ランディの母親の訪問
ランディの母親の訪問――予想外の大惨事
突然の訪問
ある日、ランディの元に使用人が訪れた。
「ランディ様、お客様が」
「客?」
「……お母様が、お見えです」
ランディの顔が、一瞬で曇った。
「……そうですか」
彼は、仕方なく応接室へ向かった。
再会
扉を開けると――
そこには、やけに太って、歳を取った女性がいた。
ランディは、一瞬誰だか分からなかった。
(……母、だよな?)
女性は、ランディを見た瞬間――
号泣し始めた。
「ランディ! ランディ!」
両腕を広げて、抱きしめようと近づいてくる。
ランディは、サッと避けた。
「……お久しぶりです」
冷たい声。
母親は、泣きながら言った。
「ごめんなさいねぇ……! ごめんなさいねぇ……!」
「……はあ」
「立派に、なって……!」
ランディは、心の中で呟いた。
(鬱陶しい……)
母親の現状
母親は、涙を拭きながら話し始めた。
「あのね、ランディ」
「……はい」
「お母さん、再婚してね」
「存じ上げています」
「それで、子供も生まれて」
「……そうですか」
母親は、太った体を揺らしながら続けた。
「でもね、先日――旦那様が、亡くなったの」
「……お悔やみ申し上げます」
ランディの声は、棒読みだった。
母親は、さらに泣きながら言った。
「それでね、ランディ」
「……なんでしょう」
「できれば――」
母親は、涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら言った。
「お父様の元に、戻りたいの」
「……は?」
「家族で、また暮らしたいの」
ランディは、目を丸くした。
「……それで、僕に何を?」
「お父様に、言ってほしいの」
「…………」
ランディの中で、何かが切れた。
ランディの反撃
ランディは、真顔で言った。
「あの、お母様」
「なぁに?」
「うちの父親には、恋人がいるんですよ」
「……え?」
母親が、固まった。
ランディは、涼しい顔で続けた。
「若くてね。マリカって言うんですけど」
その時――
ガシャン!
お茶を持ってきたマリカが、カップを落としそうになった。
「!?」
マリカが、ブルブルと震えている。
ランディは、目だけでマリカに訴えた。
(マリカ、耐えてくれ!)
(俺が知ってる女性名は、ビックと王妃様とお前だけだ!)
(仕方ないから、名前借りるぞ!)
マリカは、必死で笑顔を作った。
「……ど、どうぞ」
震える手で、お茶を置く。
ランディは、さらに続けた。
「きゅっと、腰のくびれた若い子でね」
マリカが、ブルブル震え始めた。
「可愛い子なんですよ」
「…………」
母親が、青ざめている。
ランディは、とどめを刺した。
「お母様みたいに――くびれがないと、どうかなぁ」
「!?」
「親父、くびれフェチみたいなんで」
母親、完全に沈黙。
母親、退散
母親は、涙を流しながら立ち上がった。
「そ、そう……」
「はい」
「分かった、わ……」
「そうですか」
母親は、泣きながら部屋を出て行った。
扉が閉まった瞬間――
バシッ!
マリカが、ランディの頭を叩いた。
「痛っ!?」
「何を、言ってるんですか!」
「仕方ないだろ!」
「くびれフェチって!」
「咄嗟に思いついたんだよ!」
マリカは、顔を真っ赤にして怒っていた。
「宰相様が聞いたら、どう思われますか!」
「親父はともかく――」
ランディは、ため息をついた。
「俺の方が、母親から逃げたかったんだよ」
マリカは、呆れた顔をした。
「……そうですか」
「ああ」
「でも、私の名前を使うのは……」
「悪かった」
ランディは、素直に謝った。
マリカは、ため息をついた。
「……まあ、いいですけど」
報告会
その夜、ビクトリアたちに報告することになった。
「で、母親が来たって?」
「ああ」
ハリスが、ニヤニヤしながら言った。
「それで、どうしたんだ?」
「……マリカを、親父の恋人ってことにした」
「は!?」
ビクトリアが、紅茶を吹き出しそうになった。
「しかも、くびれフェチって言った」
「ぶふっ!」
ビクトリアが、完全に笑い始めた。
「くびれフェチ!?」
「ああ」
ハリスも、笑い転げている。
「お前、よく思いついたな!」
「咄嗟だったんだよ」
マリカは、顔を真っ赤にして黙っていた。
宰相の反応
後日、宰相――ランディの父親が訪れた。
「ランディ」
「……父上」
宰相は、真顔で言った。
「お前の母親から、手紙が来た」
「……そうですか」
「くびれフェチだそうだな」
ランディは、固まった。
「…………」
宰相は、ため息をついた。
「お前、何を言ってるんだ」
「すみません」
「しかも、マリカって」
「他に、思いつかなかったんです」
宰相は、呆れた顔をした。
「……まあ、いい」
「え?」
「どうせ、お前も逃げたかったんだろう」
「……はい」
宰相は、静かに笑った。
「俺もだ」
「父上……」
「だから、許す」
ランディは、ほっとした。
「ありがとうございます」
宰相は、最後にこう付け加えた。
「ただし――くびれフェチは訂正しておけ」
「……はい」(しませんけど)
マリカの反応
その夜、マリカが部屋にやってきた。
「ランディ様」
「なんだ?」
「宰相様が、謝罪してきました」
「……そうか」
「くびれフェチじゃないそうです」
「知ってる」
マリカは、ため息をついた。
「もう、私の名前を使わないでください」
「分かった」
「本当ですか?」
「ああ」
マリカは、少しだけ笑った。
「……でも、ランディ様」
「なんだ?」
「よく、逃げ切りましたね」
「……まあな」
二人は、静かに笑い合った。
結論
ランディの母親は――
二度と現れなかった。
マリカは――
しばらく、宰相と顔を合わせるのが恥ずかしかった。
ランディは――
咄嗟の嘘が、意外と効果的だったことを学んだ。
そして、ビクトリアたちは――
この話を、何度も笑いのネタにした。




