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箱庭ゲーム  作者: 夜猫
音速の剣士とスレイプニル
3/52

クエスト2・猫妖精の憂鬱

Player-ミッド

 「ぜーはー・・・」


 「お疲れ・・・ほらな、俺が言ったとおりだったろ?」


 「・・・最悪、何で負けないのよ」


 広場の喫茶店にカイとロゼはいた。

 そして、カイとロゼがそういうとロゼがカイに何かを渡す。

 ・・・どうも、お金らしい。


 「お前、等、人が、死ぬ思いで、あの、鉄仮面、女から、逃げてる、ときに、何、賭けとか、しちゃっ、てんの・・・!?」


 「まぁまぁ、ほれ、お前の配当だ。受け取れ」


 そういうと、カイは俺に飲み物を渡してくれた。

 ごく普通のオレンジジュース。

 まぁ、このゲームの世界ではメシを取らなくても死ぬことは無いけど、腹が減るという感覚はガマンできない。何故かはよくわからないけど。

 俺はカイがくれたオレンジジュースをありがたく頂くと、それを一気に飲み干す。


 「ぷはぁ!・・・でもさ、あの女も何で俺に構うのかね」


 「・・・ペットが欲しいんじゃない?」


 「ペット!?俺ペット!?」


 ロゼの一言はかなり傷ついた。

 いや、確かに俺は猫妖精ケットシーだけどさ!

 でも、断じてペットじゃない!


 「・・・アレじゃね?やっぱ、お前が好きなんだよ」


 「カイ、お前、どの口でそんな事言うか。大体、それなら目の前ではっきり言えばいい。それなら俺も考えてやらんことも無い」


 「・・・わかった。・・・スキ」


 「うぉぉおおい!?」


 なんかイター!?

 でっかいワンコ連れてないけどイター!?

 俺はもはや条件反射的に逃げようとしたらカイに腕を掴まれた。


 「は、離せ!俺は、走り出さなくちゃいけないんだよぉぉぉおおお!!!」


 「いや、ココで熱血いらないから」


 「・・・私は答えた。・・・で、どうするの、タマ二号?」


 「だから俺はタマ二号じゃねぇー!」


 いつの間にかいたのはミステリアスな雰囲気、と言うよりも最早怪奇現象な雰囲気を醸し出している美少女。ただし、性格は・・・最低。


 「・・・安心して。・・・ほんの少し調教するだけ。・・・痛くしないから・・・たぶん」


 「黙れこのサディスト!!たぶんって何だよ!?それに調教って!?俺はそんな性癖は無い!」


 「・・・いやん。・・・そんなに褒めないで」


 そういうと頬に手を当てて腰をくねくねさせているわりに顔は完璧なポーカーフェイスを保つ変な生命体が。


 「まぁまぁ、いいじゃない。たまにはイースさんの話も聞いてあげなさいよ」


 「だが断る!」


 「・・・タマと追いかけっ「話を聞こうじゃないか!!」・・・ありがとう」


 いや、もう正直な話、タマとの追いかけっこは辛い。

 この見た目十代前半の美少女は『イース』。このゲームで一回しか出てこないモンスター、つまりはユニークモンスターの『魔氷狼フェンリル』をテイムすることに成功した猛者だ。そのため、このゲームで治安の維持を目的とした『守護神ガーディアン』と呼ばれる組織の一員でもある。

 ただ、このイースのホームは北欧神話領、実際の地名では北海道の当たりにいるはずなんだけど・・・。


 「・・・有給貰った」


 「まさかの給料制!?」


 『守護神ガーディアン』の意外な事実が発覚した。

 ちなみに、この『守護神ガーディアン』と呼ばれる組織。

 もちろん、ハイレベルプレイヤー達が中心になって取り締まっている。

 そして、『守護神ガーディアン』の幹部プレイヤー達の名前に特徴的があり、それぞれのエリアに関した神様の名前が二つ名になってることが多い。

 例えば、のトップは『オーディン』と呼ばれていたり、ギリシャ神話領では『ゼウス』、『ポセイドン』、『ハデス』。封神演技では『ナタク』、『ヨウゼン』など言った名前をよく聞く。

 つまり、コイツも北欧神話系の神器の名前を冠した二つ名を持っているのもそういう理由からだ。


 「で、何で俺を追い掛け回す?」


 ただ、本当にだいぶ前に、一度だけ俺がなんかやったような気がしないでもないけど・・・。


 「・・・お前、強くなりそう。・・・それに、タマがついて行くのが精一杯。・・・リーダーに褒められそう」


 「いや、そんなアバウトな・・・しかも下心満載で」


 「・・・何より、私がお前を調きょ・・・訓練したい」


 「おい!?お前、何さりげなく調教とか言ってんの!?お巡りさん!!ここに変態がいます!!」


 この女はただの変態だった。

 いや、だって、調教したいって言いながら何で恍惚とした笑みを浮かべるの!?しかも頬を赤らめて!明らかに普通の人の精神じゃない。

 俺はマジでいろいろとやばいものを感じ取り、すぐそこにいた『守護神ガーディアン』の人っぽい人にすぐ声をかけた。

 すると、何故か俺は同情するような顔だけ向けられて何事も無かったかのように巡回をし始めた。


 「ちょ!?おたくの『守護神ガーディアン』っぽい人が職務怠慢ですよ!?」


 「・・・大丈夫。・・・私が邪魔するなって、アイコンタクトした」


 ダメだコイツ何とかしないと!?

 でも、やっぱり、権力には立ち向かうことができないか・・・。

 てか、明らかに職権乱用だ。

 ・・・よし、また今度北海道に行くことがあれば北欧支部のトップの人に匿名で垂れ込みをしておこう。


 「でも、何で追いかけっこしないのよ?」


 「・・・さぁ?」


 確かに、今の俺はかなり参ってるから、タマに追いかけられたら普通に負けると思う。


 「・・・タマも疲れてる。・・・それに、約束した」


 「・・・どんな?」


 カイが俺に聞くが俺だってわからない。何か、約束したことあったか?

 ・・・・・・いや、だいぶ前にした『俺に追いつけたら何でもしてやる!』と言うヤツのことを言ってるのか?

 確か、あの時はコイツがフィールドでモンスター追いかけていて、その時にたまたまこいつ等の進路上にいて轢かれた時に文句言ったらコイツが俺のせいで獲物エモノが逃げた的なコトを言ったもんだから俺がそのモンスターひっ捕まえてやったら何かものすごく驚かれたような気が・・・?

 そして、俺に『タマ二号になれ』って言うわけのわからんことをいわれて今に至ると・・・。


 「・・・お前の全力に追いつけないと、意味が無い」


 「・・・無駄にスポーツマンシップに則っていうるんだな」


 どうも、そういうことらしい。

 俺達は上の人が考えることはよくわからないと目配せしながらため息をついた。


 「あ、あの、すみません!」


 いきなり謝る声が聞こえた。

 俺は誰かがカツアゲでもされているのかと思って声の方向を見ると、そこには通りかかる人に声をかける少女が。

 でも、何か相手にされてないっぽい。


 「なぁ。あれ、何してんの?」


 「あれ?・・・あぁ、さっきから、ここら辺でどうも聞き込みをしてるらしい」


 「私たちもここに入る前に聞かれたわ」


 「なんて?」


 「名前はわかんないし、容姿も猫妖精ケットシーってコトしかわかないけど、アレは確実に『風の踊り子』のことを聞いてたわ」


 「・・・『風の踊り子』、ね」


 『風の踊り子』。それはこのゲーム内にある一種の都市伝説みたいなもの。

 何でも、やたらと強いプレイヤーがいるらしい。

 何でらしいかと言うと、攻撃があまりにも・・・・・速過ぎて・・・・何をされたのかわからないらしい。

 んなバカな話があるかとは周りの言葉。


 「何で、そいつのことを調べてるんでしょうかねぇ・・・」


 俺は注文した緑茶を飲みながらのほほんと言う。


 「さぁ?どうも、数ヶ月前にあの娘はPK集団に襲われたらしい。で、そこを助けたのが『風の踊り子』らしき人物。格好はマントを被ってて耳の辺りがとがってたから猫妖精ケットシーってのはわかったらしいけど。・・・相手が降伏しないとわかると本当に瞬殺したらしい」


 「・・・要するに、あの娘も何が起きたかわかってない」


 俺達は何とはなしに聞き込みを続けるその少女に目を向けた。

 すると、その少女は俺達の視線に気がついたのかくるっと振り向いて俺達を見る。

 すると、俺で視線を固定。


 「・・・あ、俺さ、つい最近料理スキルを上げ始めたんだよね。だから、今日は帰って料理するわ」


 ごく自然に、さりげなく帰ろうとした。

 なぜかって?もちろん、厄介事の臭いがしたからに決まっているじゃないか!

 でも、神様は俺が嫌いらしい。

 というか、『守護神ガーディアン』のミステリアス女神様が俺の襟首を掴んでいた。


 「すみません、イースさん。この手を離していただけませんかコンチクショウ!」


 「・・・まぁまぁ。・・・ゆっくりしていけ」


 「お前、わかってやっているだろう!?」


 「あの!」


 いつの間にか聞き込み少女が目の前に。

 まぁ、見た感じはごく普通のどこにでもいる女の子だ。

 種族は『エルフ』。北欧神話領の出身だろう。

 ちなみに、エルフは、たしか北欧神話にしか出てこなかったりするっていう豆知識。・・・たぶん、あってる。

 いや、それは今はどうでもいい。つか、このドS女に邪魔されたおかげで逃げられなくなってしまった。


 「貴方、猫妖精ケットシーですよね?」


 「いいえ、私はケットニャーです」


 「おい。何を新しい種族を作ろうとしている。確かにコイツは猫妖精ケットシーだ」


 カイは普通に俺の種族をばらした。

 ・・・後で八つ裂きにしてやる。


 「貴方が、私を助けてくれた人ですか!?」


 「全然違います」


 俺がそういうと、目の前の聞き込み少女はあからさまに落胆したというのを全身で表す。

 ・・・何でだろう?別に俺が悪いわけじゃないのに、後からの視線がものすごく痛い。


 「・・・いえ、実は貴方は嘘をついているんです!!」


 「その根拠は何!?」


 いきなり俺にビシッと指をつきつけたかと思うと、いきなり俺がうそついた宣言をされた。

 いったい、その自信はどこから来るんだろう?


 「あぁ、なるほどな。確かに、猫妖精ケットシーはSPD補正がいくらかつく。要するに猫妖精ケットシーを選ぶってコトは盗賊シーフ系の職業ジョブにつくのと同じだ。つまり、ソロでプレイするには火力が足りないから、基本的にPTでのプレイでしか本領を発揮できない。そして、ココは無所属領だからな。基本的にソロプレイするヤツが多い。そうすると必然的に猫妖精ケットシーみたいなSPD系のキャラはかなり少なくなる」


 「ちょっと待て、それはこの聞き込み少女が無所属領で襲われたってコト前提だろ?確かに、無所属領は全部の領地の中で一番ダンジョンが多いけど、他の領地にもダンジョンはあるぞ?」


 「あ、私は無所属領のダンジョンからの帰りに教われました」


 「・・・さいですか」


 確かに、俺もSPD系のキャラに会ったことはあんまりない。

 でも、だからって、俺だってコトにはならないと思うのですが?


 「でも、コイツはただのヘタレよ?」


 「・・・俺、泣いていいか?」


 「・・・タマ二号、泣くなら私の胸で。・・・そして持ち帰る」


 「黙れドS女、無い胸でどう泣け・・・すみません、もう言わないからその鞭を振り下ろさないで!!」


 「ね。わかったでしょ?」


 「・・・でも、この辺で猫妖精ケットシーの人がいないんですよね。それに、猫妖精ケットシーで男の人って言うのもあんまりいないので・・・」


 「・・・あれ?『風の踊り子』って、男だったの?」


 「あ、はい。たぶんですけど、声は男性のものかと。それに、一人称も『俺』でしたし」


 「猫妖精ケットシーで、男、そして一人称が『俺』」


 そういうと、ロゼは俺のほうを向く。


 「・・・でも、コイツだけは無いわ」


 「酷い!?お前、俺とPT組んでドンだけだよ!?」


 「・・・三日ぐらい?」


 「違ぇ!?一年はいってる!それをどうしたら三日と間違える!?」


 「いや、アンタ影薄いから。そうそう、私が回復魔法を覚え始めたのって、アンタにあってからだったわね」


 「そうなのか?・・・ちなみに何で?」


 「コイツを回復してボコるために」


 「鬼だ!ココに鬼がいる!?」


 「たぶん、もうすぐ蘇生魔法覚えるからそん時は心置きなくれるわ。・・・安心して、ちゃんと蘇生してからもう一回るから」


 「何で俺の周りにはドS女しか集まらないんだよ!!」


 人生ってのは理不尽だと思った。

 何で、俺には女運が無いんだろう?


 「でも、この人が一番怪しいんです」


 いや、何で犯罪者みたいに言われなくちゃいけないの?


 「だから、私を貴方のPTに入れてください!」


 「「「・・・は?」」」


 俺の人生、何でこうも厄介事ばっかりなのかなぁ・・・。




用語集


守護神ガーディアン』・ゲーム内においての警察のようなもの。実力者でないとプレイヤー達を捕まえることができないので、二つ名持ちが多い。また、それぞれの神話領を分担し、エリア争奪戦のときはこの人たちが中心に指揮をとって戦う。

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