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八百屋王女、なんの冗談ですか?ーー行方不明のパパが国王でした⁉  作者: 夢窓(ゆめまど)


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ビクトリアの留学メンバー

庶民派の、少し変わった王女


ビックは、王宮ではいつも控えめな装いだった。


華美ではない。

だが、安っぽくもない。


動きやすく、

清潔で、

どこか目に残る――そんな服。


流行や装飾については、

元貴族たちが立ち上げた

ファッション部門が請け負っていた。


「王女は、着せ替え人形じゃない」


それが、ビックの一貫した考えだった。


ビック、十六歳。


ある日、

何気ない顔で言い出した。


「……留学、したいな」


周囲が、一瞬静まる。


語学を学ぶため。

経済を知るため。

他国の仕組みを見るため。


理由は、どれも実務的だった。


美しく、

気品ある王女であることは、

彼女にとって「前提」でしかない。


それよりも――

知りたい。

見たい。

確かめたい。


だから彼女は、

少し変わった王女だった。


王宮の中では、

王女として。


街に出れば、

庶民派で。


どちらかを捨てるのではなく、

どちらも自分だと受け入れている。


新しい国に、

新しい王女がいるとしたら――


それは、

ドレスの裾を引きずる存在ではなく。


自分の足で世界を歩こうとする、

十六歳の少女だった。




隣国アルデバインへの留学


隣国への留学の話は、思いのほか順調に進んだ。


アルデバイン王国には、

年頃の王子が二人いる。


そのため王宮には、

常にお見合い話や花嫁候補が集まっており、

「王女が留学する」という前例も、すでに珍しくなかった。


だからこそ――

ビクトリアの留学も、

驚くほどあっさり受け入れられた。


行き先は、

アルデバイン王国。


正式な王女留学、

……のはずだったが。


「まあ、王女って言っても、

 いろいろ違うしね」


そう言って、

ビック本人は大喜びだった。


同行するのは、

騎士のランディとハリス。


二人は護衛であると同時に、

現地で学ぶ立場でもある。


そして侍女のマリカ。


マリカは、

護衛補佐として、

そして自らも学ぶ者として同行することになった。


なお、

現地での侍女は、

アルデバイン王国が手配する――

という条件がついた。


「身の回りは、向こうに任せます」

「こちらは最低限で」


その結果。


ビクトリア。

ランディ。

ハリス。

マリカ。


四人だけの、留学団。


豪奢でも、

大人数でもない。


けれど――

自由と可能性だけは、

十分すぎるほど詰まっていた。


王女として、ではなく。

未来を学びに行く一人の少女として。


ビックは、

まだ知らない国へ向かう馬車の中で、

期待に満ちた笑顔を浮かべていた。


この留学が、

彼女自身だけでなく、

国と国との関係を変えていく。



(アルデバイン到着・第一印象)


アルデバインに到着すると、

ほとんど間を置かず、王宮へ通された。


……そして。


「お待ちしておりました」


玉座の間に立っていたのは、

年頃の王子が――二人。


あ、うん。

そうだよね。


ビクトリアは、内心で納得する。


(そりゃ、向こうは“お見合い”の延長だもんなぁ)


ちらりと王子たちを見て、

すぐに視線を外した。


(まぁ……関係ないか)


どちらも、整った顔立ち。

いかにも王子然とした立ち姿。


(美形だけど、

 ここで反応したら負けだな)


黙って、やり過ごそう。

そう決める。


ふと横を見ると――


ランディとハリスが、

無言で直立している。


……黙っていれば、

この二人も、かなりの美形だ。


(喋らなければ、ね)


そして。


自分のことは棚に上げつつ、

ビクトリアは思う。


(……私も、美人枠だし)


さらにもう一人。


マリカは、落ち着いた微笑みを浮かべ、

一歩下がって控えている。


(この子も、負けてない)


結論。


――完全に、美形軍団。


しかも、

本人たちはあまり自覚がない。


王子二人が、

一瞬、言葉を失ったのも無理はなかった。


アルデバイン王宮の到着初日。


ここから始まるのは、

政略か、学びか、恋か――


少なくとも確かなのは。


この留学、

見た目だけでも、だいぶ騒がしくなりそうだ

ということだった。

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