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八百屋王女、なんの冗談ですか?ーー行方不明のパパが国王でした⁉  作者: 夢窓(ゆめまど)


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留学先の経済学の授業

経済学の授業


弟王子が彼女と側近と一緒に経済学の授業を受ける――玉ねぎショック



エドウィンは、ビクトリアと一緒に経済学の授業を受けていた。


教授が、市場価格について淡々と説明している。

「この王宮では、玉ねぎ5個で一銀貨です」

エドウィンは、ノートを取りながら――

(ふむふむ。玉ねぎ5個で一銀貨、と)

何も疑問に思っていなかった。


その時――

ビクトリアが、すっと手を挙げた。

「先生、質問があります」

「はい、どうぞ」

「この王宮では、玉ねぎ5個で一銀貨なんですね?」

「はい、そうです」


ビクトリアは、真顔で続けた。

「ぼったくりじゃないですか?」

教室が、凍りついた。


教授の満面の笑み

教授が、満面の笑みを浮かべた。


「ほう! お気づきになりましたか!」


ビクトリア

「はい。高すぎます」


教授

「その通り! 実はね、異常に高いんですよ!」

教授は、嬉しそうに黒板に数字を書き始めた。

「一般的な市場価格は、玉ねぎ20個で一銀貨」

「つまり、この王宮は―4倍の価格」


ビクトリアが、頷いた。

「やっぱり」

教授は、さらに続けた。

「でもね――誰も気づかない」


そして、エドウィンを指差した。

「現に、王子殿下は完全にぽかーんとしていらっしゃるでしょう?」


エドウィンは、確かに完全にぽかーんとしていた。

「…………え? 何が?」



エドウィン、玉ねぎを知らない疑惑 


教授が、ニヤリと笑った。

「殿下、玉ねぎの値段などお知りにならないからです」


「い、いや、知ってますよ!」

エドウィンが、慌てて反論した。


「本当ですか?」

ビクトリアが、真顔で尋ねた。 


エドウィン

「当たり前です!」

ビクトリア

「じゃあ、いくらですか?」


エドウィン

「…………5個で、一銀貨」 

ビクトリア

「それ、今、教授が言った値段です」


「…………」

エドウィンは、黙り込んだ。


教授が、追撃する。

「殿下、もしかして――玉ねぎが何か、もご存じないのでは?」


「知ってます!」

エドウィンが、必死に反論した。


「じゃあ、どんな野菜ですか?」

ビクトリアが、無邪気に尋ねた。 


エドウィン

「…………丸い」


ビクトリア

「他には?」


エドウィン

「…………茶色い」


ビクトリア

「他には?」


エドウィン

「…………以上です」 

会場が、静まり返った。


側近が、小声で囁いた。

「殿下、玉ねぎは泣かせる野菜です」


「ああ! そうだった!」

エドウィンが、ポンと手を打った。


ビクトリアが、心配そうに尋ねた。

「エドウィン殿下、玉ねぎ見たことあります?」


エドウィン

「…………あると、思います」


ビクトリア

「思います?」


「…………」

エドウィンは、完全に沈黙した。


ビクトリアの爆弾発言

ビクトリアが、さらりと言った。

「ちなみに、私の国では玉ねぎ40個で一銀貨です」


「40個!?」

教授が、驚いた。


ビクトリア

「はい。しかも、でっかいやつです」 


教授

「それは、素晴らしい!」


ビクトリア

「それに、新鮮です」


教授

「完璧じゃないですか!」


教授とビクトリアが、盛り上がっている。

エドウィンは、完全に置いてきぼりだった。


ビクトリアが、続けた。

「あと、うちの母は畑から直接引っこ抜くので、タダです」


「タダ!?」

教授が、感動した顔をした。


「素晴らしい! これぞ、自給自足経済!」


「ありがとうございます」

ビクトリアが、誇らしげに笑った。

エドウィンは、もはや何を言っているのか分からなくなっていた。


エドウィンの敗北

エドウィンが、恐る恐る尋ねた。


「ビクトリア殿下」


「はい?」


「なぜ、玉ねぎの値段をそこまで詳しくご存じなんですか?」


「え?」

ビクトリアは、きょとんとした。


「だって、毎週市場で買ってますから」

「毎週?」

「はい。孤児院に、食材の差し入れしてますから」

「…………」

エドウィンは、完全に敗北した顔をした。



教授が、笑いながら言った。


「ビクトリア殿下は、完璧な庶民感覚をお持ちですね」 


エドウィン

「庶民感覚……?」


教授

「はい。だから、ぼったくりに気づかれる」


エドウィン

「そうなんですか?」


「ええ」

教授は、エドウィンを見た。


「殿下は、完璧な貴族感覚しかお持ちではない」

「…………」

エドウィンは、机に突っ伏した。


ビクトリアの無自覚な追撃


ビクトリアが、無邪気に尋ねた。

「エドウィン殿下、玉ねぎスープ、お好きですか?」


「……玉ねぎスープ?」

「……見たことも、ありません」

「え!?」


ビクトリアが、本気で驚いた。

「一度も!?」


エドウィン

「はい」


「人生、損してます!」

ビクトリアは、本気で残念そうにした。


「玉ねぎスープは、人生の宝ですよ!」

「人生の宝!?」

エドウィンが、驚いた。


「はい! 朝は玉ねぎスープ、昼も玉ねぎスープ、夜も玉ねぎスープ!」


「完璧です!」

ビクトリアは、満面の笑みだった。

エドウィンは、完全に理解不能な顔をしていた。


教授の解説(爆笑)

教授が、涙を拭きながら言った。

「これが、経済学の基本です」


エドウィン

「基本?」


教授

「はい。庶民の感覚と貴族の感覚は――別次元」


「なるほど」

ビクトリアが、頷いた。

「だから、ぼったくりに気づかないんですね」


「その通りです」

教授は、満足そうに笑った。


「そして、殿下は――玉ねぎすら、ご存じない」


「…………」

エドウィンは、もはや何も言えなかった。



ランディとハリスの反応


ランディとハリスが、隣で見ていた。

「……エドウィン殿下、引っ張られてますね」


ランディ

「ああ」


ハリス

「ビクトリア殿下、玉ねぎの話してますね」


ランディ

「ああ」


ハリス

「……エドウィン殿下、完全ひっばられてるんじゃないですか?」


ランディ

「ああ」

二人は、静かに笑い合った。


ビクトリアには、敵わない。


その日から。


弟王子は、

市場の価格表を見るようになった。


料理人に、

食材の話を聞くようになった。


理由は、

まだ分からない。


だが。


玉ねぎ五個で一銀貨。


その数字は、

彼の中で――

一人の少女と、

強く結びついていた。


王女なのに、ぼったくりという言葉を知る少女

実に庶民的である。


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