ダンジョン入り口
「お待ちしておりました、エルフィ様」
ダンジョンに到着すると、そこにはスーツを着た1人の青年がいた。
「ダンジョンアシスタントのヒルツと申します、よろしくお願いいたします。」
「え…私アシスタントなんて頼んでないよ?」
「いえ、国認定鍛冶師のシュミッド様のご親友となると、警護が必要なので」
どうやらダンジョンは普段、冒険者手帳のあるものしか入ることができないらしい。
私は国認定鍛冶師の頼みという、特例中の特例で入ることができるようだ。
「では、そろそろ入りましょうか」
そういってヒルツはダンジョンに繋がる大きな階段を下る。
私も彼の後を追って階段を下る。
階段にはダンジョンに潜る者、ダンジョンから帰還した者が行き交っている。
私のダンジョンのイメージとは似ても似つかない。
「冒険者手帳があれば誰でもダンジョンに潜れるようになったとはね…」
数十年前に訪れたときには、まだこのダンジョンは完全に攻略されておらず、国に認められた一部の冒険者のみがダンジョンに入ることができたのだ。
「30年前に国が本格的に攻略隊を編成してダンジョンを攻略したんですよ。その後、国はダンジョンの経営をすべてギルドに任せたんです」
「へぇ…そんなことがあったんだね。知らなかったよ」
「そういえば、エルフィ様はダンジョンに潜ったことがあるんですか?」
「まぁ、2、3回依頼で潜ったことがあるぐらいかな」
150年近く前だろうか、オルストール大陸の南西部に小さなダンジョンが発見された。
その際の攻略隊のメイジ役を国から依頼され、国のためと思いその依頼を受けたのだ。
報酬は人間なら一生遊んで暮らせるほどの金額だったが、決して報酬のために依頼を受けたわけではない。
「着きました、ここがダンジョンの入口です」
そこはゴツゴツとした石でできたとても広い通路のようだった。
通路と言っても小さな露店が並んでおり、冒険者で溢れかえっているため、広場のようでもある。
「すごい賑わいようだね。私のイメージとは違うようだ」
「それでも今日は少ない方ですね、いつもより露店の数が3軒少ないです」
「よくそんなこと覚えていられるね、私にはできないよ」
「露店を開くのはいつも同じ人なので、大体は覚えられますよ」
そんな事を話しながら人混みの中を歩き数分、私達は3本の分かれ道に出た。
分かれ道と言っても一つ一つの通路の大きさはかなり大きい。
「一番右がボスと下の階層、真ん中が宝箱、一番左が狩り場ですね」
「狩り場?」
「ええ、モンスターが出現する部屋のことです。魔物を倒し続けて荒稼ぎできるので」
「なるほどね、悩むな…」
狩り場は無しとして、宝箱はかなり魅力的だ。
だが、質のいい素材を取ろうと思うと下の階層がいいだろう。
「決めた、下の階層に行こう。宝箱も魅力的だけどシュミッドの頼みが最優先だ」
「了解しました」
ヒルツが頷き、道を先行する。
そうして私達は一番右の通路へ進んだ。




