後、佐々木はなんにもなかったように片づけを再開したが、奈央は、ドキドキがおさまらず作業は、はかどらなかった。




