翌朝
「ふぁぁ…」
やはり馬車の上も寝心地は良かったが、宿屋のベッドが一番だ。
だが、いつもの寝巻きよりも動きにくい。何故かと思い服装を見ると、昨日の服装のままだった。
昨晩は夜遅くまでシュミッドの工房で酒を飲んでいたんだった。
そこでヘンブランが酔いつぶれて寝てしまったせいで背負って帰る羽目になったのだ。
「ヘンブラン、大丈夫かい?」
「水…水をくれ…」
「二日酔いだね…はい、水」
私はコップに水魔法で水を注ぎ、ヘンブランに手渡した。
「ありがとよ…」
ヘンブランは水を一気に飲み干し、布団にくるまった。
ヘンブランは今日は動けそうではなさそうだ。しょうがない、シュミッドの工房には1人で行こう。
そう思い宿を出ると、日は真上にあった。
「昼まで寝てたのか。お腹空いたな…」
昼まで寝ていたとなると、腹がすく。なにか朝食にいいものをと思い街を散策することにした。
表通りにはステーキや肉煮込み鍋など胃のもたれなど関係ないと言わんばかりの料理店が並んでいた。
「ドワーフは身体が強いから胃もたれなんてしないんだよね…」
きっと今頃、シュミッドは笑いながら肉を頬張っているだろう。
そんな姿を想像しながら、私はダンジョンの方へ向かった。
ダンジョンの近くには人間の冒険者が集まる。無論、人間に合った食事を出す店が多いはずだ。
だが、一つ注意が必要なことがある。
それは、「絶対にエルフとバレてはいけない」ということだ。
私は深くフードを被り、朝飯兼昼飯によさそうな店を探す。
「ここがいいかな」
そこは小さな食堂だった。私は席に座り、小さいサラダを頼んだ。
その間に、あたりを見回す。奥の席に冒険者がいるが、こちらを気にしている様子はない。
少しすると若い店員がサラダを持ってくる。なかなかに美味しそうなサラダだ。
一口目を口に運ぼうとした瞬間、奥の席にいた冒険者が勢いよく立ち上がる。
「よし、決めた!」
かなり若い声だ、16歳ぐらいだろうか。その冒険者は店を勢いよく飛び出していった。
変な冒険者もいたものだ。そう思いながら私はサラダを頬張った。
「美味しいな」
サラダを食べ終えた私は会計を済ませ、シュミッドの工房へと急いだ。




