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箱庭ゲーム  作者: 夜猫
クローズド・サーガ
47/52

クエスト45・悪夢、再び

Player-ミッド

 「・・・と言うわけなんですけど、何とかしてもらえませんか?」


 「・・・・・・ふむ、どういうことだ?」


 「なるほど。話しはよくわかったわ」


 目の前に正座で座っているバカと腹黒は全く逆の返事を俺に返してくれた。

 バカの方は蒼を基調とした着物の侍風の男。だが、腰に差しているのは刀ではなく、両刃の太刀だ。深みのある、落ち着いた声でバカなことしか言わないので色々と損していると俺は思う。

 と言うか、こいつはただの脳筋だ。

 そして、腹黒は残念なことに初見ではそうとは思えないほどにものすごく奇麗な女性だ。表現するなら、大和撫子を地で行く感じだ。素人ながらに、黒髪ロングで振袖の着物が似合うやつってのはそうそういないと俺は思うしな。

 ちなみに、着物は自分の腹黒さをごまかすためなのか、白っぽい、淡い感じの色合いのやつだ。

 目の前の腹黒、つまり『伊邪那美』はその閉じた切れ長の目を開け、俺に鋭い視線を向けて一言。


 「作り話なら、もっと上手に話さなくちゃダメよ、猫ちゃん」


 「ダメなのか!?お前には俺の恥ずかしい過去も証拠になりうる『ウィンド・ローズ』の片割れの『ウィンド・ブロッサム』も『スレイプニルの指輪』も見せたのに、それでもダメなのか!?つか恥ずかしい過去に関してはあの三人にも話してないんだぞ!?」


 「・・・お前、息継ぎを一回もしなかったな。以外とやるのか?」


 バカ、つまりは『伊邪那岐』が唐突にトンチンカンなことを言いだす。だが、いつものことなのでスルーしておく。


 「いいえ、彼は情報によれば『金魚のフン』、『リア充爆ぜろ』、『スピード狂』、『死んでしまえ!』、『なぜなんなやつがいい思いをしている!!』という二つ名が巷に出回っているので、全然やらないと思います」


 「何、粛々とした感じでさらっと毒を吐いてんだよ!?」


 しかも、最後のは明らかにただの不平不満だ。

 つか、変わってやれるものならば変わってやりたいというのが俺の魂の叫びだ。


 「後、さっきの戯言で『アレ?こいつの脳味噌わいてんじゃねーの?』も追加しました」


 「明らかにお前の個人的な感想じゃねぇか!?」


 「むぅ、そうなのか・・・」


 「お前も納得するなよ!?」


 ストレスしかたまらない・・・!

 一刻も早く、俺の精神衛生上のためにもココからさっさと退散しなくてはならない。心の底からそう思った。


 「それに、こちらにメリットはあるのですか?」


 「もしもそのモンスター、仮にバグモンスターでもしとくが、そいつの存在がバレたとき、最小限の被害を食い止めていたのは『八百万の神々』なんだぜ!って自慢できる。よってお前等の株急上昇」


 「そもそもの話自体が信用できないので交渉決裂どころか、交渉する余地すらないわ」


 ・・・バッサリと切られてしまった。

 つか、こんなアホな信じられていないという話しを持ってきた時点でもしかしたら信憑性があるのかもしれないって思わないのか?

 下手したらココのやつらと俺達が完全に敵対関係になるかもしれないってのに・・・。


 「あら、そうだわ。そんな戯言を信じることができるかもしれない条件があるわ」


 唐突に、伊邪那美がそんなとってつけたようなリアクションで俺に言いだした。

 そして俺に言葉を挟む余地を与えずに、一方的に提案を出してきた。


 「猫ちゃん、貴方自信を出せるかしら?」


 さらりと、いきなり人身売買の条件を突きつけられた。


 「・・・それは、俺自身を担保に差し出せってことか?」


 「えぇ、その通り。これならもしも貴方が適当なことを言ってたとしても、数少ない『グリーン・ユグドラシル』の戦力を減らせるわ。例え、それがとるにたらない戦力だとしても」


 「・・・なるほど。『オーディンの行軍』を封じる気だな」


 今現在、俺達はたった四人だけの北欧神話領守護神の『グリーン・ユグドラシル』だ。だが、それにもかかわらずアスカの発症してしまった『死神降臨スキル・ハッピー』で圧倒的武力を持って勝ち続けている。

 だが、そのせいで明らかに寄生虫のようなやつらから俺達をココに入れてくれってのが多すぎて困っている。

 こいつの狙いを察知した俺はストレートに言葉をぶつけるが、


 「あらあら、私がそんな姑息な手を使うと思っているの?それに、貴方の変わりなら戦乙女がいるじゃない」


 「だが、薄々気づいてるんだろ?オーディンの攻撃を避けられるのは俺だけだってことがな」


 「そうかしら?こちらの伊邪那岐でも避けられるわよ?」


 「いや、俺には無理だ」


 ・・・こいつ、色々と伊邪那美の足をひっぱてるよなと思いつつ、俺は伊邪那岐のポロリとこぼした言葉を聞かなかったことにして更に言葉を重ねる。


 「けど、アンタは無理だろ?それに、アンタに実質的な被害が向かおうとすれば、絶対に伊邪那岐はアンタを守る。そして、伊邪那岐は残念だが一人を守ることしかできない」


 自分であれ、味方であれだ。

 すると、伊邪那美は微笑んではいるものの、どこか底冷えのするような笑みで俺に言葉を返す。


 「それは、私達に喧嘩を売っていると見てよろしいのかしら?」


 「自分の旦那のことになると沸点低いな!?」


 「そんな、旦那様だなんて・・・」


 「いきなり態度軟化させてくねくねすんなよ!?」


 こいつら、本当に面倒くさい!

 しかも、そんなふざけた態度をとっていても、こいつには隙が見当たらない。こうなったら最終手段かとPVPの申し込みをしようとしたとき、唐突に場にそぐわない軽快な音が出た。

 もしかしなくてもショートメールだ。

 俺は目の前の伊邪那美に断ってショートメールを見ると、そこには信じられないことが書かれていた。だが、若干うれしいような気もする。

 けど、これは無鉄砲すぎるだろう。


 「猫ちゃん、どうかしたかしら?いきなり、笑いたいのか焦っているのかよくわからない顔で」


 「今すぐに俺のPVPを受けろ、バトロワで。俺がお前等に勝ったら問答無用でさっきの話を信用しろ」


 「ふむ、面白そうだ」


 そう答えたのは、伊邪那岐の方だ。

 こいつは脳筋なせいか、決着をバトルでつけたがる傾向にある。そして伊邪那美はそんな伊邪那岐の決定にはまず逆らわない。

 それは今回も例外ではなく、自信に満ちたやわらかい笑みで一つうなずき、俺に向き直る。


 「では貴方が負ければ、貴方を問答無用でこちらに引きこみます。いいですね?」


 伊邪那美はその笑顔からは想像できないくらいに、ブラックなヤクザ的人身売買を求めてきた。

 と言うか、俺にはそれを飲む以外に選択肢が存在しない。

 俺が頷くかどうかのタイミングで、目の前にPVPの承諾の是非を問う表示枠ウィンドウが現れた。俺は迷わずに『YES』のボタンに触れた。


 「―――『時よ、止まれ』。悪いが、急用ができた。速攻で行かせてもらう」


 「私達に勝てるのは、今のところ『死神』ちゃんだけよ」


 「かかってこい」




Player-ファントム

 「アスカ、いい加減に機嫌を直せ」


 「今頃、ミッドは伊邪那美をイチャコラしてるのよ。浮気してんのよ」


 何故か酔っ払い的な絡みで俺にやたらと絡んでくるアスカ。


 「それよりもだ、また来てるぞ。パーティーでだ」


 俺が一言だけ言うと、アスカはげんなりとした表情でため息をつく。

 今現在、この北欧神話領守護神『グリーン・ユグドラシル』は『オーディン』のアスカに『ロキ』の俺、『戦乙女』兼『スレイプニル(補助)』のスピカ、そして『スレイプニル』のミッドと言う四人だけの構成だ。だが、それにもかかわらず領地争奪戦エリア・ウォーでは最強を誇っている。それだけアスカが凶悪なわけだが・・・。

 まぁ、そんなわけで甘い汁を啜ろうと下卑た考えしか持たないプレイヤーがゴマンと来る状況だ。

 まぁ、まさかパーティーで神級ゴッド・クラスを、しかもノリで倒そうとする狂人なんかいないだろうからな。普通は。だが、残念なことに俺達はそれを成功させてしまった猛者バカだ。

 本来、神級ゴッド・クラスはギルド単位で狩るようなモノだからな・・・。正直なところを言えば、俺とミッドがいなければ絶対に不可能だった。

 とにかく、そう言うわけでプレイヤー達の『俺を入れろ』と言う売り込みが非常に面倒くさい。


 「・・・とりあえず、下に行くわ」


 アスカはそう言うと、疲れた表情で俺達が共同で使っている執務質的な部屋から出ていく。俺もその後ろについて行き、アスカに助言やなんかをできるように心の準備をしておく。

 後、武力行使による強制排除もだ。アスカが暴れれば本当にめんどうなことになる。・・・おもに俺達が。

 そして世界樹の一階へと赴き、やってきたであろうパーティー御一行を視界に収め、応接間に通した。


 「トム、一応お茶」


 「・・・俺は、料理スキルを磨いてないぞ?」


 「・・・ッチ」


 明らかに今ここにはいない猫に向けられたであろう舌打ちを効かなかったことにし、目の前のパーティーに視線を向ける。

 お茶が出てこないことに何の疑問もい抱かないのか、目の前のパーティーは平然としている。


 「すまない。今は料理スキルを使えるやつが席をはずしている」


 「あぁ、気にしなくてもオッケーっす」


 やたらと軽い返事を返された。そんな態度にアスカは渋面を隠そうともしない。

 俺はそれを無視して話しを進める。


 「俺が一応ナンバー2の『ロキ』、ファントムだ。そしてこいつが『オーディン』のアスカだ」


 「どうも」


 向こうが口々に挨拶と自己紹介をしてくるのを聞き流し、俺は単刀直入に行く。


 「で、何で入りたい?寄生はお断りだ」


 「ち、違いますよ!?そんな浅はかな理由でココに来たわけじゃ・・・」


 ・・・パターン入ったな。


 「じゃ、どういう理由よ?」


 俺が言おうとした言葉を、アスカがこれまたストレートに斬り込んだ。

 まぁ、いつもこういうパターンで来られたら嫌気がさしてくる。アスカはいつも『どうせならもっと面白い理由で来なさいよ。・・・あたしを倒して下剋上するとかでもいいから』とわりと物騒なことをぼやいている。

 どうせ、この後はどうせ『あー』とか『うー』とか曖昧な言葉が来るんだろうなと思っていると、予想外の返答が来た。


 「・・・所で、猫妖精ケットシーのプレイヤーは?」


 「「・・・は?」」


 ・・・俺はアスカを引っ張り、部屋の隅に行く。

 そしてこそこそと話す。


 「どう思う?」


 「ついに、そっちの道に走った?」


 今はバカな受け答えをする気分じゃない。

 それを視線で分からせ、軌道を修正する。


 「・・・聞くしかないんじゃない?」


 もっともな意見に俺とアスカの視線がパーティー御一行に向く。


 「あのぉ・・・」


 ものすごく、困惑していた。


 「すまん。さっき料理スキルが使えるやつが席をはずしていると言ったのを覚えているか?」


 「は、はぁ・・・」


 「そいつがウチの飼ってる猫よ。スピード狂の」


 「あぁ、その人です」


 そしてパーティーの方からはいないのかーといった言葉が漏れている。


 「ミッド――猫妖精ケットシーのプレイヤーがどうかしたか?」


 「あの人、『スレイプニル』ですよね?」


 「北欧神話最弱の」


 ・・・いや、実は二番目に強いんだとは言いづらかった。

 今のところ、周囲はアスカ>スピカ>俺>ミッドという力関係だと錯覚している。それにミッド自身それでいいと言っているしな・・・。


 「違うわ。ミッドは二番よ」


 だが、アスカはそれを普通にぶち破った。

 しかし、相手には困惑した表情はない。むしろ納得したという感じの表情だ。


 「実は、俺達無所属領にいたんですけど・・・」


 話しを聞いてみれば、こいつらはミッドがわけのわからないクエストを受注してしまったときにその現場を見ていたらしい。

 そして、それを見て『これだ!』と何か電波を受信。わざわざ無所属領からココに来たらしい。

 だが、結局のところ今までの奴等と変わってないんじゃないか?

 そんな俺の心の声が表情に出ていたのか、目の前のパーティーのリーダーらしきプレイヤーが勢いこんでいう。


 「俺達は、それなりに強いです!」


 根拠はなんだと思っていると、そのリーダーに続くようにしてメンバーが口々に言葉を口に出し始めた。


 「そうです!無所属領で神級ゴッド・クラスを倒したこともあります!」


 「領地争奪戦エリア・ウォーでも、封神演義領の傭兵として参加したこともあります!!」


 ・・・何と言うか、微妙だった。

 無所属領の神級ゴッド・クラスは、残念なことに他の神話領のものと比べれば格段に弱い。俺もミッドも、昔にギリギリだが単独ソロで勝ったこともある。それに、あの例のモンスターをミッドは一人でやったという実績もある。・・・まぁ、アスカが圧勝だったのは言うまでもない。

 そして領地争奪戦エリア・ウォーの傭兵参加。確かに傭兵として雇われることはめったにない。まぁ、自分の領地の人間だけで事足りているからな。だが、封神演義領だけはそうはいかない。

 封神演義領のキャラ成長の特徴は『大器晩成型』。言ってしまえば最初はとんでもなく弱い。そのせいであの神話領はとてつもなく不人気な、具体的にはプレイヤー数最下位の神話領だ。そのせいであそこは積極的にプレイヤーを傭兵として雇う傾向にある。

 ・・・だが、ハイレベルプレイヤーは本当に強い。『一騎当千』を体現したかのようなやつらだ。


 「微妙ね」


 アスカが何の臆面もなくそう言った。

 それを聞いた相手はあわてた様子で、更に自分達を売り込む。


 「そ、そうだ!ついさっき聞いた、ココでバカみたいに強いって噂のモンスターを倒してきます!」


 「さっき聞いた、バカみたいに強いモンスター?」


 「知らないんですか?ココのメンバーさんに聞いたんですけど?」


 「ココのメンバー?・・・スピカのこと?それともミッド?」


 「いえ、なんか四人いましたけど?」


 四人?

 俺とアスカはその言葉で首をひねった。


 「『|グリーン・ユグドラシル(ココ)』は俺達を含めて、まだ四人だけしかいないぞ?」


 「「「・・・え?」」」


 いや、むしろ俺達が驚きたい。


 「けどさっき、変なこと言ってどっかに行きましたけど?」


 「変な、こと?」


 アスカが疑問の声を上げると、突然俺にメールが来た。・・・スピカからだな。

 俺は断ってすぐにスピカのメールを読む。


 「まさか・・・」


 このメールを読み、分かった。


 「アスカ、マズいかもしれない」


 「一体何よ?」


 「あの保護した四人が消えたらしい」


 するとアスカはすぐに目の前のプレイヤーに向き直り、その特徴を聞き出す。そして帰ってきたのは予想した通りものだった。


 「男女二人ずつのパーティーで、一人は暗殺者っぽいロールプレイしてました」


 「具体的には、『メモ帳』での筆談だな?」


 「やっぱり、そちらのメンバーじゃ・・・」


 「その四人はどこに行ったの!?そして何を言ってたのか一字一句正確に答えなさい!!」


 アスカがその見た目からは想像できないほどの腕力で目の前のリーダーらしきプレイヤーの襟首を掴んで吊るす。

 突然の事態に動揺する奴等をしり目に、俺はミッドとスピカにメールを送っておく。ミッドの方は無理かもしれないが、一応念のためだ。

 メールを送り終えると、興奮しているアスカをプレイヤーから引き剥がし、これからの行動をどうするかを尋ねた。


 「どうする?追いかけるか?」


 「・・・そうね。あの子達が何をするか分からないわ。スピカを呼んできて。できればミッドにも速く来るようにメールして」


 「それはしておいた。なら、後はモンスターが何かということだが・・・」


 俺は置き去りにされたプレイヤー達に視線を向け、尋ねる。


 「奴等は、そのモンスターについて何か言っていたか?」


 「え?あの、なんだかやたらと言いにくいモンスターだった気が・・・?」


 「『ウゾーナントカ』とか『ナントカニル』とか・・・。後、痛みがどうとか死ぬほど強いとか?」


 最悪の答えだった。十中八九、あいつらは例のモンスターの情報を仕入れたんだろう。

 そして名前はほぼ『ナントカ』しか言っていない。

 単純に考ええば『ウゾーニル』とか言う名前のモンスター。そして語尾に『ニル』という言葉がつくのなら、それは北欧神話系の有名なモンスターである可能性が高い。


 「あ、そう言えば神級ゴッド・クラスらしいですよ」


 「なんだと!?」


 「何でそんな重要なことをさっさと言わないのよ!?」


 またアスカがリーダーらしきプレイヤーを自分のSTR値にモノを言わせて吊り上げる。その光景に向こうは戸惑うだけだ。


 「・・・これは、ミッドを待たなければ無理かもしれん」


 独り言のように呟くと、俺は再びショートメールでミッドにメールを送る。これであいつの用事が済めば、すぐさま答えが返ってくる。そう結論付けた矢先に、メールが返ってきた。

 ・・・どうやら不意打ち且つ、速攻、更には強制クリティカルのミッド式凶悪コンボで早々にかたをつけたらしい。


 「・・・なるほど、そう言うことか」


 「わかったの?なら、すぐに行くわよ!!」


 「待て、その前にやることがある」


 俺は返事も待たずに飛び出していこうとしたアスカの襟首をつかんで、アスカが走りださないようにする。

 だが、アスカは俺に噛みつくようにして言葉をぶつけてきた。


 「何でよ!?早くしないとあの四人が・・・!」


 「大丈夫だ。たぶん、奴等はギリギリまで挑まない。・・・あれだけのトラウマだぞ?」


 「けど・・・!」


 「挑む前に、やることがある。・・・ありったけの武器系素材を使うぞ」


 あの神級ゴッド・クラスにはそれが必要だと、以前ミッドから聞いた。

 そのためにも、さっさと行動する必要がある。


 「トム、アンタ何をしようとしてるのよ?」


 「何がどうなっているんですか?」


 アスカと目の前のパーティーの声が重なった。

 ・・・そう言えば、こいつ等を何とかしておかないと。


 「・・・一次試験は合格だ」


 「「「やったー」」」


 「ちょっと、トム!?」


 パーティー組んだ連中が喜ぶ中、アスカは俺の手を払い、詰め寄ってくる。


 「どういうつもりよ!?」


 「だが、二次試験では神より性質たちの悪い、怪物を倒すのを見学に来い。それを見たうえで、ココに入るかどうかを考えろ。もしかすると、アレが今後の俺達の通常業務の一部に入ってくるかもしれん」


 意味が分かっていないのか、首をかしげるプレイヤー達。

 俺は驚愕の表情のアスカに向き直る。


 「アスカ、スピカに奴等を探すように頼んでおいてくれ。俺はちょっと準備がある」


 そして俺は、作業に移るべく、世界樹の中を走っていった。



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