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第28話 女帝の誓約

 

 評議会の発足から数日が過ぎた夜。

 帝国は、祭りの熱狂から醒め、日常という名の穏やかなリズムを取り戻していた。


 月が、中天に昇っている。

 今夜の月は、不思議なほどに明るく、そして近かった。


「……付いてこい」


 執務を終えたセレスティアに、アザゼルが短く告げた。

 その表情は硬く、どこか緊張しているようにも見えた。


「どこへ?」


「いいから。……話がある」


 拒否権はないらしい。

 セレスティアは苦笑し、彼の手を取った。

 その手は、驚くほど熱かった。


 アザゼルが転移魔法を展開する。

 視界が歪み、世界が反転する浮遊感。

 次に足裏が地面を踏みしめた時、そこに広がっていたのは、息を呑むような静寂と星空だった。


 星降りの湖。

 かつて、二人が初めて心を通わせた場所。

 鏡のような湖面には、満天の星々と巨大な月が映り込み、天地の境界が曖昧になっている。

 夜風が、湖面を撫で、さざ波という名の銀色の皺を作っていた。


「……懐かしいですね」


 セレスティアは呟いた。

 あの時はまだ、国など影も形もなく、ただ生き延びることに必死だった。

 けれど、不思議と不安はなかった。隣にこの男がいたからだ。


「ああ」


 アザゼルは湖の畔に立ち、水面を見つめた。

 その背中は、いつになく雄弁だった。何か、重いものを降ろそうとしているかのような。


「……セレスティア。俺の、全てを話す」


 彼は振り返らずに言った。


「五百年前の話だ。……俺がまだ、『処刑人の魔王』と呼ばれていた頃の」


 セレスティアは息を呑んだ。

 いつか話すと言ってくれた、彼の過去。その深淵に触れる時が来たのだ。


「俺は……強かった。誰よりも、何よりも。……だが、それだけだった」


 アザゼルの声が、夜気に溶けていく。


「力があるというだけで、俺は『魔王』として祭り上げられた。反逆者を処刑し、恐怖で秩序を維持する装置。……それが俺の役割だった」


 彼は自分の手を見つめた。

 そこには、見えない血がこびりついているのだろうか。


「周りにいるのは、俺の力を利用しようとする者か、俺の首を狙う者だけ。……心を許せる相手など、一人もいなかった。信じた部下もいたが、俺の甘さが殺した」


 第25話で語られた、三人の部下の死。

 その傷は、五百年の時を経てもなお、血を流し続けていたのだ。


「俺は、心を閉ざした。誰も信じず、誰からも信じられず。……ただ、玉座という名の檻の中で、孤独に腐っていくだけの日々」


 アザゼルは、自嘲気味に笑った。


「そして最後は、勇者とかいう連中に討たれて終わった。……正直、清々したよ。やっと、このくだらない茶番から解放されるとな」


 彼はゆっくりと振り返り、セレスティアを見た。

 その紅い瞳が、月光を吸い込んで揺れている。


「だが……転生して、奴隷市場の檻の中で、俺はまた絶望していた。……結局、俺の人生は『檻』からは逃れられないのかと」


 セレスティアの脳裏に、あの日の光景が蘇る。

 薄暗い地下牢。鉄格子の向こうで、死んだような目をしていた少年。


「でも、お前が現れた」


 アザゼルの声に、熱が宿る。


「お前は、俺を買った。……だが、奴隷としてじゃなかった。お前は俺の首輪を外し、こう言った。『私のパートナーになってくれませんか』と」


 彼は一歩、セレスティアに近づいた。


「あの時、俺の檻は壊れたんだ。物理的な鍵じゃない。……俺の心を縛り付けていた、孤独という名の鎖が」


 アザゼルの手が、セレスティアの頬に触れる。

 武骨で、大きな手。かつては多くの命を奪ったその手が、今は壊れ物を扱うように優しく、彼女の肌に触れている。


「お前が、俺を人として扱ってくれたから。……お前が、俺を必要としてくれたから。……俺の世界は、色づき始めた」


 セレスティアは、彼の手のひらに自分の手を重ねた。

 温かい。

 それが、今の彼を構成する全てだった。


「……私も、同じです」


 セレスティアは静かに口を開いた。


「前世で、私は人として扱われませんでした。……ただの結果を出すための機械。休むことを許されず、感情を殺し、組織の歯車として摩耗していくだけの毎日」


 灰色のオフィスの記憶。

 誰とも繋がらず、誰にも理解されず、ただ消費されていった魂。


「この世界に来ても、それは変わりませんでした。偽聖女として断罪され、家を追われ、国を追われ。……私の価値など、どこにもないのだと思いました」


 彼女は、アザゼルの目を見つめた。


「でも……貴方がいた」


 あの日、奴隷市場で彼を選んだのは、単なる気まぐれや直感だったかもしれない。

 だが、それは間違いなく、彼女の運命を変えた最大の分岐点だった。


「貴方が隣にいてくれたから、私は『女帝』として立つことができました。貴方が背中を守ってくれたから、私は前を向いて歩けました」


 セレスティアの目から、涙が一筋こぼれ落ちた。

 悲しみの涙ではない。魂が震えるほどの、感謝と歓喜の涙だ。


「拾ったのは私かもしれません。でも……本当に救われたのは、私の方です」


「……セレスティア」


「貴方がいなければ、この国も、今の私もありません。……貴方は、私の半身です」


 セレスティアは、夜空を見上げた。

 無数の星々が、彼女を見下ろしている。


「でも……もう、違います」


 彼女の声は、強かった。


「あの時の私は、死にました。冷たいオフィスの床で、誰にも看取られずに。……それで良かったのです」


 アザゼルが驚いたように彼女を見る。


「今の私は、あの時の私ではありません。……私は、セレスティア・ノヴァルーナ。この国を愛し、この人を愛する、一人の女です」


 彼女は、湖面に映る自分の姿を見つめた。

 銀髪の女性。アメジストの瞳。誇り高く、強く、そして優しい女帝。

 それが、今の自分だ。


「さようなら、過去の私」


 セレスティアは、静かに告げた。


「そして、ありがとう。……貴方が死んでくれたから、今の私が生まれたのだから」


 それは、前世との完全な決別だった。

 もう、過去に縛られることはない。

 ここから先は、自分の意志で選び取った未来だ。


 アザゼルは、感極まったように息を吐き出し、彼女を強く抱きしめた。


「……よく言った」


 その声には、深い共感があった。

 彼もまた、過去の自分を葬り、新しい人生を歩み始めたのだから。


 長い沈黙。

 風の音さえも止まったかのような、静寂。


「……セレスティア」


「はい」


「俺は……不器用だ。言葉を飾ることもできないし、気の利いた台詞も言えない」


「知っています」


 セレスティアは微笑んだ。


「俺の手は汚れている。……お前のその綺麗なドレスを、汚してしまうかもしれない」


「構いません。……洗えば落ちますから」


「……お前は」


 アザゼルは苦笑し、そして真剣な眼差しに戻った。


「俺は、お前を愛している」


 真っ直ぐな言葉。

 何の飾り気もない、だからこそ、何よりも重く響く真実。


「護衛としてじゃない。パートナーとしてでもない。……一人の男として、お前という女を愛している」


 セレスティアの心臓が、大きく跳ねた。

 分かっていたはずだった。

 互いの想いは、言葉にしなくても通じていると。

 だが、やはり言葉の力は偉大だ。

 その一言で、世界が鮮やかに塗り替えられていく。


「……私も、です」


 セレスティアは、溢れる涙を拭うこともせず、笑顔で答えた。


「貴方を、愛しています。アザゼル。……誰よりも、何よりも」


 アザゼルが、彼女を引き寄せた。

 抵抗などするはずがない。セレスティアは身を委ね、彼の胸に飛び込んだ。

 硬い筋肉の感触と、安心する夜の匂い。


 彼の手が、彼女の顎を持ち上げる。

 視線が絡み合う。

 月明かりが、二人の影を一つに重ねる。


 唇が、触れ合った。


 静かで、優しいキス。

 激情に任せたものではなく、互いの存在を確かめ合い、魂を溶け合わせるような、深い口づけ。

 湖面に映る月が、祝福するように揺らめいた。


 唇が離れても、二人の距離は変わらなかった。

 額を合わせ、互いの呼吸を感じ合う。


「……誓約だ」


 アザゼルが囁いた。


「お前が歩く場所を、俺は『ここ』に固定する」


「……それは?」


「俺はもう、どこにも行かない。お前の隣以外には」


 それは、世界最強の男による、生涯の拘束宣言。

 あるいは、絶対的な愛の誓い。


「……ずるいですね」


 セレスティアは、彼の首に腕を回した。


「そんなこと言われたら、私も離れられなくなります」


「それが狙いだ」


 アザゼルが悪戯っぽく笑う。

 その笑顔は、かつての「処刑人の魔王」のものではなく、ただの一人の恋する青年のものだった。


「覚悟しろ、セレスティア。……俺は、死んでもお前を離さない」


「ええ。……望むところです」


 星降りの湖畔で、二人は新たな契約を結んだ。

 主従でもなく、共犯者でもなく。

 生涯を共に歩む、伴侶としての誓約を。




 それから一ヶ月後。

 ノヴァ・エデン帝国で、最初の国家的祝典が開かれた。


 女帝セレスティア・ノヴァルーナと、帝国宰相アザゼルの婚礼である。


 中央広場は、夜明け前から人で埋め尽くされていた。

 人間も、亜人も、誰もが祝福の笑顔で溢れている。子どもたちは肩車をされ、老人たちは最前列に座り、若者たちは歓声を上げる準備をしていた。


 正午。

 宮殿の扉が開き、白いドレスに身を包んだセレスティアが姿を現した。

 ドレスはシンプルだが、エルフの職人が編んだ銀糸の刺繍が施され、陽光を受けて輝いている。頭には白い花冠。

 その横には、黒い礼服に身を包んだアザゼルが寄り添っている。普段の黒衣とは違い、正装用の礼服は帝国の紋章が胸に刺繍されていた。


 二人が赤い絨毯の上を歩き始めると、民衆から歓声が上がった。

 花びらが舞い、祝福の歌が響き渡る。


 祭壇の前で、二人は向き合った。

 執り行うのは、執事長ザラキエル。

 彼は、帝国最高位の証人として、厳かに問いかけた。


「アザゼル。貴方は、セレスティア・ノヴァルーナを妻とし、生涯を共にすることを誓いますか?」


「誓う」


 アザゼルの声は、力強かった。迷いなど、微塵もない。


「セレスティア・ノヴァルーナ。貴方は、アザゼルを夫とし、生涯を共にすることを誓いますか?」


「誓います」


 セレスティアの声が、鈴のように響く。その瞳には、涙が光っていた。


「では、指輪の交換を」


 二人は、互いの指に銀の指輪をはめた。

 それは、アザゼルが何日もかけて手作りした、世界に一つだけの指輪。

 不器用な彫刻だが、そこには彼の全ての想いが込められていた。


 ザラキエルが、高らかに宣言する。


「では、誓いの口づけを」


 アザゼルが、セレスティアを引き寄せる。

 そして、唇を重ねた。


 その瞬間、広場から割れんばかりの歓声が上がった。

 ミレイユが涙を流し、ソラリスが口笛を吹き、ガルディウスが力強く拍手を送る。

 レオンハルトは、複雑な表情で微笑んでいた。かつて自分が夢見た女性が、今、別の男の妻となる。だが、彼は祝福していた。心から。


 フィーアが、そっと呟いた。

「……これが、この国の新しい時代の始まりね」


 ルミナリスが、妹の肩に手を置いた。

「ああ。……そして、私たちの物語も、まだ続いていく」


 祝典は、夜遅くまで続いた。

 人間と亜人が共に踊り、共に歌い、共に祝福する。

 それが、ノヴァ・エデン帝国という「楽園」の姿だった。




 あれから、一年が過ぎた。


 季節は巡り、ノヴァ・エデン帝国には二度目の春が訪れていた。

 魔獣の森の木々は瑞々しい新緑に覆われ、色とりどりの花々が咲き乱れている。


 帝国は、驚異的な速度で発展を遂げていた。

 人口は一万五千人を突破。

 人間四〇%、亜人六〇%という構成比率は、この国が真の意味での多種族国家へと成長したことを示している。

 旧聖レガリア王国の領土は正式に帝国の保護領として編入され、帝国の版図は十倍に拡大した。


 経済の基盤も盤石だ。

 セレスティアの錬成術によって生み出される「エーテル鋼」は、大陸全土で引っ張りだこの輸出品となり、莫大な富をもたらしている。

 また、ネクロポリス魔導帝国との交易も順調で、安定した食料供給と引き換えに、国境の安全は保たれていた。

 かつて「魔境」と呼ばれたこの地は今や、大陸で最も活気のある商業都市へと変貌を遂げ、エルフの国やドワーフの国とも正式な国交が樹立された。


 そして、この国を支える人々もまた、それぞれの場所で輝いていた。


 王都の行政区画。

 『難民支援局』と書かれた建物の窓から、ミレイユ・ノヴァルーナが顔を出した。


「局長! また徹夜ですか!」


 部下の兎族の少女が、心配そうに声を上げる。


「ごめんなさい。でも、南区画の学校建設の書類を今日中に……」


「駄目です! お姉様に怒られますよ!」


 ミレイユは苦笑した。

 質素だが清潔な服装。かつての絢爛な聖女の衣装はもうない。だが、彼女の顔は輝いていた。


「分かったわ。……でも、あと一時間だけ」


「三十分です!」


 兎族の少女が、有無を言わさぬ口調で言う。

 ミレイユは笑って頷いた。


 かつて「偽聖女」と蔑まれた彼女は、今は「局長」として働いている。

 人間と亜人の橋渡し役として、誰よりも信頼される存在に。

 それが、彼女の誇りだった。


 帝国の練兵場。


「もっと腰を落とせ! その構えじゃ、一撃で倒されるぞ!」


 泥まみれの青年が、部下の犬族の兵士に指示を出している。

 レオンハルトだ。


 かつての皇太子は、今は帝国の小隊長として、亜人兵士たちと共に汗を流していた。


「隊長! 水です!」


 兎族の若い兵士が、水筒を差し出す。


「ありがとう。……お前も飲め」


 レオンハルトは水筒を受け取り、一口飲んでから兵士に返す。

 二人は地面に座り込み、疲れた体を休めた。


「隊長は……後悔していないんですか?」


 兎族の兵士が、恐る恐る尋ねる。


「何を?」


「……皇太子だったのに、今は」


 レオンハルトは笑った。


「後悔? まさか」


 彼は空を見上げた。


「あの時の俺は、何も見えていなかった。……今は、見えている。それだけで、十分さ」


 罪を背負いながら、それでも前を向いて生きる。

 贖罪の道は険しいが、その足取りは確かだった。


 諜報部では、ルミナリスとソラリスの姉妹が、相変わらず喧嘩をしながらも、完璧な情報網を敷いていた。

 医療院では、フィーアが多くの命を救い、その優しい笑顔で患者たちの心を癒やしていた。

 そして、執事長のザラキエルは、影からすべてを支え、主の造り上げた楽園の繁栄を、長命種特有の長い目で見守っていた。


 夕暮れ時。

 中央宮殿の最上階、執務室のバルコニー。

 茜色に染まる空の下、二つの影が並んでいた。


 女帝セレスティア・ノヴァルーナ。

 この一年で、彼女の万象錬成術の使用頻度は激減した。月に数回、本当に必要な大規模工事や、緊急時の対応のみ。

 代わりに彼女が学んだのは、「任せる」ことの強さだ。

 評議会が機能し、各部門が自律的に動く。彼女の仕事は、すべてを作ることではなく、皆が作る未来の方向を示すことへと変わっていた。


 その左手の薬指には、シンプルな、しかし美しい銀の指輪が光っている。

 それは、錬成術で作ったものではない。

 帝国宰相となった夫が、何日もかけてノミを振るい、手作業で彫り上げた、世界に一つだけの指輪だ。


「……まだ、完璧には程遠いですね」


 セレスティアが、眼下に広がる街並みを見下ろして呟いた。

 活気に溢れてはいるが、まだ貧富の差はある。人間と亜人の間の偏見も、完全になくなったわけではない。小さな揉め事は日常茶飯事だ。


「ああ。問題は山積みだ」


 隣に立つ男——アザゼルが答えた。

 彼は今、帝国の夫であり、帝国宰相として、この国の統治を女帝と共に支えている。

 軍事はガルディウスに任せ、彼は内政と外交に専念していた。

 かつて「処刑人の魔王」と恐れられたその名は、今や「帝国の宰相」として、民衆から絶大な信頼と畏敬を集めていた。


「それでも、一年前よりは遥かにマシだ」


 アザゼルが、セレスティアの手を握る。

 その手には、彼もお揃いの指輪をはめていた。


「お前が創った国は、まだ脆い。……だが、確かに育っている。雑草のようにな」


「ふふ。雑草とは失礼ですね」


 セレスティアは微笑んだ。


「でも、その通りかもしれません。踏まれても、雨に打たれても、また芽を出す。……そんな強さが、この国にはあります」


 遠くから、子どもたちの笑い声が聞こえてきた。

 広場で遊ぶ、人間の子と亜人の子。

 彼らは手を取り合い、夕日に向かって走っていく。

 過去の因縁も、大人の事情も関係ない。ただ、今を共に生きる仲間として。


 それが、この国の未来そのものだった。


「私たちの楽園は、まだ道半ばです」


 セレスティアは、アザゼルを見上げた。

 アメジストの瞳が、夕陽を受けて輝く。


「なら、一緒に完成させよう」


 アザゼルは、彼女の腰に手を回し、引き寄せた。


「百年でも、千年でもかけてな」


「はい。……ずっと、一緒に」


 セレスティアは、彼の肩に頭を預けた。

 心地よい体温。安心する鼓動。

 ここが、私の居場所。

 ここが、私の楽園。


 二人の影が、夕日に長く伸びていく。

 やがて夜が来て、また新しい朝が来るだろう。

 試練は続くだろう。困難も待ち受けているだろう。

 だが、恐れることはない。


 かつて「偽聖女」と蔑まれた女は、今、真の「楽園」を創る女帝として、世界に新たなことわりを築き続けている。

 その隣には、かつて孤独だった魔王が、最愛の伴侶として寄り添っているのだから。


 二人の物語は、まだ終わらない。

 これは、幸福な未来への、ほんの始まりに過ぎないのだから——

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

本作は、自分にとって初めての長編?挑戦でした。


正直に言うと――

書いている途中で、作者自身が完全に迷子になりました。

「これ、今どこに向かってる?」

「そもそもタイトルとあらすじでした話、どこ行った?」

それだけでなく、

「……あれ? こんな設定あったっけ?」

「この伏線、私が張ったんだよな……?」

と、過去の自分と首をかしげながら会話する場面も多々ありました。


結果として、物語全体はかなりチグハグな内容になってしまったと思います。

書きたいものと、書いているものと、辿り着いた場所が

少しずつズレていった感覚がありました。


そして迎えた最終話。

……完結はしました。たぶん。

でもこれ、本当に「完結」って言っていいのか?という気持ちも、正直あります。

無理矢理ゴールテープを切った感は否めません。


ただ、それでも途中で投げずに、最後まで書き切ることだけは決めていました。

書き終えた今、課題は山ほど見えています。

構成の甘さ、テーマのブレ、設定管理の雑さ、

そしてタイトルやあらすじとの乖離――

次はここをちゃんと克服したいです。


この作品は、自分にとって「完成した物語」であると同時に、

「はっきりと課題を突きつけてくれた一本」でもありました。

それでも、ここまで付き合ってくださった読者の皆さんには、感謝しかありません。


本当にありがとうございました。

また次の物語で、もう少し成長した形でお会いできたら嬉しいです。

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