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買い出し-2-




 佐々木と、街を歩いていく。すると、何人かの女性がこっちを振り返ってくる。かっこいいとこんな風になるんだーっと少し驚く。

 今、私達は恋人同士に見えるんだろうなーっとこんなかっこいい人を連れて歩いていることが、鼻高々でふんふんふーんと気分良くなる。


 店は、仕事が早く終わったときなんかに覗きに行っているお店が並んでいる通りがあるので、そこに行くことにした。

 とりあえず、飾ってあるディスプレイなどが気になるお店があったので、入ってみた。


 会社に着ていける服だから、派手じゃなくって、シンプルなのが良いな。そう思いながら、どんどんと洋服を物色していく。

 そうすると、後ろをついてくる佐々木が気になった。男の人と洋服屋さんに入るのなんて初めてだからなんだか居心地が悪い。

 ---男の人は、こういうのに付き合わされるのは嫌だっていうしな…。まあ、今回は佐々木から誘ってくれたんだからあんまり気にしなくて良いんだろうけど…さっさと決めよー


 奈央が、いくつかの服を手に持ってると、佐々木が話しかけてきた、

「なんで、黒っぽい服ばかり選ぶんだよ。顔がくれーんだから明るい服着ろ」

 そう言って、白や、水色、薄い黄色の服を持ってきた。自分では絶対に選ぶことのないような服ばかりで少し弱腰になる。

 佐々木は、私が、少し気が引けているのが分かったようで、

「いいから、試着してこい!」

といくつか服を押しつけてきた。薄い黄色のブラウスと、白のフレアなスカートである。

 こんなの私に似合うかなーと少し不安になりながら、試着してみた。

 試着室の中の鏡の前で一周してみると、意外と似合ってるんじゃない!?ビジネスライクでも、かなり華やかな雰囲気になってるよー!!と気分が上がってきた。


 ちょっと、自信ありげに、試着室のカーテンを開けてみた。

 カーテンを開けると、佐々木が立っていた。佐々木は、ぼーっとこっちを見ている。

「えっと、変かな…?」

 佐々木がなにも言ってくれないため、奈央から声をかけてみた。そうすると、佐々木は、そっぽを向いてしまい、あっ駄目だったのかなと少し悲しくなった。

「Tシャツよりは、いいんじゃね」

 その程度かーかなり良いと思っちゃったけど、自意識過剰だったかな、とちょっと残念に感じた。

 佐々木に選んでもらった服は、買うことを決めた。さっそく買いに行こうとしたら、いや、もっと買えよと怒られた。

 確かに、会社に着ていくことを考えたら、今うちにあるのを合わせてもあと数着は必要である。なので、他にも何着か佐々木に選んでもらった。

 それぞれ試着してみるが、佐々木からあまり良い反応はもらうことは出来なかった。

 そのことに少し、不満を感じつつも、今よりは良くなってるならいいかーと佐々木に選んでもらった、数着を購入した。


 1時間くらい、服屋に居てしまった。自分も少し疲れたこともあり、佐々木へのお礼として、コーヒーくらいおごるからとカフェに誘った。

「佐々木って本当にセンス良いねー良く女物を選べるねー」

「お前がセンスな過ぎるだけじゃねーの?」

 こいつ!こっちは褒めたにも関わらず、全力で私を否定しやがって!!コーヒーカップ握る手に、グッと力が入った。

 しかし、選んでもらったお礼でここにきているんだから、ここで文句言うわけにはいかないので我慢する。カップを握る力を緩め机の上に手を置いた。


 すると、佐々木が指先を見てきた。

「お前ネイルしねーの?」

「でも、仕事あるしなー。作業所行ったときなんか困るでしょ」

「そりゃーゴテゴテしたもんは仕事上出来ねーけど、薄いピンク色くらい塗れよ」

 自分の爪を見てみると結構、うすーいピンク色でちょっと不健康そうかな…と、んー確かにそれくらいはした方がいいのかなーと思った。

「それに、お前今日は化粧してるよな?」

「うん、今日はちゃんとしてみたんだけど」

「まあ、あんまり濃くなくて良いんだけど。なんでいつもはしないんだよ?」

「えっお客さんの前に出るわけでもないのに、わざわざする必要ないでしょう?」

「する必要ないってなんだよ!?それが、女として終わってるってことだよ!」

 ガーン、女として終わってると言われてしまった。

 そして、全く言い返せない。いつから、化粧すらする必要ないと感じるようになってしまったのだろう。

 仕事が忙しくなってきて、いかに寝る時間を確保するかにばかり考えるようになってからかな…仕事し過ぎてきちゃったのかな…


 カフェを出た後、佐々木は、ネイルと化粧も一緒に選んでくれるということで、ドラックストアに二人で行った。

「ネイルはこんな色で良いんじゃないか?」

「確かにそのくらいなら良いかもねー」

 佐々木に色を選んでもらい、そのなかで乾くのがはやい物にした。

「お前、チークしてないだろ。顔色良く見えるからしろよ」

 そう言って、チークも選んでくれた。確かに、チークは正直しなくて良いかなって思ってしまっていたので、選んでもらえてありがたかった。

 ネイルとチークをまとめて購入することにした。


 ドラックストアを出て、駅に向かって行った。佐々木は、キッとこっちを見てきた。

「そりゃ忙しいのはわかるけど、化粧も出来る日はしろよ!」

「はい…本当にすいません…」

 素直に謝ったあと、今日のお礼を言わなきゃいけないので佐々木の方を向いた。

「今日は本当に、なにからなにまでありがとうございました!!」

 しっかりと、頭を下げて丁寧にお礼を伝えた。

「別に、いいよ」

「なんで、こんなにしてくれるの?」

「お前、見ててあわれだからな。少しくらいなんとかしてやりたくなったって感じかな」

 ---助かってるから文句言うのはあれなんだけど、やっぱり、むかつく!!




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