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<1話> 初陣前夜 ~side:エフィニア~

 いよいよ本編の始まりです。

 


 夜になり、いつもの様にゆっくり湯を浴びた後、父様が慣れた手付きで私の濡れた髪を丁寧に拭いてくれる。

娘の私にだけは甘くて優しいけれど、統領として皆には厳しく、何よりその強さで尊敬されている。

父様は私がこうありたいと願う理想の人。


だけど目の前に置かれた鏡台に映る自分の姿は、その理想とはかけ離れたものだ。

もうすぐ10歳の誕生日を迎えるというのに、5歳の子と変わらぬ体格。


いくら強い魔力を持って生まれたからだとしても、幼いままの体には焦りと情けなさを感じる。

気持ちを抑えきれずに目に浮かんでくる涙に気づいた父様は、私を抱き上げ顔を近づけてくる。

目を合わせ涙の理由を問われ、心の底に押し込めてきた願いを小さく口にする。


『父様や皆と戦場に行きたい。』



 一度口にしてしまうと、次々に溢れてくる思いを止められず、父様の胸に顔を伏せ涙と一緒に吐き出す。

私が一言告げる度に頷きを返してくれる。


「ここまでエフィが悩んでいるとは思わなかった・・・すまない。もっと早くに話してやれば・・・。」

長椅子へと移動し、私を膝の上に座らせ、まだ涙の止まらない目尻に何度もキスをしてくる。


「皆がエフィの初陣を止めていたのは、エフィが戦場で足手まといになるからと反対していた訳ではないよ。エフィの魔力なら大抵の魔術が使えるからな。皆頼りにしてるぞ。」

「でも皆私にはまだ早いって。」


(あと何年待てばいいのだろう。)


「皆エフィの心配をしているだけだ。本当は誕生日まで秘密にしててくれと言われていたんだが、泣かれて黙っている事など出来ないからな。どうせ4日後には話そうと思っていたのだ、今でも良かろう。」


『エフィ、お前の初陣が決まったぞ。次の依頼には必ず同行させる。』



 告げられた言葉は、ここ数年私が早く聞きたいと願っていたものだ。

思わず固まる私に「驚くのはまだ早い」と言って、いたずらっぽく笑う父様。


「皆でエフィの誕生祝いを用意した。移動時に使用するエフィ専用の馬車だ。」

「私の馬車?」

「そうだ。依頼内容によっては長時間騎乗しなくてはならない。いくら私が抱えヴェルドが揺れを抑えても、体力を消耗する。移動中も騎乗するのはかなり厳しいであろう。そこで2年前から製作していたのだが、皆がこだわり過ぎたせいで、ようやく出来上がったところだ。なんとか間にって良かったよ。」

驚きのあまり、涙はもう止まっている。


「作ったの?」

「ああ。設計はフェル、材料はシンが半年掛かりで集めた極上品で、本体はユースとシリスが1年掛けて作り上げた。それにティアが重量軽減や強化守護、治癒力上昇、疲労回復などの魔術を重ねがけしたぞ。騎獣と馬車を繋ぐハーネスはラミドがヴェルドと試行錯誤を繰り返して揺れが伝わりにくくしたらしい。内装はアルとネルがエフィ好みに仕上げた。」


次々に出てくる名は、私の初陣を遅らせるように言っていた【黎明】の幹部達。

「だからまだ早いって言ってたのね。」


(馬車のことは言えないけれど、出来上がるまでまだ時間が必要だからそれまで待ってて欲しいって。)

歓喜のあまり父様に抱きつくと、ぎゅっと力強く抱きしめてくれる。


(早く馬車が見たい。そして最高の笑顔で皆にお礼を言うの。)






 このような感じで話が進みます。1話1話は短めで、展開は遅いです。

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