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第二夜

「 a false reputation.」




×+++++++++×




〜中身の亡い、好奇な噂。〜




×+++++++++×




 実に不愉快だよ。


 私は道化師。皆がそう呼ぶ。

 私が自ら名乗らずも、誰も彼もがそう呼ぶのだ。




「ヘイ、道化師」

 兎が、呼んだ。兎、と言ってもあの耳長のヤツではない。白い毛がふわりと舞うが、周知の兎とは程遠い。

 しかしヤツは兎、なのだ。


「なぁ道化師」

「何だい? 泡沫兎(バブルラビット)

 泡のように実像のゆらゆらぶくぶくしている兎は、私に言った。

「なぁ、道化師」

「だから、何かな?」


「“夢”が終わるぞ」


 唐突だった。


「どこのだい?」

「“夢”が終わる」

「どこの?」

「『最果ての屋敷』だ」


 目を、見開いた。

“最果ての屋敷”。この前行ったばかりだ。


「誰の、“夢”?」

「人形だ」


 今度は繰り返さず喋った、泡沫兎。人形……。


「ドーリィ?」

「だろうがな」

 ヤツに、躊躇いは無い。

「そうか」

 ついに、費えてしまう。


 不思議なモノだ。

 あの娘の『魂』が永眠(眠り)に就くだけでなぜか安堵する。


「なぁ、道化師」

「何だい? 泡沫兎」


「新たな“夢”が始まるぞ」

「……。どこで?」


「“最果ての屋敷”だ」




「……なぜ?」


「さぁな。だが、“夢”が始まるぞ」

 私は舌打ちした。左手に持っていた傘を広げる。と。

「なぁ道化師よ」

 泡沫兎が私を呼び止めた。

「何だい?」

 急いでいると言うのに。

「お前は人間が好きか?」

「嫌いだね。あの傲慢たる救いようの無い様は見ていて良い気分にはならない」

「だがあの娘は人間が好きだぞ。なぜならあの娘は人形だからだ」

「……」

「忘れるな、道化師。たとえお前が爵位持ちでも、夢を終わらせることは叶わない。なぜなら夢は永遠に生と死を繰り返すからだ」

 私は、帽子を被り直した。

「私を過信し過ぎじゃ……」

「道化師よ」


「永劫回帰には誰も逆らえないぞ」


「さぁ」


「夢が」


「終わる」


「そして、」


「夢が、」


「始まる」




 傘を広げ飛び立った私にもう泡沫兎の声は届かなかった。


 永遠のサークル。

 永遠に朽ちない《世界》。


 枯れないココロ。


 永遠に。




 いっそ消滅してしまえば良いのに。







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ゲンシツウ─あざろぐ。
aza/あざのブログ。

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