<3話> 初陣前夜 ~side:フェルナンド~
1話と重複部分があります。
夕食前から元気のなかったエフィをエディが気遣い、いつもより早く食堂から引き上げていく。
しばらく幹部連中と酒を飲んでいると、アルが「緊急連絡の魔術で依頼書が送られてきた」と知らせてくる。あまり使うことのない俺の執務室に入り、送り主と内容を確認する。
(エディの奴、エフィとゆっくり過ごせるこの時間を邪魔すると、機嫌が最悪になるんだよなぁ。)
面倒くせぇと思いつつも、エフィの顔をまた見れるのは嬉しい。
書類を手にエディの部屋へと向かう。ノックし、入室の許可が出るのを待って部屋に入り、エフィの姿を探す。
すると泣きはらしたエフィがエディに抱かれている。
(エフィを泣かせた奴は誰だ?許さねぇ。)
エディと目が合ったので、エフィに聞こえぬ様に口の動きだけで尋ねると、同じく声を出さずに返してきた答えは意外なものだ。
(何だと?俺らが泣かせたのか?)
自分自身に怒りが込み上げてくる。
エディが動いて、エフィを隣に座らせたのに気付き我に返る。
エディに依頼書を手渡すと、エフィの前に膝をつき顔を覗き込むと、笑顔を見せてくれる。
「馬車の件、すまなかった。もっと早く仕上げて、エフィと出陣すりゃあ良かった。」
「いいの。皆の気持ちはよく解ったもの。気遣ってくれてありがとう。」
とびっきりの笑顔のエフィを思わず抱き締めると、エディに睨まれる。
(本当に心の狭い奴だな。可愛い姪っ子を抱き締めるくらい大目に見ろよ。あいつが産まれた時に直ぐに判った魔力差もあって、あいつに統領を押し付けたが間違いだったか?統領が俺だったら、もっとエフィと居られるように命じることが出来たのになぁ。)
俺の考えを察したのか、再度エディが睨んでくるので手を離し、エフィに依頼の内容を話すことにする。「王都のギルドから緊急連絡の魔術で、特急依頼が送られてきた。依頼人はロートフ王だ。王都の東150メル(およそ180㎞)に位置する森【闇深き森】で、異常繁殖した魔獣の大群が確認された。いつ溢れ出て来て、人の多い王都に向かってきてもおかしくないんだと。何せ数が多いからな、【黎明】の他にも声を掛けているらしい。」
頷きながら真剣に聞くエフィ。
(可愛い過ぎんだろ。)
「フェル、幹部を下の会議室に集めろ。」
エディに命じられ、名残惜しいものの退室し、連中が居るであろう食堂に向かう。
まだ酒を飲んでいた奴らに会議室に来るように伝え、移動中依頼について話す。
エディとエフィが来るのを待って、正式に依頼を受けることが決定される。
部下たちに準備を急がせ、一刻後には装備を整えて騎獣と砦の正門を潜ることが出来た。
真夜中の街道を、王都に向け北上する。
次話は少し時間が進みます。




