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八百屋王女、なんの冗談ですか?ーー行方不明のパパが国王でした⁉  作者: 夢窓(ゆめまど)


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翌日の惨状

翌日の惨状

翌日、王宮では新たな噂が爆発的に広がっていた。

「昨日の舞踏会、見た!?」

「見た見た! 王子と護衛が!」

「美しすぎて、倒れたわ……」

「私も……」

セリーヌは、自室で寝込んでいた。

「……もう、無理」

彼女の計画は、完全に忘れ去られていた。

いや、それどころか――

歴史的瞬間の影に、完全に埋もれていた。



ビクトリアの感想

ビクトリアは、何も知らずに勉強していた。

「昨日の舞踏会、楽しかったね」

マリカが、複雑な顔で答える。

「……はい」

「ランディ、すごく上手だった」

「そうですね」

「エドウィン殿下も、楽しそうだったし」

「……そうですね」

マリカは、ため息をついた。

殿下、会場が阿鼻叫喚だったこと、全く気づいてない……


そして

その後、ランディは――

学園の女性たちの、永遠の憧れになった。


エドウィンは――

「情熱的な王子」として、新たな伝説を作った。


そして、ビクトリアは――

何も気づかないまま、平和に勉強を続けた。


舞踏会は、無事に終わった。


ただし――

誰も、予想していなかった形で。



ランディの身上調査――女子たちの本気

集団調査、開始

舞踏会の翌日。

令嬢たちは、サロンに集まっていた。

目的は一つ。

ランディについて、知りたい。

セリーヌが、紅茶を置いて口を開いた。

「みんな、情報を持ち寄りましょう」

「賛成」

「私も」

令嬢たちの目は、真剣だった。

もはや、ビクトリアを貶めるとか、エドウィンを射止めるとか――

そんなことは、どうでもよくなっていた。


「とにかく、ランディについて知りたいの!」

「あの美しさの秘密は!?」

「そして、何者なのか!」

女子たちの探究心は、止まらなかった。


情報、続々と集まる

数日後。

サロンには、驚くべき情報が集まっていた。

「聞いて! ランディって、隣国アルバートの貴族なのよ!」

「え!? 護衛なのに!?」

「しかも――侯爵家の令息よ!」

会場が、どよめいた。

「侯爵……!?」

「それって、高位貴族じゃない!」

「なんで、護衛なんてやってるの!?」

次々と、情報が積み重なる。

「父親は、宰相らしいわ」

「宰相!?」

「つまり、国のトップクラスってこと!?」

「そうよ!」

令嬢たちは、息を呑んだ。


さらに判明する事実

「それでね――」

一人の令嬢が、資料を広げた。

「ランディは、勉学を目的として留学してるらしいの」

「勉学?」

「そう。護衛は、あくまで名目」

「じゃあ、本当は……?」

「将来、外交官を目指してるんですって」

会場が、また静まり返った。

「外交官……」

「つまり、頭もいいってこと?」

「そうよ。しかも、ビクトリア様とは幼馴染らしいわ」

「幼馴染!?」

令嬢たちの目が、キラキラと輝いた。



女子たちの結論

セリーヌが、まとめるように言った。

「つまり――」

「高位貴族の息子」

「宰相の息子」

「頭脳明晰」

「外交官志望」

「そして――あの美しさ、あの色気」

令嬢たちは、揃って頷いた。

「完璧すぎる……」

「でも、笑わないのよね」

「話しかけにくいし」

「それが、また……」

セリーヌが、ため息をついた。

「冷たい美しさよね」

「そうそう!」

「ビクトリア様も笑わないし」

「きっと、二人とも絵画のような美しさなのね」

令嬢たちの妄想は、どんどん膨らんでいった。


現実――ビクトリアとランディ

その頃、ビクトリアの私室では――

「はい! ランディ!」

ビクトリアが、ピーナッツを投げた。

ランディが、口を開けて――

パクッ。

「……成功」

「やった!」

ハリスが、笑いながら拍手する。

「次、俺!」

「じゃあ、投げるね!」

ビクトリアが、ピーナッツを投げる。

ハリスも、口を開けて――

ポイッ。

「あ、外れた」

「ハリス、下手すぎ」

「うるさい」

マリカが、呆れた顔で紅茶を淹れている。

「……皆さん、楽しそうですね」

「楽しいよ!」

ビクトリアは、にっこりと笑った。

人前では見せない、無邪気な笑顔。

ランディも、少しだけ笑っている。

冷たい美しさ? 絵画のような美しさ?

そんなものは、ここにはなかった。


外と内のギャップ

翌日、授業が終わった後。

ランディは、いつものように無表情で廊下を歩いていた。

令嬢たちが、遠くから見つめている。

「……やっぱり、美しい」

「笑わないのが、また……」

「近寄りがたいわ」


ランディは、何も気にせず歩き続ける。

そして、ビクトリアの部屋に到着。

扉が閉まる。


数秒後――

「よし! 今日もピーナッツ選手権やるぞ!」

ビクトリアの明るい声が、扉の向こうから聞こえてきた。

「……また、それですか」

ランディの呆れた声。

「いいじゃん! 楽しいし!」

「俺、前回優勝したから、今日は審判な」

ハリスの自慢げな声。

「皆さん、お茶が冷めますよ」

マリカの穏やかな声。


廊下を通りかかった令嬢が、扉の前で立ち止まった。

「……今、笑い声が?」

「え? 気のせいじゃない?」

「そうよ。ビクトリア様もランディも、笑わないもの」

令嬢たちは、そう納得して去っていった。


妄想、加速

その後、サロンでは新たな妄想が繰り広げられていた。

「ねえ、ビクトリア様とランディって、きっと静かに見つめ合ってるのよ」

「え、どういうこと?」

「だって、幼馴染でしょ? きっと、言葉なんていらない関係なのよ」

「ああ……! 分かる!」

「絵画のような二人が、静かに紅茶を飲んで……」

「時々、視線が交わって……」

「言葉少なに、微笑んで……」

「素敵……!」

令嬢たちは、うっとりとため息をついた。

セリーヌも、静かに頷いた。

「きっと、そうよ」

「高貴で、美しく、静かな時間」

「それが、あの二人にふさわしいわ」


現実、再び

その頃、ビクトリアの部屋では――

「ランディ! 口、開けて!」

「……もう、やめましょう」

「いいから!」

ポイッ。

パクッ。

「やった! 連続五回成功!」

「……次、俺の番な」

ハリスが、ピーナッツを構える。

「じゃあ、ランディ、頼む」

「……なんで、俺が投げるんですか」

「いいから!」

ポイッ。

ガツン。

「痛っ!」

ハリスの額に、直撃した。

「……狙いましたね?」

「気のせいです」

ランディは、涼しい顔をしていた。

マリカが、ため息をついた。

「……皆さん、本当に仲がいいですね」


結論

令嬢たちの妄想と、現実は――

全く、噛み合っていなかった。

外では、冷たく美しいランディ。

中では、ピーナッツを投げるランディ。

外では、笑わないビクトリア。

中では、楽しそうに笑うビクトリア。

そのギャップに――

誰も、気づいていなかった。

そして、これからも――

気づかないだろう。

令嬢たちの妄想は、ますます膨らみ続ける。

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